レポート

「人生の1ページに」THE RAMPAGE長谷川慎×北乃きい「ロミオ&ジュリエット」ゲネプロレポート

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世界中で愛されるシェイクスピアの不朽の名作「ロミオとジュリエット」。本作を新進気鋭のイギリス出身演出家、アレクサンドラ・ラターが幻想的かつ現代的に描き出す舞台「ロミオ&ジュリエット」が、1月28日(土)に東京・Bunkamura シアターコクーンにて初日を迎える。

2.5ジゲン!!では、初日を前に実施されたゲネプロ及び囲み会見の様子をレポート。ロミオ役にパフォーマーとして多くのファンを魅了する長谷川慎(THE RAMPAGE)、ジュリエット役に中学生の頃から役者として第一線で活躍し続ける北乃きいを迎える本作の見どころを紹介する。

物語の舞台となるのは、架空の都市「ヴェローナ」。公式サイトのイントロダクションにもあるように、「今」と「昔」が入り乱れる都市として描かれていく。

現代を舞台としていて建物や衣装も現代風、しかしセリフや、そのセリフをもとに語られる価値観は14世紀のもの。このミスマッチが生み出す非現実的な雰囲気が、観客をおとぎ話のように幻想的なヴェローナへといざなっていく。

厳かで空気がピリつくプロローグから、キャラ紹介を兼ねたOP、そして本編へ。この短い時間だけでも、本作がいかにスタイリッシュに仕上がっているかを感じることができるだろう。

セットはすべて可動式。ときにはまっさらな何もない空間、ときには高くそびえるバルコニーが出現、と流れるように景色が変わっていく様は、出会った瞬間に恋に落ちた2人がたどる波乱に満ちた運命のよう。いっときも心休まる暇なく、刻々と2人の物語と観客の感情は動き続けていく。

▲ロミオ(演:長谷川慎)を中心としたチーム・モンタギュー

恋多きモンタギュー家の跡取りロミオ(演:長谷川慎(THE RAMPAGE))と、親に有益な結婚を望まれながらもシンガーソングライターとしての夢を追うキャピュレット家の一人娘ジュリエット(演:北乃きい)は、ある夜、運命的な出会いを果たす。

▲ロミオに掴みかかるティボルト(演:中尾暢樹)

出会った瞬間、本当の恋の意味を知った2人は、互いの手を取り合い未来を誓うが、両家の間には根深い確執が横たわっていた。加えて、ジュリエットは大公の親戚であるパリス(演:小松準弥)との縁談話が持ち上がっており…。

▲スーツ姿で足の長さが映えるパリス(演:小松準弥)

ここから、結ばれてはならないけれど愛し合ってしまったロミオとジュリエットの、美しくも悲しい物語が展開されていく。現代へと舞台を移した本作は、はたしてどんな軌跡の末に、2人の愛の物語に決着をつけるのか。その全容はぜひ劇場、またはライブ配信にて楽しんでほしい。

本作が舞台出演3作目となる長谷川は、飾らないピュアな芝居でロミオの持つ繊細さを表現。パフォーマーとして鍛え上げられた肉体は、心の内側からあふれてくるセリフには乗りきらない思いの受け皿となり、観る者にロミオの気持ちを伝える。観る者の想像力をかきたてる芸術性の高い演出に、彼のロミオはぴたりとハマっていた。

▲芝居でも魅せる長谷川のロミオ

対するジュリエットは、外国人演出家の演出作品にも出演経験のある北乃とあって安定感は抜群。芯の強さで己の愛を貫き通そうとする彼女の勇敢な姿は、さながらヒーローのよう。北乃と演出家のタッグによって咀嚼(そしゃく)され表現されるジュリエットに、新たな「ロミジュリ」のジュリエット像を受け取れたように思う。

▲くるくると変わっていく衣装にも注目

本作は2人を取り巻く若者たちに、今後の活躍が楽しみな役者陣が名を連ねている点も見どころだ。

キャピュレット夫人の甥でジュリエットの従兄のティボルト役は、『動物戦隊ジュウオウジャー』以降、ミュージカル『刀剣乱舞』やライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』などで活躍する中尾暢樹。プライドの高さと血の気の多さを感じさせながらも、どこかスマートさを感じさせるティボルトを熱く演じた。

▲クールさと熱さとのバランスが見事だった中尾演じるティボルト

そんなティボルトと揉めがちなマキューシオ役をドラマを中心に活躍する京典和玖、2人の間に割って入ることが多いベンヴォーリオ役をミュージカル『刀剣乱舞』でブレイク、舞台『炎炎ノ消防隊』-地下からの奪還-での初主演も記憶に新しい石川凌雅が演じる。ロミオの親友である2人の思わずニコニコしてしまう“ニコイチ感”は必見だ。

▲面倒見のよいところがかわいいベンヴォーリオ(演:石川凌雅)

そして、大公の親戚でありジュリエットの父・キャピュレットも“男のなかの男”と絶賛する好青年パリス役を演じるのは小松準弥。『仮面ライダーリバイス』をはじめ、歌劇「桜蘭高校ホスト部」では主演を務めた小松は、2014年の初舞台がNINAGAWA×SHAKESPEARE LEGEND I「ロミオとジュリエット」だった。

小松はイベントなどで今作に出演することに運命的なものを感じていると語っており、思い入れもひとしおだろう。長身とスタイルのよさが際立つ品の良いスーツ姿でのノーブルな振る舞いに注目を。

▲ある小道具にも姿が載っているパリスをお見逃しなく

ロミオとジュリエットの困難多き恋を見守っていくことになるロレンス神父役の山崎樹範とジュリエットの乳母役の野口かおるが、さすがの表現力で若者たちの物語をグッと締め、ジュリエットの両親を演じる若杉宏ニと紺野まひる、ロミオの両親を演じる鈴木省吾と美羽あさひが、形は違うけれどもそれぞれの家族の深い愛を見せてくれた。

松村雄基演じるエスカラス大公の登場シーンはそう多くないが、圧倒的な存在感で劇場の空気を支配していたのが印象的だ。

悲劇であり純粋な愛の物語である「ロミオ&ジュリエット」。その情景は最後まで一貫して美しく幻想的であった。それでいて、胸にはしっかりと痛みが残る“生きた物語”でもあった。新たな表現のもとに生まれた新生「ロミオ&ジュリエット」が、あなたの胸にどんな傷跡を残すのか、ぜひ劇場で確かめてみてほしい。

「ロミオ&ジュリエット」は1月28日(土)~2月12日(日)に東京・Bunkamura シアターコクーンにて上演。1月28日(土) 18:00公演、2月12日(日) 13:00公演はシアターコンプレックスにてライブ配信も決定している。

囲み会見レポート

ここからはゲネプロ前に実施された囲み会見の様子をレポート。アンサンブルを除く全キャスト、さらに演出家のアレクサンドラ・ラターが登壇した。

――役の見どころと意気込みをお聞かせください。
長谷川慎(ロミオ役):ロミオは恋多き人生を歩む男の子で、恋によって人生が狂ってしまう物語です。ジュリエットに出会ってからは彼女一筋で周りが見えなくなるほど彼女を愛して、良くも悪くも周りが見えない男気のある人物です。

北乃きい(ジュリエット役):今回のジュリエットは、すごくロックでクールなイメージだと演出家のアレックスさんから聞いて、みなさんがイメージするジュリエットとはきっと少し違うシンガーソングライターの役です。気持ちを歌に乗せるシーンもあります。芯の強いジュリエットを演じさせていただきます。今まで見たことのない作品になっていると思います。

中尾暢樹(ティボルト役):怒りや迫力、さらに今回は「ロミオをぶっ倒したいな」と思っているので、その気持ちを持ってこの世界観を作り上げてきました。いままでにない「ロミジュリ」を楽しんでいただけたら嬉しいです。

小松準弥(パリス役):パリスはジュリエットに求婚を迫る役どころですが、「なぜジュリエットと結婚したいのか」というところに注目してもらえたらと思います。この時代に「ロミジュリ」をやらせていただくことはきっとなにか意味があると思いますし、僕たちがこの世界を全力で生きることでみなさまの心に響くものもあるのではないかと思うので、精一杯演じさせていただきます。

石川凌雅(ベンヴォーリオ役):ベンヴォーリオは両家の争いに常に巻き込まれていて、中立な立場ながらもなにか起きたときにそのシチュエーションのベストをいつも考えているような男です。止めようとしても止まらない争いが多いストーリーですが、心の葛藤を繊細に演じていけたらと思います。

京典和玖(マキューシオ役):マキューシオのイメージ的にはおちゃらけてたり短気だったりというものがあるかと思いますが、実は彼は繊細で世間に対してぶつけようのないエネルギーを持っているという二面性に注目して観ていただけたらと思います。アレックスから「ダークなマキューシオを演じてほしい」と言われたので、それをしっかり観せられたらと思います。

若杉宏ニ(キャピュレット役):見どころはすべてです(笑)。観てのお楽しみということで。この愛が薄い時代に、愛のつまったこの物語をぜひ観ていただきたいと思います。

紺野まひる(キャピュレット夫人役):誰もが知るこの作品ですが、この2023年に上演することに意味があると感じていますので、観る方の心を少しでも動かして、世界が変わってくれたらと思っています。

鈴木省吾(モンタギュー役):ロミオと同様に、父である私も恋多き男だったのですが、最終的にこの妻を大事にするようになりました。この妻への思い、ロミオへの愛情を観ていただけたらと思います。「あんなのロミオの父親じゃないよ!」と言われないように、素敵な父親になれるよう頑張ります。

美羽あさひ(モンタギュー夫人役):ロミオと絡んでお芝居することはほとんどないのですが、そのなかでも息子との関係性やモンタギュー一家の雰囲気を味わっていただけるように頑張りたいと思います。

松村雄基(エスカラス役):舞台の物語であるヴェローナを牛耳るボスです。従来は慈悲深いイメージが多い役かと思いますが、アレックスから「本当はダークなところがいっぱいある役だ」と言われたので、僕の心の中にあるダークな部分を全面に出して奥深い人間臭いエスカラスを演じたいと思います。

山崎樹範(ロレンス神父役):僕の演じる役はロミオとジュリエットの兄のような存在ですが、それはさておき、この会見にいないアンサンブルチームの子たちが作品の隅々を埋めてくれています。そういった舞台の転換ひとつもすべて美しく演出をつけてくれているので、そういった部分も見どころかなと思います。

野口かおる(ジュリエットの乳母役):若い2人の恋の背中を押す役です。有名なこの作品を、多くの人が本棚にある物語だと思っているかもしれませんが、私たちが作った物語を目の前で観てもらうことで、切ったら血が出るような、誰にとっても無関係ではない人間の物語だと感じてもらえたらと思います。

アレクサンドラ・ラター:世界で一番有名なラブストーリーを、素晴らしいキャストとともに美しい表現で作りたいと思っていました。言語を超える物語で、世界を変える作品になればと思っています。楽しんでいただけたら嬉しいです。

――演出家とのやりとりで印象深かったことはありますか。

長谷川:シェイクスピアの言葉って難しいじゃないですか。だから初めて台本を読んだときに、難しい言葉がさっぱりわからなくて、正直混乱していたんです。でも、アレックスがそれを解いてくれて。台本には英語と日本語で書かれていて、1つのセリフに対しても英語のニュアンスをさらに日本語に落とし込んで伝えてくれたので本当に感謝しています。自分の中で落とし込みながらセリフを言えるようになったのは、アレックスのおかげです。

北乃:幻想的、現代的に描いている作品ですが、日本語がわからない方が観てもわかるようなムーブメントがついていて、どんな方にも楽しんでいただけると思います。あとは太陽みたいに毎日ニコニコ元気な方なので、稽古場で私たちは毎日幸せな空気のなかでできました。

――最後にファンへのメッセージをお願いします。

長谷川:この作品をこのタイミングでやれることに意味があると思うので、皆さんの心に残る作品にしたいですし、その方々の人生の1ページとなる作品になればと思っています。みなさんも楽しみにしていてください。

北乃:幻想的なダンスと現代的なシーンでみなさんにお届けしてまいります。このビジュアルだけでもサプライズ感があると思うんですが、さらに劇場に観に来ていただいたときにサプライズボックスを開けたときのようなびっくりや感動がつまっている作品になっていると思います。ぜひ劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです。

取材・文・撮影:双海しお

作品概要
■タイトル
ロミオ&ジュリエット

■期間・会場
2023年1月28日(土)~2月12日(日)
東京・Bunkamura シアターコクーン

■原作
ウィリアム・シェイクスピア
■翻訳
松岡和子
■上演台本・演出
アレクサンドラ・ラター(Whole Hog Theatre)

■キャスト
ロミオ:長谷川慎(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)
ジュリエット:北乃きい

ティボルト:中尾暢樹
パリス:小松準弥
ベンヴォーリオ:石川凌雅
マキューシオ:京典和玖

キャピュレット:若杉宏二
キャピュレット夫人:紺野まひる
モンタギュー:鈴木省吾
モンタギュー夫人:美羽あさひ

ジュリエットの乳母:野口かおる
エスカラス:松村雄基
ロレンス神父:山崎樹範

アンサンブル
飯嶋あやめ、五十嵐優、石井大希、川瀬遼太
咲花莉帆、瀬戸口希哉、本間健太、森山晶之

■主催
ロミオ&ジュリエット製作委員会

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公演情報

WRITER

双海 しお
 
							双海 しお
						

アイスと舞台とアニメが好きなライター。2.5次元はいいぞ!ミュージカルはいいぞ!舞台はいいぞ!若手俳優はいいぞ!を届けていきたいと思っています。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。

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