コラム

【エーステ初心者向け】爽やかにときに苦く。“成長“続ける夏組の魅力を解説

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MANKAI STAGE『A3!』、通称「エーステ」初心者のためのコラム企画第2弾。第1弾では、はじまりの季節にふさわしい、いままさに咲かんとする演技初心者が集う春組を紹介した。

続く今回は、真っ青な空に輝く太陽が似合う夏組の魅力をみていこう。

夏組メンバー紹介~逆境糧にグングン伸びる生命力あふれる5人~

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まずは夏組の劇団員たちを見ていこう。

<夏組>
皇 天馬(演:陳内 将)
瑠璃川 幸(演:宮崎 湧)
向坂 椋(演:野口 準)
斑鳩三角(演:本田礼生)
三好一成(演:赤澤 燈)

子役時代から俳優として活動し、いまも芸能界で引っ張りだこの夏組リーダー・皇 天馬。

衣装のデザインや制作を手掛ける一見女の子のように見える毒舌家・瑠璃川 幸。

彼とおなじ中学校に通う少女漫画の王子様に憧れる気弱な向坂 椋。

いつの間にか劇団に住み着いていた三角大好き青年・斑鳩三角。

そして、チラシのデザインやホームページ制作をこなすテンアゲ美大生・三好一成の5人。

MANKAIカンパニーのなかでも平均年齢がもっとも若く、夏という季節から連想する爽やかでフレッシュなイメージがぴたりとハマる組になっている。

「どんな人に夏組をおすすめしたいか?」と問われれば、「陽キャが集う男子高校生たちの文化祭準備のような光景が好きな人」と答える。

未熟ながらも一生懸命で、だけど楽しもうという気持ちを忘れずに前を向いていける。夏組とはそんな色を持ったメンバーたちで成り立っている。

夏組の魅力① 眩しい陽射しと、色濃く落ちる影

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リーダーの天馬と幸は2人ともプライドが高い。ゆえに、結成当初は顔を合わせる度に意見がぶつかっているようなところがある。

といっても、2人とも素直になれないうちにヒートアップしてしまうだけ。

柔和な物腰だけど意外と芯がしっかりしている椋や、空気を読みすぎるくらい読んでしまう一成、突風のようにさっと吹き込んできて天性の存在感で空気を変えてしまう三角。

そんな3人とカントクのおかげで、なんだかんだ事態は丸く収まることが多い。そのせいか、夏組のメンバー同士のトラブルは他の組に比べると軽く見えてしまうこともある。

しかし、本作の劇団員たちはみんな、胸の内に苦悩やトラウマを抱え込んでいるのだ。

夏組の場合は、組全体が太陽に照らされているように明るく見えるが、表面の明るさに比例するように足元には色濃い影が広がっている。

2019年に上演されたMANKAI STAGE『A3!』~SUMMER 2019~(通称「夏単独公演」)では、彼らの笑顔の下に渦巻く苦悩が白日の下に晒されていった。

長年抱え込んできたコンプレックスや、家庭問題、人との関わり方……。共同生活や稽古を通じて、少しずつ暴かれていってしまう彼らの隠したかったであろう心の柔らかい部分。

夏単独公演では、特にそういった心の影にスポットが当てられていき、そこからの成長と単独公演成功がきれいにつながっていく。

彼らの担当ジャンルはコメディだ。観客が笑える物語をコミカルに紡ぐ彼らが、その笑顔に至るまでどんな道を乗り越えてきたのか。

現実なら知ることができない、舞台俳優がステージに上がるまでの苦しい部分。それを見せてもらったうえで観劇する劇中劇は、コメディなのに不思議と涙がこぼれ落ちてきてしまうだろう。

夏組の魅力②技巧派俳優が集うキャスティングの妙

ここまで原作も含めた夏組の魅力を紹介したが、エーステでははまり役と評判のキャスト陣が絶妙な演技で彼らの魅力を高めている。

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映像作品で人気俳優として活躍している天馬役は、10年以上俳優として活動している陳内将が熱演。陳内自身、舞台作品だけでなく映像にも数多く出演してきた身。媒体の違いによって苦労する天馬を演じるうえで、これ以上ないほどの適役である。

仲間や友達というものの存在にうろたえながらも、リーダーとして奮闘する姿。また、シリーズを通して、表情に占めるプライドと仲間への親愛の割合が少しずつ変化していく様。

人として成長していく過程を、派手ではないがたしかに表現していく姿は、まさに技巧派の演技である。

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一成役の赤澤燈も、2010年から舞台に立ち続けている役者だ。彼も夏組の演技の屋台骨になっているといえるだろう。テンアゲパリピな一成にふとかげる暗い笑顔は、一瞬の表現なのだが彼の抱える苦しみを観客に伝える。

文字にしてしまえばたった2文字の“笑顔”という表現に、彼は幾種類もの意味を込められる役者なのだ。

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劇団でも最年少の中学生コンビ、幸と椋を演じるのは宮崎 湧と野口 準だ。一見すると“かわいい”と形容したくなる幸と椋。

しかし、ときに大人顔負けの芯の強さで芝居にぶつかり、新たな可能性を積み上げていく。そんなストイックな2人を、フレッシュさとうまさを併せ持つ宮崎と野口が好演。

回を重ねるごとにアドリブや日替わりシーンでの腕をメキメキと挙げていく姿には、感動すら覚えてしまうほどだ。成長スピードというキーワードを、まさに体現する役者である。

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最後に紹介するのは、圧倒的アクロバティックダンスで、再現不可能と思われた斑鳩三角を舞台上に表現した本田礼生。

原作でも、うっかりしているとプレイヤーが置いていかれるほど不思議な言動の多い三角。彼の無重力な言動を再現しながらも、人としての重さを地に足のついたどっしりとした演技でみせてくれた。

そしてなんといってもアクロバティックな技を多用したダンスは一見の価値あり。THE CONVOYのメンバーとしても活躍する彼の動きに目が奪われるだろう。

夏組の爽やかで底なしな沼への第一歩を。賑やかさと寂しさが同居する夏組の軌跡

ゲームではうかがい知ることができない日々のなかで、「ああ、彼らはこんなときにこんな表情をするんだ」と改めてキャラクターを知る機会をくれるのは、この舞台版ならでは醍醐味だろう。

今回紹介した夏組の出会いを観たい人は、「Spring & Summer」公演を。その後に、夏組のその後が描かれている「SUMMER 2019」の順で観よう。

原作ゲームやアニメ版とはまた違った角度から、夏組沼への第一歩を踏み出せるかもしれない。

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WRITER

双海 しお
 
								双海 しお
							

アイスと舞台とアニメが好きなライター。2.5次元はいいぞ!ミュージカルはいいぞ!舞台はいいぞ!若手俳優はいいぞ!を届けていきたいと思っています。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。

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