4月23日(日)、舞台『遙かなる時空の中で3 Ultimate』が東京・こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロにて幕を開けた。
本作は、「遙か」シリーズ舞台化15周年記念作品。2020年6月に上演を予定していた舞台『遙かなる時空の中で3 再縁編』と、2021年1月に上演した続編・舞台『遙かなる時空の中で3 十六夜記』の2本を交互に上演する挑戦的な演目だ。
今回2.5ジゲン!!では、23日(日)に行われた舞台『遙かなる時空の中で3 再縁編』のゲネプロレポートをお届けする。
ライブ配信概要
■対象公演・チケットリンク■販売価格
・2公演セット(特典映像付き)
5,000円(税込)
・2023年4月30日(日)12:00公演(再縁編)
・2023年4月30日(日)17:00千秋楽公演(十六夜記編)
3,000円(税込)■ライブ配信時間
イブ配信終了まで(予定)■ディレイ配信期間
2023年5月1日(月)19:00~2023年5月6日(土)23:59まで■特典映像視聴期間
2023年5月1日(月)19:00~2023年5月6日(土)23:59まで※詳しい視聴デバイスに関してはサービスサイトをご覧ください。
『遙かなる時空の中で3』は、2004年12月に女性向けアドベンチャーゲームとして発売されて以降、ファンディスクも含め展開されてきた人気作品だ。本来は攻略していくルートによってストーリーが変化していく展開のゲームだが、本作にはそういった分岐は存在せず、主人公の望美を中心に各ルートの整合性を保ちながら物語が描かれていく。
現代で普通の高校生として生活していた春日望美(演:渡辺みり愛)は突然、不思議な力で源平争乱期の世に時空移動させられてしまう。今で言う“異世界に飛ばされる”わけだが、そこではどうやら史実とは異なる源平合戦が繰り広げられている。
望美は怨霊を封印する力を持つ「白龍の神子」であると言われ、最初は戸惑いの中で元の世界に戻る為に奮闘するが、源氏軍に加わり神子を守護する「八葉」と出会い、ともに過ごす中でこの世界を守る凛々しい強さに目覚めていく。
本作は二部構成となっており、一部では平家の平知盛(演:中村誠治郎)、有川将臣(演:遊馬晃祐)が怨霊を率いた奇襲を京の都に決行し、源氏側が崩壊。また、中立であった天の朱雀・ヒノエ(演:掛川僚太)も平家側につき、次々と倒れていく源氏側の八葉。必死で助けようとする望美の好演が、“全滅”という絶望の現実をより濃く描きだす。
そんな絶望の淵に立つ望美ではあったが、白龍の力を使い元の世界に戻ることに。源平合戦もない普段の日常に戻った望美だが、それは本当の願いではない。望美は決意し、源氏のみんなに出会った時間まで巻き戻ることを選ぶ。
一部の流れを継いだ二部では「ループ物」へと物語が変貌。望美は運命を変えるため、源氏のみんなを守るために奔走する。ゲームの「運命上書きシステム」を再現している形だ。
過去の時空、九郎との初めての出会いでは、彼の行動・発言を見越して指摘することで自分の存在を主張し、前回で学んだ太刀筋を披露する。その後も、ヒノエの素性を言い当てたり、源氏への貸しを作れるメリットを説明したりして、説得を試みる。
また、九郎とヒノエの前では怨霊を退治して実力を示し、水虎となった敦盛の心に寄り添い、元の姿になるように働きかけた。みんなを救う願いのため立ち回る望美の姿に、八葉は絆(ほだ)され一致団結していき…。
このように二部では、過去の時空で自分が経験したことを駆使し、八葉の信頼を勝ち取り、絶望の結末を回避するよう物語が紡がれていく。最終的に、望美が過去を塗り替え大団円を迎えることとなったが、梶原景時(演:フクシノブキ)の不穏なセリフで幕引きとなる。これは、続編『十六夜記編』へと続いていくことに…。
歴史改変・異世界時空異動、タイムリープなど様々な要素が絡み合うが、主軸として「望美視点の物語」ということで全体の展開が見通し良く楽しめるような作品に昇華されている。二部構成のストーリーや客席を利用した演出なども、物語の世界観をより楽しめる工夫とされている。
また、ヒロインを取り巻く魅力あるキャラクター達も本作の魅力だ。
有川将臣(演:遊馬晃祐)
望美とは幼馴染みで同級生だが、時空移動時に1人だけ逸れて3年前に飛ばされてしまい、平家に助けられていた。そのまま平家に助力し、史実を変えるよう尽力する。学園パートや望美と再会する際、またその思いを殺して戦うシーンなど、葛藤するシーンが多い。
源九郎義経(演:鐘ヶ江洸)
出会いとしては良い印象は無かったが、望美の心の強さと成長を目の当たりにしていく中で感心を寄せていく。望美の剣の師匠リズヴァーン(演:新田健太)の弟子で、望美にとっては兄弟子にあたる。史実の源 義経のように、力強くしなやかに剣技を披露。
ヒノエ(演:掛川僚太)
天の朱雀。熊野水軍頭領であり本名は藤原湛増。軽薄に望美を口説くような素振りをしていくが、最初の世界では状況を判断し平家につく。巻き戻った世界では、望美の献身的な行動、説得に納得し源氏を協力する。特殊な鍵爪のような武器で俊敏さを活かした戦いを行う。
武蔵坊弁慶(演:服部武雄)
優しい物腰で誰にでも優しく接する源氏の軍師。九郎と知り合い、彼のもとで源氏として戦っているが、戦が終わってほしいと願っている。緩やかなキャラクターとは打って変わり、薙刀を大胆に振り回して戦う。
有川 譲(演:千綿勇平)
望美が異世界に行く際に巻き込まれ、一緒に同じ時代にきた望美の幼馴染み。望美の身を案じ、自分が守れるように気を配り弓で戦闘を行う。
梶原景時(演:フクシノブキ)
黒龍の神子・梶原朔(演:野本ほたる)の兄。陰陽師にして源氏の軍奉行。銃で戦う様が舞台映え抜群。
平 敦盛(演:古賀瑠)
平家によって最初に生み出された怨霊。平家に属する者だが、怨霊に関して自身にも責任があると感じ、望美に協力する
リズヴァーン(演:新田健太)
九郎と望美の剣の師匠。剣の強さだけではなく、心の強さなどをしっかりと支えてくれる指導者。黒い大剣を駆使して力強い戦闘シーンを披露。状況認識能力が高く、望美が時間を戻ったこともしっかりと理解していた。
白龍(演:藤林泰也)
主人公を召喚した龍神で望美の頼れる存在の1人。優雅に優しく見守っていた。逆鱗の力を使うことで望美を元の世界に戻すことを選ぶ。
平 知盛(演:中村誠治郎)
怨霊が多い平家武将の中で、数少ない生身の人間。戦闘では八葉を圧倒する剣技を披露し、1人で複数の人物と交戦する。両手に刀を握り二刀流で、剣や銃と交戦する殺陣は見どころ満載。強キャラに相応しい威風堂々たる活躍を見せた。
本作では、今回の『再縁編』に続く物語の『十六夜記編』もあるため、この機会に2作品を観劇するのがおすすめである。終演後にアフタートークショーが行われる回もあるため、そちらも確認してほしい。
取材・文:木皿儀隼一/撮影:ケイヒカル
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