コラム

2.5次元作品に重さと渋さの色を加える、魅力的な10人の40代俳優

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2.5次元舞台に出演している俳優は、10代から20代と若い年代であることが多い。しかし、舞台の登場人物の年齢設定に合わせて40代から50代の俳優も舞台に立つことも増えてきた。

俳優としての経験、そして人生経験を積んだ彼らの演技は、キラキラとした2.5次元舞台に、より深みと重みを与えてくれる。ここでは、その中から40代の俳優に絞り、五十音順で10人を紹介する。

※2020年1月に5名の構成で記事を公開後、5月に加筆・修正しています。あらたに40代入りしたフレッシャーズや、読者からピックアップの要望が多かったキャストを追加しました。

和泉宗兵

和泉宗兵(1977年生まれ)
主な出演作品:音楽舞闘会/ミュージカル「黒執事」、「舞台 文豪ストレイドッグス 三社鼎立」、テイルズ オブ ザ ステージ -光と影の正義、青の祓魔師 島根イルミナティ篇など

ゾッとするほど冷たく恐ろしい人物から、裏で糸を引く底の見えないボスまで演じるのに対して、素顔は優しくふにゃりとした笑顔。見ていてなごんでしまう。40代の男性にこう言ってよいものか悩むところではあるが、非常に可愛い方だ。

どの舞台でもそうだが、ビジュアルはもちろん声やキャラの内面も含めて、ファンの期待に応える形で再現してくれる。特に和泉宗兵を語る上で欠かせないのが、ミュージカル黒執事での葬儀屋だろう。

原作はまだ連載が続いているので、また舞台の上で葬儀屋に出会える日を楽しみにしたい。

加藤靖久

加藤靖久(1976年生まれ)
主な出演作品:舞台「この音とまれ!」、「機動戦士ガンダム00[ダブルオー]」、「ダイヤのA The LIVE」など

頼りがいのあるアニキ的存在だ。歴戦のつわもの中佐や学園ものでは欠かせない先生、といった厳格な役が多い。威厳のある声と演技で、若手役者によるキャラクターたちを叱りつけたりあたたかい視線で見守ったりしている。そこにいるだけで、ビシリと場が引き締まる。

ご覧のとおり、あご髭と口髭で口のまわりをぐるりと囲んだサークル型の髭が非常に良く似合う。つるつるだったり、軽く顎周りに生やしている時もあるが、髭キャラクターでの役どころの場合は、拝みたくなるほど大変ありがたい。

カーテンコール挨拶の時や、舞台を降りてオフともなれば、若手たちとわちゃわちゃと楽しんでいる姿に非常になごむ。演技は渋く、そして茶目っ気たっぷりの俳優だ。

唐橋 充

唐橋 充(1977年生まれ)
主な出演作品:舞台『刀剣乱舞』維伝 朧の志士たち、舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』、劇団シャイニング『JOKER TRAP』『エヴリィBuddy!』など

きっと誰でも好きになるであろう、何とも魅力的な人だ。イラスト・文章など、役者としての面以外でも多才な顔を見せてくれる。

SNSでの豊かな言葉選びは頭の良さを感じさせ、会見やインタビューでの茶目っ気たっぷりの発言は場を和ませる。その場を楽しんでいるのだろうなという空気感と笑顔に、見ている側も思わず笑顔になってしまう。

「舞台『刀剣乱舞』維伝 朧の志士たち」では、舞台で「魅せる」ベテランの演技と殺陣を見せてくれた。素早い太刀筋、はっきりと聞こえる腹の底からの台詞。圧倒的な存在感と説得力で、どの舞台に立っていても観客の目を釘付けにする。

唯一無二、という言葉がふさわしい俳優だ。

窪寺 昭

窪寺 昭(1977年生まれ)
主な出演作品:「戦国BASARA」シリーズ、舞台『刀剣乱舞』燃ゆる本能寺、「機動戦士ガンダム00[ダブルオー]」、おそ松さん on STAGE、 舞台 文豪ストレイドッグス など

スタイリッシュ系イケメンの正しい年の重ね方のお手本だ。ニヤリと口角を上げて笑うニヒルな表情がよく似合う。ひたすら綺麗でちょっと悪い、危険な大人の魅力にあふれている。

舞台では髭の有無で印象が大きく異なり、泥臭さと透明感、両方をあわせ持つ、演技の幅が非常に広い俳優と言える。休む暇もないほどの出演作品の多さは、あちらこちらから引っ張りだこである証拠だろう。

演技はもちろん、殺陣も抜群にうまい。原作付き2.5次元舞台以外では、AND ENDLESSの公演に多く出演している。テレビドラマなど映像の世界で見ることも多いので、これからも「スタイリッシュイケオジ」としてますます活躍してほしい。

郷本直也

郷本直也(1980年生まれ)
主な出演作品:ミュージカル「テニスの王子様」、舞台『弱虫ペダル』、「ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』、舞台「幽☆遊☆白書」など

背が高くがっちりとしたスタイルに彫りの深い顔立ち。豪快なようでいて謙虚で繊細。

「郷本さんがいるなら絶対に面白いし大丈夫」と舞台に安心感を生む俳優だ。特に原作付き2.5次元舞台においては、原作への思い入れが強ければ強いだけ舞台化への不安がついて回ることが多いが、彼がキャスティングされれば「じゃあ大丈夫」と胸をなでおろして楽しみに待つことができる。

2.5次元舞台では、黎明期のミュージカル「テニスの王子様」の海堂薫役が今でも印象深い。2020年現在「もう17年も前なの」と驚く人も多いことだろう。後述の森山栄治、Kimeruらとともに、この世界を引っ張ってきた第一人者と言っても過言ではない。

高木トモユキ

高木トモユキ(1977年生まれ)
主な出演作品:ミュージカル「刀剣乱舞」、舞台「鬼滅の刃」など

高木トモユキといえば殺陣のうまさと存在感のある演技だ。普段はストレートプレイのオリジナル舞台で活躍していることから、2.5次元舞台への出演は、作品本数こそ多数ではないが、ミュージカル「刀剣乱舞」、舞台「鬼滅の刃」とビッグタイトルに出演している。

中でもミュージカル刀剣乱舞では2017年の「幕末天狼傳」、2018年の「結びの響、始まりの音」に真剣乱舞祭、と土方歳三役で出続けていることもあり、この役での印象が強い人も多いことだろう。

マメに更新されているブログでは、過去作への思いなどが語られていることもある。これからも、誠実さがにじみ出る雰囲気をまとって舞台に立ち続けてほしい。

谷口賢志

谷口賢志(1977年生まれ)
主な出演作品:「舞台 文豪ストレイドッグス 黒の時代」、「ジョーカー・ゲーム」、「真・三國無双」など

ぱぁっと明るくチャーミングな笑顔に、思わずこちらも破顔してしまう。「仮面ライダーアマゾンズ」や映画など、映像での活躍も多い谷口賢志は、180センチの長身ながら甘えた大型犬のような視線が似合う「上目づかいで見られたい俳優」だ。

ワイルドと可愛らしさが同居しており、眩しそうで困ったような表情がよく似合う。そうかと思えば、泥にまみれた鬼気迫る目を見せてくれる。お洒落でダンディ、そしてとにかく顔がいい。

舞台「文豪ストレイドッグス 黒の時代」では、主演の織田作之助役を演じた。この舞台は号泣必至のため、タオルを用意して観ることをおすすめする。

入門としては、彼の人生を変えたのではないかと思われる「仮面ライダーアマゾンズ」を見てほしい。

中村誠治郎

中村誠治郎(1980年生まれ)
主な出演作品:「今、僕は六本木の交差点に立つ」、舞台「戦国BASARA」シリーズ、誰ガ為のアルケミスト 舞台版『聖石の追憶』、LIVEミュージカル演劇『チャージマン研!』など

「殺陣治郎(たてじろう)」と呼ばれるのがよく分かる。目にもとまらぬとはこのことだろう、疾風のように舞台を駆け抜け、一閃、刀を抜き、剣をふるう。演者としてだけではなく、近年では殺陣・振りつけ指導もおこなっている。

雄々しく猛々しく「漢(おとこ)」らしい一方、コメディシーンやアドリブで見せるお茶目で可愛らしい素顔にグッとくる人は多いことだろう。自分に厳しくとことんストイックな武士と、無邪気な小学生男子が同居しているようだ。

40代に入ったばかり、まだまだ若い。今後さらに、円熟したアクション・殺陣と演技を見せていってほしい。

萩野 崇

萩野 崇(1973年生まれ)
主な出演作品:舞台『血界戦線』、舞台「青の祓魔師(エクソシスト)」-青の焔 覚醒編/京都 不浄王編、「ダイヤのA The LIVE Ⅲ」など

大人のセクシーが具現化している。声がいい、たたずまいがいい。この先50、60になった時、その時々のベストオブかっこいい大人俳優の姿を塗り替えていくことが容易に想像できる。

20代はじめの超光戦士シャンゼリオン、20代終わりの仮面ライダー龍騎の浅倉威。30代40代、それぞれにおすすめがあるため「あなたの萩野崇はどこから」アンケートを取ってもいい。

なお、加藤靖久、窪寺 昭、谷口賢志、中村誠治郎、萩野 崇は西田大輔氏オリジナル舞台にて共演が多いので、大変お得な気分になれる。

二度でも三度でも言うがとにかく声がいい。

森山栄治

森山栄治(1976年生まれ)
主な出演作品:ミュージカル『テニスの王子様』、ミュージカル 「青春-AOHARU-鉄道」、「テイルズ オブ ザ ステージ -ローレライの力を継ぐ者-」など

「えっ、もう40なの?」と驚かれる方も多いことだろう。2.5次元舞台をけん引する、ミュージカル『テニスの王子様』で初代・桃城 武役を演じた彼も、実は40代に入っている。

2ndシーズン・3rdシーズンでは、南次郎パパ・越前南次郎として舞台に上がり、ドリライでのトークコーナーではMCとして客席を盛り上げる。あたたかい笑顔とその人柄に、思わず「パパ」と呼びたくなるだろう。

毎日の「今日も元気に楽しみましょう」という呼びかけは、シンプルではあるがその時々に「一日を大事に過ごそう」「生きていることを楽しもう」など、さまざまなメッセージとして受け取ることができる。

2.5次元の世界で頑張る若手俳優たちの指針として、その大きな背中をずっと見せ続けていってほしい。

なお、信じられないことに同じくテニミュ初代・不二周助役のKIMERUも、どう見ても20代だが2020年6月に40になる。

幅広い年齢層になってきた2.5次元舞台を支えるベテラン俳優たち

2.5次元舞台の黎明期、舞台に立っていたのはほぼ若手の俳優たちだった。しかし、そこに立っていた俳優たちが経験を積み、先輩や先生、上司や親役を演じるようになってきた。

また、オリジナル舞台や映像で活躍をしている俳優たちが2.5次元舞台に出演することも増えていることから、逆に、2.5次元で初めて舞台を観た層がオリジナル舞台を観に行くようにもなってきている。

舞台に立つ役者の年齢層や経歴が幅広くなれば、舞台としての内容もより深く、楽しめるものが作られていくことだろう。

(※「40代」の年齢表記は、2020年5月現在のものです)

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WRITER

広瀬有希
								広瀬有希
							

金融・印刷業界を経てフリーライターへ。エンタメメディアにて現場取材・執筆の他、日本語・日本文化教育ソフト監修、ゲームシナリオ、ノベライズなどで活動中。感動が伝わる文章を目指して精進の日々を送っています。

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