コラム

原作1コマの破壊力を再現し青春を共有する「リボステ」の魅力を解説! ヴァリアー編ついに完結へ

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2004年から2012年まで連載された天野明による少年漫画『家庭教師ヒットマンREBORN!』。2006年から2010年までアニメも放送され、当時熱狂した人も多いだろう。

そして2018年、連載開始から数えれば14年が経ったこの年、同作の舞台版1作目が上演された。青春をこの作品と過ごした、そんな特別な思い入れがある人にとっては一抹の不安を抱える舞台化発表だったかもしれない。

しかし、幕が開いてみれば舞台は大成功。原作ファン・アニメファンからの評価も高く、翌年2019年に2作目が上演。ストーリーは「VS ヴァリアー編」に突入した。その続編となる『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE -vs VARIA partⅡ-が2020年1月6日(月)に開幕する。

今回は作品の開幕にあわせ、まだ「リボステ」を観る勇気がない人、観ようか悩んでいる人に向けて、作品の魅力を紹介したいと思う。

青春をもう一度、蘇る“あの瞬間”

「舞台を観るのが怖い」。そう感じている人の多くは、原作やアニメに青春を賭け、推しキャラクターに文字通り心血を注いできた人だろう。

繰り返し読んだり見たりしてきたツナをはじめとした登場キャラクターたちの成長や絆。それが舞台化によって歪んだ解釈をされてしまって、自分の知るリボーンの世界と異なるものを観せられてしまったらどうしよう。この作品に限らず、2.5次元作品を観劇する際に、こういった不安は少なからず生まれるものだろう。

リボステから感じるのは、こういったプレッシャーがキャスト陣の間にも色濃く漂っている点だ。キャストの大半が、演じる側であるのと同時に、かつて原作やアニメにワクワクドキドキしていたいちファンなのである。

そのためか、観劇するファンよりも厳しい目で、リボステのあり方について常に問うているような印象を抱く。

「このシーンでは、このキャラクターのこういった感情を観せたいし、同時に原作のあの滾る構図をしっかり観てもらいたい」

過去2作品を観劇して、ファンの観たい瞬間と、役者の観せたい瞬間。それがしっかりと噛み合っているのを感じてきた。リボーンという長年愛されてきた作品が原作だからこそ、ファンと作り手との間に“共有できる青春”があるのだろう。これがあることで、いわゆる解釈違いという現象が起きにくい作品になっているのではないだろうか。

映像演出との融合の先にある、リボステならではの世界観を生み出す丸尾丸一郎氏

“共有できる青春”が、観客と作り手の間にあっても、それがステージ上で形になっていないと“共有”というフェーズは発生しない。

これを可能にしているのが、シリーズの脚本・演出を担当している丸尾丸一郎氏(劇団鹿殺し)の腕なのだろう。

リボステは映像による演出も多く取り入れている。例えば、本作の象徴的なシーンである主人公・沢田綱吉(演:竹中凌平)が死ぬ気の炎を宿すシーン。ステージ上でツナがパンイチ姿になると同時に、スクリーンには額に死ぬ気を宿したツナの映像が映し出される。

あえて映像を使わずに表現することももちろん可能なシーンだが、映像が入ることで不思議と“リボーンらしさ”が高まる。これは、原作の美麗なイラストによる1コマの破壊力に通じるところがあるのではないだろうか。

何度も繰り返し漫画やアニメを見て、ファンの脳内に刻み込まれている名シーンの数々。それを舞台化だからといってアナログにこだわって映像を廃するのではなく、絶妙なタイミングで映像演出として取り入れている。これがあることで、観客は観終わったあとに「並盛町に行ってきた」という感覚を強くすることができるのだ。

リボステにおいては、この演出方法が最適解。そう思わせてくれる力強さを、作品から感じることができる。

派手な演出に頼り切らない、演技で伝えるメッセージ

リボステは映像演出も格好いい! という話をしたが、映像はやはりひとつの演出手法でしかない。多くのファンが「リボステ最高」と高揚している一番根っこの部分には、役者が演じることの面白さや醍醐味。それらがしっかりあることだと筆者は感じている。

連載当初のギャグ路線を経て、黒曜編からは次第にシリアスなバトルシーンも増えていったリボーン。命やプライド、アイデンティティを賭けた戦いのなかで、失うものもあれば、新たに手に入れるものもある。

その身を削って戦い合う様は、まさに役者たちが魂を燃やしてその役を演じきる姿そのもの。目には見えない死ぬ気の炎のようなオーラを、それぞれのキャラクターから感じ取れるのは、同じ空間を共有する舞台だからこその面白さだ。

初見では思わずその映像や仕掛けに目を奪われてしまいがちだが、ぜひ劇場で生で観て、肌で感じる部分を楽しんでほしい作品である。

“本物”が誘う、もうひとつのリボーンの世界

アニメのリボーン役・ニーコが、リボステでもリボーン役を演じている。これは本作の大きな魅力のひとつだ。2.5次元作品を初めて観るという人にとっても、これほど心強い条件の作品はそうそうない。

リボーンという作品に何年も向き合い続けてきた彼女を軸に築き上げられたリボステの世界。ほぼキャスト続投で作品が積み重ねられ、座組にも作品の核となる“仲間との絆”が1作ごとに強固になっているのを感じる。

舞台初心者にも優しく、それでいて観れば観るほど演劇の力を感じることができるこのリボステ。ツナ側はボンゴレファミリーの次期ボス、次期守護者として大きく一歩を踏み出し、ヴァリアーはヴァリアークオリティたる底力を見せつける『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE -vs VARIA partⅡ-をまずは観劇してほしい。

劇場に足を運べるのなら当日券にチャレンジしてみよう。それが難しい場合は、1月19日の大千秋楽公演がライブビューイングで全国各地、香港、台湾、韓国の映画館で上映されるので、ぜひこの機会を活かしてほしい。

ステージから放たれる各キャストの“死ぬ気の炎”を浴びてみてはどうだろうか。

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公演情報

タイトル

『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE-vs VARIA part II-

公演日程・劇場

【東京】
2020年1月6日(月)~1月13日(月・祝) 天王洲 銀河劇場

【大阪】
2020年1月17日(金)~1月19日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

原作

天野明『家庭教師ヒットマンREBORN!』(集英社 ジャンプ コミックス刊)

演出・脚本

丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)

キャスト

リボーン:ニーコ/沢田綱吉:竹中凌平

獄寺隼人:原嶋元久/山本 武:山本涼介/笹川了平:上杉 輝/ランボ:KIMERU
雲雀恭弥:岸本勇太/クローム髑髏:朝倉ふゆな/六道 骸:和田雅成

XANXUS:林田航平/S・スクアーロ:髙﨑俊吾/ルッスーリア:高木勝也/ベルフェゴール:大海将一郎
レヴィ・ア・タン:八巻貴紀/マーモン:甲斐千尋/ゴーラ・モスカ:工藤翔馬

ディーノ:山田ジェームス武/コロネロ:深澤大河
沢田家光:河合龍之介/バジル:前田大翔/ボンゴレ9代目:武智健二

アンサンブルキャスト:橘 輝/長瀬絹也/藤 綾近/内藤ぶり/鈴木かぐや/富山バラハス/中西智也/下 瑞穂

チケットについて

詳細は公式サイトから

公式サイト

https://www.marv.jp/special/reborn-the-stage/

公式Twitter

@stage_reborn

©天野明/集英社 ©『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE製作委員会

WRITER

双海 しお
 
								双海 しお
							

アイスと舞台とアニメが好きなライター。2.5次元はいいぞ!ミュージカルはいいぞ!舞台はいいぞ!若手俳優はいいぞ!を届けていきたいと思っています。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。

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