コラム

2.5次元舞台・ミュージカルの「カーテンコール」その目的と回数は?アンコールとの違いも解説

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「カテコ」と言う言葉をきいたことのある人は多いだろう。舞台が終わってからある挨拶などがこれにあたる。正しくは「カーテンコール」という。万雷の拍手に応えて、役者たちが姿を見せてくれる。何とも嬉しい瞬間だ。

ここでは、カーテンコールの回数やそれぞれどのようなことが行われているかなど、初心者の人向けに解説をしていく。

「カーテンコール」とはそもそもどんなもの?

「カーテンコール」は、演目が終了してから演者がふたたび舞台にあらわれ、挨拶などをすることをいう。「カテコ」とよく言われており、耳にしたことがある人も多いだろう。

そもそもは、一度おりた幕(緞帳/どんちょう)がふたたび上がることからこの呼び名がついたと言われているが、2.5次元舞台の多くは、緞帳が下りない。

そのため「演目終了後はカーテンコール」と考えておけば 間違いはない。

多くの2.5次元舞台では、演目が終わり拍手をしていると、キャストが順に登場する。演目によって、ひとりずつだったり学校やチーム、家族単位で出てくることもある。そして全員並んだところで一礼をする。

この後は、全員が手をつないで礼をしたり、主役から簡単にお礼の言葉が述べられたりすることが多い。そして舞台から去る。ここまでがシングルカーテンコールだ。

キャスト紹介の意味もあるため、ほとんどの舞台であると考えて間違いはないだろう。

ダブルカーテンコール、千秋楽に多いトリプルカーテンコール

ダブルカーテンコールは、2度目のカーテンコールだ。多くの場合、ここで主役・座長からの挨拶がおこなわれる。キャストの中から誰かが日替わりで言葉をのべることもある。

千秋楽などの特別な日は、キャスト全員からひとことずつ挨拶がおこなわれることが多い。そのため時間が長くなるので、公演時間に加えて15分から30分は多く見積もっておけば安心できる。

ここまでは多くの公演であるが、それでも拍手が鳴りやまないとき、トリプルカーテンコールがおこなわれることがある。このタイミングで、立ち上がり拍手を送る、「スタンディングオベーション」がわきおこることが多い。

「スタオベしたいけれどタイミングが分からない……」という場合には、ダブルカーテンコール後のこのタイミングがおすすめだ。ダブルでキャストたちがハケたあと、立ちあがって拍手を送ろう。

その際、ひざに荷物を置いていると勢いで床にバラまいてしまうことがあるので、気をつけてほしい。

慣れないうちは、周りを見ながら何となく合わせて……ということになると思うが、誰かが立つのを待っていては、タイミングを失い、そのまま終わってしまい後悔することもある。

もし友達と一緒の観劇であれば、アイコンタクトで一緒に立ち上がれば心強いだろう。

スタンディングオベーションに関してー強制や決まりではない

注意したいのは「スタンディングオベーション」は決まりや強制ではないということだ。「みんながしているから」「千秋楽って立つものでしょう?」「礼儀みたいなものだし」という気持ちでするものではない。

つまり、千秋楽にしなければいけないものではないし、千秋楽以外であってもいつでもしていいのだ。

周りが立っていても自分の感性に従って、立たない選択をしてももちろんいい。繰り返すが、スタオベは決まりや強制ではなく、慣習でもない。自分の気持ちを、一番大事にしてほしい。

カーテンコールは何度あるの? 限度は?

結論から言えば、まずダブルカーテンコール自体が特別なことだ。それ以上を「あるもの」として当然のように要請するのは避けたい。

中には、通常の公演でも、ダブルカーテンコールまであることを見越して各キャストたちがコメントを考えてきてくれていることもあるが、それを当然と思わないようにしよう。

2時間、あるいは3時間もの間舞台に立って芝居をしてきたキャストたちが疲れていないはずはない。それをまた舞台に呼び出すのだ。

例えば終演が21時の舞台で挨拶とカーテンコールが複数回あれば、終了は21時半を回るだろう。千秋楽ならそこからセットの片づけを始めることになる。

何度も何度もカーテンコールをしていれば、片づけの終わりは遅くなるし、観ている方としても、交通手段に困る人が出てくることだろう。

舞台が終わってしまう名残惜しさもあるが、客席の電気がつきアナウンスが流れたら、それ以上を求めるのはスッとやめるのが良いと感じる。

カーテンコールとアンコールの違い

カーテンコールに似た言葉で「アンコール」がある。平たく言えば「もう少し」「もう一回」何かをしてほしいと求めることだ。

コンサートであれば、終演後の拍手に応えてもう一度歌手があらわれ1曲か2曲歌う。これがアンコールと呼ばれる。

舞台で「もう少し」のおねだりはなかなかできない。これを可能にしているのはミュージカル「テニスの王子様」だ。

テニミュのカテコとアンコールは特殊なため、これを他の舞台にあてはめることはできないが、初日や千秋楽以外では、舞台が終わり、キャストの紹介があり、アンコールソングがあり、緞帳が下りてきっぱりと終了する。非常にわかりやすい。

ほとんどの2.5次元ミュージカルでアンコールは難しいため、カーテンコールでキャストたちの挨拶が聞かれれば嬉しい、くらいの気持ちでいるのがおすすめだ。

感謝の気持ちを拍手に込めてカーテンコールの時間を過ごそう

舞台によっては直接「ありがとう!」と声かけが許されるものもあるが、それは演目ごとに異なる。まずは大きな拍手、そして挨拶があれば静かに耳を傾けよう。

舞台を作り上げた役者、そして舞台制作の方々へ。惜しみなく、鳴り止まない万雷の拍手を送りたい。

 

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WRITER

広瀬有希
								広瀬有希
							

金融・印刷業界を経てフリーライターへ。エンタメメディアにて現場取材・執筆の他、日本語・日本文化教育ソフト監修、ゲームシナリオ、ノベライズなどで活動中。感動が伝わる文章を目指して精進の日々を送っています。

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