「鉄ミュ」として2015年の初演から熱狂的なファンを生み出している「ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』~すべての路は所沢へ通ず~」が2019年5月9日(木)に初日を迎える。
同シリーズにとって初のスピンオフ作品。さらに、「会長、万歳!!」の声が聞こえてきそうなキービジュアルに期待が高まっている。
そんな鉄ミュファンのために、見どころを詰め込んだゲネプロ観劇レポートと囲み取材の様子をお届けする。
鉄ミュファンの愛が試される!? 気を抜けない怒涛のジェットコースター
これは新感覚アトラクションだろうか。開演数分後、筆者は肩を震わせながら西武グループの世界にすっかり飲み込まれていた。
原作のコミックを読んでいるような感覚で次々と描かれる西武グループの面々+秩父鉄道の日常と非日常のバランスが絶妙だった。
フィクションではあるものの、限りなく事実に近い出来事や事件が巧妙に“ネタ”に昇華されている。「青春鉄道」ファン、ひいては鉄道ファンなら、思わず「細かすぎる!」とツッコみたくなるシーンが満載だ。
▲新感覚な参加型舞台に仕上がっている
先ほど“アトラクション”と形容したが、初見の際はぜひとも気を張り詰めておいたほうがいいだろう。
西武グループといえば「会長、万歳!!」コール。舞台冒頭から、これでもかというほど会長への愛を客席も一緒になって叫ぶからだ。
▲会長への愛がつまった万歳は見どころのひとつ
さらにコール&レスポンスもある。気を抜いていると快速並のスピードで駆け抜けていくテンポに置いていかれてしまうだろう。
ちなみに余裕があるなら早めに着席しておくことをおすすめする。というのも、日替わりで登場するキャストによる前説があるからだ。万歳の練習もしてくれるので、前説でしっかり喉を温めておこう。
舞台を観るのに喉を温める、というのも変な話だが、この奇妙な感覚こそがこの作品を観ている際の感覚に近いのかもしれない。
“愛”がつなぐ物語〜各キャラ見どころ紹介〜
西武池袋線(KIMERU)の異常なまでの会長への愛は、真夏の日差しを浴びているようにギラギラと熱い。
つい喉が心配になってしまったが、KIMERUの熱量に誘発されるように客席の温度も一気に上がっていった。観客の心を掴む上手さは、さすがのひと言に尽きる。
▲KIMERUのカリスマ性が際立つ作品
後述する囲み取材では一刻も早くこの世界から抜け出したいと冗談まじり言っていた滝口幸広は、西武秩父線役としてメンタルが大暴走する池袋線のお世話に奮闘していた。
また秩父仲間の秩父鉄道(森山栄治)とのやり取りや楽曲もコミカルで目を奪われてしまった。
西武朝比奈線(渡辺コウジ)をとりまく物語は、日本茶を飲んでホッと一息つくようなアットホームな愛にあふれていた。
とくに西武新宿線(橋本汰斗)との描写は、お互いへの愛と原作への愛がにじみ出ていたので、ファンは楽しみにしていてほしい。
▲安比奈と新宿の“愛”にも注目したい
ヒーロー愛が止まらない西武西武園線(馬場良馬)の変身シーンは特撮ファン必見である。西武有楽町線(土方柚希)とニチアサを観ていたり、2人で変身ごっこをしていたりするのだが、変身のセリフとポーズに思わずニヤリとしてしまうだろう。
見知らぬ相手との出会いを必死に求める西武国分寺線(木村敦)は、格好いいのだがどこか惜しい、という役どころを見事に再現。動きのクセが強く、つい目で追ってしまった。
異常な愛といえば、西武狭山線(岩城直弥)のレオライナーへの愛も見どころだ。ゲネプロでは日替わりキャストのうち高橋優太がレオライナー役を演じていたのだが、2人の関係はかなり濃厚。
レオライナーを演じる日替わりキャストによって、2人の空気感がどう変わるのか。複数回観劇予定がある人はぜひ見比べて楽しんでみてもいいかもしれない。
さらにアンサンブルの福井大輔、齋藤健心、伊藤智則、大野紘幸の4名も大活躍だった。西武のとある鉄道を演じていたのだが、それぞれメインキャストにも負けない個性を放っていたので、彼らにも注目してみてほしい。
囲み取材レポート
ゲネプロに先立ち囲み取材が行われた。その様子を余すところなくご紹介しよう。
登壇したのは西武池袋線役のKIMERU、西武安比奈線役の渡辺コウジ、西武新宿線役の橋本汰斗をはじめとした西武グループの面々と秩父鉄道がズラリと揃った。
▲会長への愛を表現してもらった1枚
ーー意気込みを聞かせてください。
KIMERU(西武池袋線役):4作目にして初のスピンオフに、我が西武グループが選ばれ嬉しく思っています。観て頂くと分かるように金髪に同じ制服ということで、よりキャラクターを出して誰が誰だか分かるように頑張りたいな、と思っております。
これまで(シリーズ過去作品では)西武は1人だったり3人だけだったりでずっと支えてきたんですけど、今回はその気持ちも残したまま、より素晴らしい西武グループが観せられるように頑張りたいと思います。
渡辺コウジ(西武朝比奈線役):安比奈線はすでに廃線になっていますが、この作品で生き生きとした姿をお見せできたらと思います。西武の歴史を擬人化で観られるいい機会になっていると思いますし、ドラマチックに楽しんで頂けるんじゃないかと思っています。
橋本汰斗(西武新宿線役):僕は「2」に出演しまして、西武は3人だったんですね。3人で会場を「万歳」に巻き込むということをしてたんですが、今回はこれだけの人数がいるので、前回よりも何倍も何倍も万歳を巻き起こせたらなと思います。
滝口幸広(西武秩父線役):顔合わせの時に「ヤバイ世界観をつくる」と仰っていて、そのときは「何言ってるんだろうな?」と思っていたんですが。稽古が始まってだんだんその意味が分かってきました。一刻も早く抜け出したい、それくらいヤバイ世界にみなさんを巻き込んでいけたらなと思っています。
「ヤバイ」ことを連呼する滝口に対して、馬場からはすかさずツッコミが入り笑いを誘っていた。
馬場良馬(西武西武園線役):僕が演じる西武園はヒーローに憧れているという役です。僕自身もはるか昔に地球を守っていた時代もありまして、その経験を存分に生かして、皆様に西武グループの世界観に浸っていただければと思います。
木村敦(西武国分寺線役):お客様がいい意味で「すごいものを観たな」と思ってもらえるような、そんな作品にしたいと思います。鉄道の話でもありますが、人間味のあるお芝居をしますので、どこか共感して頂けたらな、と。
それと、僕たち西武グループのグループ感を観ていただきたいです。ぜひ皆さんにも万歳をやって頂けたらと思っています。
マイペースなところのある木村が話し出すと、何が飛び出るのか? とキャスト陣がザワザワしていたのが印象的だ。
岩城直弥(西武狭山線役):埼玉県出身なので昔から西武鉄道を使ってきました。不思議な縁を感じています。緊張していますが、我々には会長がついているので、会長をそして西武グループを信じやりきりたいと思います!
土方柚希(西武有楽町線役):僕は舞台が初めてなので緊張していまが、西武グループのみんなと楽しく盛り上げていくので、みんな応援してください!
言葉が詰まってしまうと、お兄さん達から「頑張れ」とエールをもらっている姿がなんとも微笑ましかった。
森山栄治(秩父鉄道役):KIMERUも言ってましたが、初のスピンオフです。これを成功させて5作目、6作目さらにはライブとか新しい試みにチャレンジできるように頑張っていきたいと思います。
――見どころと、お客様へのメッセージをお願いします。
森山:見どころは昨日気づいたんですけど(と、ここで「昨日?」と各方面からツッコミが入っていた)、セットが動くところがありまして。
その中でばばりょ(馬場)が必死に色んなことをするんですけど、動くせいで稽古どおりにいかなくて、そこは日替わり要素ではないシーンなのに毎回違うことが観られるんじゃないかな、と。そこが僕は1番の見どころです(笑)
お客さん参加型になっていますので、万歳したり叫んだりと楽しんで帰っていただければと思います。
土方:ホワイトデーのシーンがあって、そこが面白いのでぜひ観てください!あと、一緒に万歳してください!
岩城:日替わりゲストのレオライナーのことをめちゃくちゃ愛している役で、レオライナーへの愛を叫びまくるので、そこの異常な愛を感じ取っていただければと思います。
この公演を観て、お客様が西武愛に目覚めて西武グループの鉄道に乗ってみようかなって思ってもらえたら嬉しいです。最初は「この人たちヤバイな」って思うかもしれないんですが、心の準備をしていただいて、最終的には面白いなって思ってもらえたら嬉しく思います。
木村:異常な会長愛と、個性がたくさんあって「みんな違ってみんないい」っていう感じを楽しんでもらえたらと。
僕の役はモテたくて頑張るけどモテない役なんですが、僕がちょっと格好よすぎて本当はモテちゃってアレなんですけど……(ツッコんだほうがいい? とざわざわし始めるキャスト陣)役としてモテない部分を演じるのでそこを観てもらいたいです。
今回はお客様参加型なんですが、もしかしたら「恥ずかしい」って思うこともあるかもしれません。だけど、逆に参加しないほうが恥ずかしいって思ってもらえるような空間を西武グループで作っていきたいと思います。
馬場:ユニフォームも金髪も一緒ですし、誰が誰なんだかっていう感じだと思うんですけど、舞台上ではそれぞれ個性が爆発しています。一同に介しているシーンではあっちこっちで色んなことが起きていて、目がいくつあっても足りない、でもシーンとして成立するように頑張ってきたので、たくさん通って観ていただけたら嬉しいなと思います。
僕たちはこの舞台を作るにあたってお客様を“洗脳”していく作業だな、と。開演して5分くらいは「なんて舞台に来てしまったんだ」と思うかもしれませんが、終わる頃には心から万歳をしているでしょう。そうなってもらえればここまでやってきた意味があるなと思いますので、皆さん叫びましょう!
滝口:場当たりをしながら観ていて、「何を観させられているんだろう」という新しい感情が生まれました。こういう舞台もありなんだな、ということを知ることができた作品です。普通の舞台では味わえない感覚をお届けできたらな、と思います。会長、万歳!!
橋本:たくさん見どころがあるんですけど、僕は安比奈だと思っています。表情の切り替えがすごいなと思っていて、だけど仮面を被っていてほとんど見えないんですが(笑)素顔が観られるシーンではぜひぜひチェックしてください。
あと、見どころというより感じどころなんですが、客席と一体となって色々やってもらう作品です。なので、それをやり逃してしまうともったいないなと思うので、ぜひ一緒に「青春鉄道」を盛り上げてください!
渡辺:稽古からやってきて思うのは、西武グループのなかでも各々の関係性がすごく面白いな、と。歴史に沿った関係性でもあるんですが、それぞれ色んな関係性があるのでそこを楽しんでもらいたいです。愛に溢れた作品になっていると思いますので、応援よろしくお願いいします!
KIMERU:舞台なんですけど、ライブだと思って来て頂きたいな、と。万歳だけじゃなくコール&レスポンスもありますし。
それと今回のテーマが“愛”。いまは亡き会長に作られて、各々に会長との愛をはじめ色んな愛が観られるので、そちらを楽しんでいただけたらと思います。
亡き会長が作ってくださった品川プリンスホテル、ここでやるというのが西武グループにとって本当に良かったと思っていて。なので、劇中でも品川プリンスホテルをめちゃくちゃ推します(笑)ここで上演するというのがとても感慨深いので、そこも見どころのひとつです。
皆さんへのメッセージとしては、東武はいらないので西武のためだと思って来て頂いて、万歳をしていない方は排除していくくらいの感じで(笑)みなさんに楽しんで頂いて、声出してストレス発散して、愛のセッションができたらな、と思います!
会長が生み出した品川プリンスホテルにある品川プリンスホテル クラブeXで上演される西武鉄道たちの物語。
これ以上ないほど彼らにふさわしい劇場で繰り広げられる「ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』~すべての路は所沢へ通ず~」は5月9日(木)~5月19日(日)まで上演される。
ぜひ会長への愛を叫び、彼らとの一体感を味わってみてはどうだろうか。
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