コラム

小西成弥、輝き続ける存在感 声優としても活躍【誕生日アンケート】

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2.5次元舞台に限らずだが「役者を追う」のは楽しい。

人気が大きく出てから名前を知るケースもあるが、その役者のデビュー間もない頃に出逢い「彼だ」と決めて追いかけ始める。それは、役者自身の役者人生を共に歩んでいるような気持ちになるだろう。

今回ご紹介する小西成弥、彼はミュージカル『テニスの王子様』から筆者がずっと見守り追いかけ続けている俳優だ。

2.5ジゲン!! で事前に行った、演じた役についてのファンアンケートの結果も織り交ぜながら、彼の魅力について存分に紹介したい。

素材そのままの「弟」に夢中になった 2011年 テニミュ・聖ルドルフ学院 不二裕太役

小西が出演していたテニミュは2ndであり、これが当時のルドルフ学院全員である。2012年、みんな可愛いがここでは中心の小西を見てほしい。

テニミュ2ndシーズンが始まり、聖ルドルフ学院のメンバーが発表された時のこと。

――。15歳?!

プロフィールを二度見した。「この裕太は全力で守らなければならない」そう心に決めた瞬間だった。完全に母親か祖母の目線になってしまった。

不二裕太というキャラクターの魅力のひとつに「こじれたブラコン」がある。

天才と言われている兄・不二周助。兄と同じ青春学園中等部に入学したものの、かけられる言葉は兄がらみのものばかり。そんな環境に嫌気がさした裕太は聖ルドルフ学院に転校をし、家を出て寮生活を始めるのだが、小西の演じる裕太は、

「嫌いの影に大好きが見え隠れする思春期真っ只中の中学2年生の男の子」

感が満載だった。1st、2nd、3rd、みんな違ってみんないい裕太だが「3次元に生きている不二裕太くんをつかまえて来て舞台に立たせたらこうだろう」と思える天然そのままの弟だった。

そしてDream Live2014で裕太役を卒業し、また大きな一歩を踏み出すことになる。

主演、女性役、アイドル役……次々に夢を掴み役の幅を広げていった2015-2016年

2014年まではテニミュ関連のイベントなどがあったために不二裕太としての出演が多かったが、翌年の2015年から2016年は小西にとって大きな転換の年であったように感じる。

ミュージカル『ハートの国のアリス』への出演、そして演出家・ほさかようとの出会いだ。

危険な可愛さに会場のみんながときめく! 「ミュージカル『ハートの国のアリス』」ボリス=エレイ役

この舞台で小西は、ピンクずくめのへそ出しセクシー衣装、自由奔放で時に危険な香りを漂わせるボリス=エレイ役を演じた。

それまで、どちらかと言えば純朴で純粋で汚れを知らない真っ白な雪のようなザ・少年役を演じる機会が多かった小西に、カラコン、ピアスのついた猫耳、チェーン、ピンクのファーだ。

母親か祖母目線だったのに、ここにきて夢女要素まで入って来てしまった。

テニミュを卒業するまで、裕太と並行して「ラズベリーボーイ」などの舞台にも出演していたが、このボリス役がファンにとっては新しい扉を開かせたのではないかと感じる。

大きなステップアップ。役者としてひと回りもふた回りも大きくなった短編集「遭遇」

2016年に入り、人気ゲームの人気キャラ、舞台でも人気シリーズとして続く「あんさんぶるスターズ!オン・ステージ」で、アイドル・流星隊の南雲を演じることになる。

この南雲鉄虎は、明るく元気いっぱいでパワーがあり場、そして何よりも可愛い。ファンアンケートでも「可愛い」とコメントが寄せられており、非常に分かる。

6月に大きな舞台をふたつ、7月はシェイクスピアの「真夏の夜の夢」で女性のヘレナ。途切れずにずっと舞台に立ち続けていると感じていたところに、11月「今日からマ王!」で主演。続けて12月、演出家・ほさかようが主宰を務める“空想組曲”にて、変速短編集「組曲『遭遇』」の主演を務めることになった。

この短編集は、2時間の中に15本ものストーリーが織り交ぜられていた。繋がっていないようで繋がっている不思議な世界、その中心なのか、それとも中心ではないのか。ストーリー構成の巧みさに定評のある、ほさかようらしい舞台だった。

ほさかようの空想組曲「遠ざかるネバーランド」に出演したのは2015年3月。ここでの出会いが、「組曲『遭遇』」に繋がり、彼の役者としての大きなステップアップになったと感じる。

2.5次元、オリジナル演劇、朗読劇など、2015年から2016年は、さまざまな舞台で大きく実力をつけていった2年だった。

培ってきた力を全てをぶつけた集大成。2017年「ダイヤのA The LIVE」成宮 鳴役

2017年は前述の「あんステ」、本格ラグビーものの「ALL OUT!! THE STAGE」とともに、語らずしては終われない作品・役を演じている。「ダイヤのA The LIVE Ⅳ」での成宮 鳴役だ。

それまでの小西の役が、元気いっぱい一生懸命の可愛い系・おとなしめのナイーブな少年というイメージだったからだろうか。キャストとして発表された時、「小西くんが俺様王様の鳴を?」という声がほんの少しだけあった。

しかし公演が始まってみれば、SNSでは「鳴ちゃんがいた」「生きてた」「本物だった」という声でいっぱいになった。2.5ジゲン!! で行ったファンアンケートにもやはり「鳴そのものでした」「似ていて魅力的だった」とコメントが届いている。

Ⅳでは、成宮 鳴の出番はほんの数シーンしかない。しかし、その一秒一秒、一挙手一投足、視線、表情、声、雰囲気、すべてが衝撃的だったのだ。

不機嫌そうにツンと尖らせた唇、くいっと顎を上げて何者をも上から目線で見ようとする視線、のっしのっしと大股での歩き方、片脚に体重をかけてだらりとしているのに横風で俺様な立ち姿、声帯どうした? と耳を疑うほどアニメに寄せた声。

そして何よりも、エンディングはもちろん、キャストたちが素の顔に戻るカーテンコールでもずっと「成宮 鳴」であり続けた。人懐っこい小西成弥の顔はちらりとも見せない。舞台から去る最後の一歩まで成宮 鳴だったのだ。

Ⅳでは役としての出番は数シーンしか無いにも関わらず、観客に強烈な「成宮 鳴」の印象を植え付けた小西は、続くⅤでさらに強い存在感を発揮する。

美しくキャラクターそのままの投球フォーム、エースナンバーを背負う孤高の獅子のオーラ、オープニングの数秒だけで座席に身体がめりこむような強い空気を感じた。

心と身体の演技、技術、2.5次元舞台特有の「原作のキャラクターを再現する」能力。これまで彼が培ってきた努力をすべて集めた結果を余すところなく見せてもらえた舞台だった。

舞台を引っ張り支える頼もしさ。自然体の強みを感じた2019年、SCHOOL STAGE『ここはグリーン・ウッド』

2019年にも多くの舞台に出演しているが、その中で選びたいのは、ほさかようと再びタッグを組んだSCHOOL STAGE『ここはグリーン・ウッド』だ。ここでは、主役の蓮川一也を演じている。

蓮川一也は非常に難しいキャラクターだ。どこにでもいるような平凡そうな多感でこじれた100パーセント少年でありながら、主人公としての強みを感じさせなければいけない。

しかし、話の中で主役ではないが圧倒的に光る存在のキャラクター達もおり、他者を光らせながら自分も中心に存在していないといけないのだ。一番キラキラしてはいけない、けれども存在感は無くてはならない。

どうする、と思いながらも「小西くんなら大丈夫だ」と観たその期待は裏切られることは無かった。想像したものが、それを軽く超したものになって返ってきた。

安定感のある歌声、こじれてねじれたブラコン少年の心理、2時間出ずっぱりなのにどこも抜けない、落ちないクオリティ。まさに座長だった。これが、これまで重ねてきた経験と自信か、カンパニーを支え、引っ張る力かと涙が出た。

まさに真骨頂だった。18番と言ってもいい。繊細な気持ちと明るい少年らしさ両面を持つ一也を見事に演じていた。先頭に立って皆を煽りながら盛り立てているわけではないのに、いつの間にか全体の中心として支柱になっている。

「ここが、こここそが俺の家」とエンディングで歌う歌が「ここ(舞台)が俺の生きる場所」と聞こえたような気がした。

この、純度の高い小西成弥の演技に魅せられてか「好きになるきっかけ!」とのアンケートの声も寄せられている。

次はどんな顔を見せてくれるのか。さらに活躍の場を広げ、経験を重ねていく小西成弥

2018年にはゲーム「A3!」で声優(泉田 莇役)を演じ、2019年の「A3! BLOOMING LIVE 2019」出演への道を作った。ファンアンケートに「ツンデレで可愛い!」「大好きになった作品」との回答が寄せられており、声の演技にも非常に魅力があることが分かる。

舞台、映像、歌、声。今後はどんな表現で新しい顔を見せてくれるのだろう。25歳になったばかりの小西成弥を、これからも追い続ける。

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WRITER

広瀬有希
								広瀬有希
							

金融・印刷業界を経てフリーライターへ。エンタメメディアにて現場取材・執筆の他、日本語・日本文化教育ソフト監修、ゲームシナリオ、ノベライズなどで活動中。感動が伝わる文章を目指して精進の日々を送っています。

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