「千秋楽、ライブビューイング決定!」こんなお知らせを目にしたことはないだろうか。
2.5次元舞台の多くでは、特に千秋楽でライビューイングを実施する公演が多い。
今回は「ライビュって何?」「どんなことをするの?」という方向けに、ライブビューイングについての解説と、実際に行ってみたときのレポートをお届けする。
もくじ
ライブビューイングとは? どこで見られるの?
ライブビューイングは、舞台やライブなどを会場外の別会場で見られるようにしたものだ。舞台の生放送を大画面で見られるイベントだと言えば分かりやすいだろう。
ライブビューイングは大抵の場合映画館で開催されるため、雨天などの天気の心配は無く場所的にも比較的足を運びやすい。映画館なので、多少の差はあれど音響設備も整っている。
近いものに「パブリックビューイング」があるが、こちらは放映会場が屋外である場合に適用される。サッカーなどの試合を街頭のビジョンや競技場で大勢で見ているものはパブリックビューイングだ。
実際の公演とどう違うの? そのメリットとデメリット
メリット……本会場のチケット完売でも見られる!オペラグラス無しでも大丈夫
ライブビューイングのメリットと言えば、何といっても「公演チケットが取れなかった場合の救済」が一番だろう。
劇場の収容人数が300~多くても1800人くらいであるのに対してライブビューイングは、実施する映画館の数やスクリーンのハコによって見られる人数が増えていく。
チケットが取れない、遠方でかけつけられない、などさまざまな事情で会場に行かれずどうしても公演を生で見られない、そんな時の強い味方だ。
また、中継カメラは全景固定ではない。DVDやBlu-rayに収録される映像のように視点が動く。
シーンごとにカメラがキャラをアップで映してくれたりするので「目が足りない!」ということはない。劇場ではなかなか見られない、細かい表情や流れる汗までも見られる。
DVDを大画面でという感覚に近いが、それでもやはり、この瞬間に同じ空の下で時間を共有しているのだ、ということが嬉しい。
デメリット……どうしても生にはかなわない!
デメリットはやはり、舞台の生の空気を味わえないことだ。劇場内の熱気、張りつめた緊迫感、役者の声、そういったものがレンズと画面というフィルターを通した存在になってしまう。
生放送のテレビの向こうの存在、という気持ちになってしまうのは致し方ない。
また全景固定視点カメラではないことは、メリットであると同時にデメリットでもある。キャストがアップで見られる半面「見たいのはそこじゃなくて!」という時にどうしようもない。
例えば、舞台中央で試合をしているが見たいのは左右のベンチのわちゃわちゃ、という時。中央の誰かにピンスポットがあたっているが見たいのはうっすらとだけ見える背景に紛れている推しの動き、という時。
生の舞台であればどこを見るのも自由だが、ライビュにおいてはカメラが抜く場所以外は見られない。後日全景のDVDを見るか、すでに舞台で見た人はそれを思い出して脳内再生するしかない。
物販が無いことが多いのもデメリットだ。たまにパンフレットを置いてくれていることもあるが確実ではない。
ライブビューイングを見たい! チケットの取り方は?
チケットの取り方ー劇場のチケットの取り方とほぼ同じ
チケットの取り方には、代表的なものではふたつの方法がある。
①各種チケットサイトを経由して買う
SNSや公式サイトなどでライブビューイングのお知らせが出たら、チケットの購入方法を確認する。ほとんどの場合、まずは各種チケットサイトからだろう。
好きな映画館を選択し、枚数を選んで購入する。多くの場合先着であり、映画館ではあるが席は選べないことが多い。
②映画館のHPなどで直接予約購入する
各種チケットサイトでの申し込みの他、映画館のサイトで直接購入する方法もある。映画館サイトからの場合は席を選べることが多い。
人気のある舞台のライビュでは、都心の映画館では戦いになることもあるので、事前に予約の練習をしておいたり、予約開始数分前から入力事項のチェックをしておくなど、準備を怠らないようにしておきたい。
大抵の場合は①→②の順になっているが「席を選びたい」と②を待っていると、うっかり①の段階で満席になりかねない。満席になりやすい会場では、スタートダッシュが鉄則だ。
価格はその舞台にもよるが、生で見るよりはだいぶ手ごろだ。3000円~4000円といったところだろう。
なお、①の場合はチケットサイトを経由するので手数料が加算されることが多い。
持ち物と心構えー劇場に行くときとほぼ同じ!
泣く用・声をこらえる用・その他に必要なタオル、公演によってはペンライト、うちわ。
「会場じゃないのにペンライト?」と思うかもしれないが、やはり本会場と一緒になってやった方が気分が盛り上がる。あおられれば声も積極的に出して行こう。
劇中、キャストがライビュのカメラに向かって「ライブビューイングのみんな!」など声をかけてくれたりいじってくれる場合もある。
こちらからの反応は直接は届かないが、テンションのままに応えて気持ちを会場に届けたい。
録音・撮影はもちろんNG。隣とのお喋りやネタバレなども厳禁だ。場所は違えども、会場に舞台を観に行くのと同じ心構えで行けば間違いはない。
実際に行ってみましたーヒロステライビュレポ
本公演との違い、同じところなど
2019年4月29日(月)、「僕のヒーローアカデミア The “Ultra” Stage 」の日本公演千秋楽ライブビューイングが全国の映画館にて開催された。
本公演は劇場に2度足を運び「できることなら千秋楽も劇場で」と思ったが、その人気ぶりにチケットを取るのは無理だと判断しライビュへと心を切り替えた。
なお、開催10日前の時点で都内の主要映画館はほぼ満席。当日券に並ぶかもしくはライビュを選ぶにしても、できるだけ早い判断が必要になる。
物販も無いため、開場時間に合わせて映画館へ到着。会場となるスクリーンへ向かった。手にはポップコーンやジュースを持った人が多い。
映画を見るのと同じイメージだ。そして本会場と比べて男性が多いように感じた。
スクリーンには、舞台のロゴと「客席内での撮影・録音は固く禁じます」などの注意書き。これもまた、映画の上映前と同じだ。
公演開始時間が近づき、本会場で流れていたものと同じ音楽が流れ始めた。公演と同時に映像その他を繋ぐのではなく、しばらく前から繋がっているようだ。
舞台では、たまたま取れた最前列でキャストの表情までじっくりと、2階席からは全景をたっぷり見られたので、ライビュではどのような映像になるのか楽しみに見始めた。
前述のメリット「表情や汗、腹筋の陰影までもたっぷり堪能」できたが、逆にやはり「カメラさん! そこじゃない!!」と叫びたくなる箇所もいくつかあった。こればかりは本公演を見ていたがゆえの苦しみだろう。
公演中は青山優雅(演:橋本真一)がカメラを指差し「ライブビューイングをご覧のマドモワゼルシスターズ! 油断してたでしょう!」といじってくれた。
他の舞台でも、日替わりのシーンや少し息抜きとなるようなシーンでライビュ会場への呼びかけがあることが多い。
途中休憩があるのも本会場と同じだ。カーテンコールも同じように見られる。しかし場合によっては、何らかの事情で途中で映像が切れてしまうこともある。
公演は全部見られるが、カーテンコールは「おまけ」と考えておいた方が無難だろう。
ライビュの映像=必ずDVD収録の映像になるというわけではない
また、この日の映像は後日DMMでディレイ配信された。日替わりや細かい所まで配信期間中何度も確認したが、カーテンコール部分が少々カットされていたものの公演内容は千秋楽と同じだった。
※ディレイ配信…ライブ映像を後日改めて放送・配信する方法。何らかの編集がされていることもある
しかし、ライブビューイングに使用された映像が必ずそのままDVDに収録されるというわけではない。収録日には特に予告なく「今日はカメラが入っています」と張り紙がされている。
どの日の映像が収録されるのかは前もって分からないため、おいしい日替わりがあってもDVDでもう一度見られるかと言えばその保証は無い。
前向きに考えれば「違う日の公演が見られる」ので、カット割りなども含めて自分が見た公演との違いを発見するなどさまざまな楽しみ方をして欲しい。
また、全景固定映像が収録されていれば、舞台をそのまま見た気分により近くなる。
ライビュにするか? 当日券を狙って粘るか?
確実に落ち着いて見たい場合はライビュ
行かれるものであれば会場に生で見に行きたい! と多くの人は思うだろう。しかし、さまざまな事情でそれがかなわない場合は、やはりライビュを選ぶことになる。
注意点は何よりも「チケットは早めに」だ。特に、都内の大きめの映画館は席が埋まるのが早い。また、選べるものであれば、できるだけ多くの人と感動を共有するために大きなスクリーンの映画館を選びたい。
当日券を狙いつつ万一の時はライビュに……という場合
ライビュが実施される日は千秋楽であることが多い。そして千秋楽は、通常の場合最もチケットが取りづらい。
行かれるものであればやはり生の劇場で、ギリギリまで当日券チャレンジをしたいところだが、当日券は賭けでもある。
最後の最後だからと通常の日よりも多く立ち見で入れてくれることもあるが、会場に行ってみなければ分からない。当日券にも負けライビュは満席、ということは絶対に避けたいところだ。
当日券チャレンジに負けてしまった時のために、そこから行かれるライビュ会場の残席を確認、乗り換え経路をチェック、この2点は必須になる。
どちらの場合でも、それぞれにメリットと楽しみ方がある。生でもライビュでも、キャストたちの熱い思いを最後まで受け止めたい。
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