コラム

2.5次元舞台・ミュージカルの「応援上演」とは?楽しむコツや注意すべきことをご紹介します

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「応援上映」という言葉を聞いたことはあるだろうか。本来、座席に座って静かに見る映画において、声出しを自由にして良いとされた、いわば「イベント版上映」だ。

舞台でも「声出し・応援可」のものが増えてきた。いち観客としてだけではなく、舞台を盛り上げる一員となった気分になれる。

ここでは「応援上演」の種類や、その状況ごとの楽しむコツをご紹介する。突然のことに慌てたり戸惑ってしまい、上演後に「もっと楽しめばよかった…」とならないように、楽しみ方を知って臨んで欲しい。

素朴な疑問→映画や舞台で声を出したりしていいの?

そもそも映画や舞台は、面白くて笑いたいシーンがあれば自由に笑っていいし、泣きたくなるシーンではもちろん泣いていい。

特に舞台では、適切なシーンでの拍手や笑い声などは、手ごたえとして、舞台上の役者にとって良いモチベーションとなる。歌舞伎で言う「大向こう」による「よっ、○○屋!」などの掛け声を思い出してもらえれば分かりやすいだろう。

しかしそれらはあくまでも「マナーの範囲に限定される」と言ってもいい。シーンにそぐわない声かけやお喋りなどは周りへの迷惑となってしまうので気を付けたいところだ。

持ち物や声掛けタイミング、応援方法などはその舞台ごとのルールがある場合が多いので、必ず事前に公式サイトやSNSで情報を得るようにしておこう。

次に、2.5次元舞台でのおおまかな「応援形式」と、それぞれの舞台の例を紹介する。

ライブ・コンサート形式の応援上演

最も多いのがこの形式だ。特にアイドル系の2.5次元舞台に多い。

演出・ストーリー上、話の途中でコンサートの風景が挟まれたりするので、そこで思い切り声援を送ってもよしとされている舞台もある。その際「声を出してもいい」「この時だけはペンライト化」「公式販売グッズのみ使用可」などのルールがあれば、必ず従おう。

気を付けたいのは、1部が舞台やミュージカル・2部がレビュー、のように分かれている時だ。レビューではたいていの場合うちわやペンライトが可とされているが、舞台・ミュージカルの最中でもそれがOKだとは限らない。

持ち物はきちんとバッグにしまっておき、必要に応じて使って応援するようにしよう。

突然新曲が出てくる可能性もあるが、たいていはゲームやアニメなどで出てきたことのある曲のはずだ。できるだけ事前に聞いて覚え、曲によっては一緒に歌えばさらに楽しいだろう。

「舞台 KING OF PRIZM -Over the Sunsine!-」

2017年11月に上演された同舞台の原作、映画「KING OF PRIZM」は、映画の「応援上映」を世間に浸透させた大きな存在だったと言っても過言ではないだろう。そして舞台では、映画での応援そのままに、出だしからスクリーンと客席とのやりとりや声出しルールの説明が行われた。

「なーにー?」「はーい!」のコールアンドレスポンス、コンサートのシーンでは推しカラーにしたペンライトで思う存分声援を送る。

舞台が始まる前に「このライトが舞台の左右についた時は声出し可」と案内がきちんとあったため、「今は声を出してもOK」「今は静かに見る時」と安心して舞台に集中できた応援上演形式の舞台だった。

試合応援型の応援上演舞台

スポーツものの2.5次元舞台ではこの形式が多い。試合前、試合終了時に拍手を送ることで、舞台を観ていた観客であると同時に「この試合を見届けた」気持ちになれる。

原作を知っていて、どちらが勝つかが分かっていても「今日は勝てるかもしれない」とつい錯覚するほどに、試合に入れ込んでしまう。

手拍子・拍手、掛け声の他に、指定の応援グッズが使用可のこともある。そのスポーツに合った応援形式だと言えるので、あらかじめ公式のアナウンスはチェックしておこう。

ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」
「ハイキュー!!」の舞台化作品であるハイステは、スポーツ系応援舞台の中でも、声援を送る機会の多いものだ。

キャストから煽られるままに、

「かっこいいのはー!?」「田中せんぱーい!」
「頼れるのは?」「田中せんぱーい!」
「KARASUNOー!」「かーらーすーのー!」

など、舞台と客席が一体となって声を出す。試合の後は、両校向かい合って礼をしてから、キャストたちが観客席に応援に対して感謝するように礼をする。毎回号泣必至だ。

ダイヤのA The LIVE

高校野球をテーマとしたダイステは、試合の最中に、ヒッティングマーチに合わせて声援を送るシーンがあった。応援シーンの直前にはキャストによる丁寧な説明が入り、応援グッズとして公式のメガホン類が販売されていた。

野球の応援の仕方、声援の送り方は一般的にも比較的知られているが、それでも「試合の時にはこのタイミングで声を出して」という解説はありがたかった。

メガホンを叩き、手拍子をして「狙い撃ち」や「ルパン三世」のテーマに合わせて「かっ飛ばせ!」と舞台に声援を送る。その瞬間、バッターボックスに立つキャストたちの目の色が変わったのが見えた。

また、試合終了後に拍手をし、舞台の終わりにある円陣コールに参加することで、ただ観客としてではなく舞台の一員となったように感じた。

参加型の応援上演舞台は、積極的に楽しむべし!

公式やキャストから「どんどん応援してください」と明言されている舞台では、遠慮していてはもったいない。歌うものがあれば一緒に歌い、試合の勝敗に関係なく、頑張れと声援を送るようにしよう。

客席からの熱気や声援は、そのまま舞台に届くものだ。その時は、誰もが舞台の一員となれる。声援でキャストの演技がどんどん変わっていく様子は、生でしか味わえない。まさに「観客と役者が一体となって作り上げる」応援上演舞台は、積極的に声を出して楽しみたい。

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WRITER

広瀬有希
								広瀬有希
							

金融・印刷業界を経てフリーライターへ。エンタメメディアにて現場取材・執筆の他、日本語・日本文化教育ソフト監修、ゲームシナリオ、ノベライズなどで活動中。感動が伝わる文章を目指して精進の日々を送っています。

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