bpm15周年記念公演「beats per minute CHAIN LIFT」が、12月16日(金)に初日を迎えた。2.5ジゲン!!では、公演に先立ち実施された公開ゲネプロの様子を、核心のネタバレに配慮しつつレポートする。
国際諜報組織「AWARDS」から逃走した「唯一無二のチーム」。ACADEMY(演:浅沼晋太郎)、EMMY(演:猪狩敦子)、GRAMMY(演:細川洪)、TONY(演:菊地創)の4人がPULITZER(演:伊藤マサミ)に導かれ、米国中央情報局CIAに所属となった。それぞれが特殊技能を駆使し、日々任務をこなしている。
香港での任務を終えた「CIA」メンバーのもとに、新興テロ集団「S.I.R.」の情報が舞い込み、次の舞台はフランスへ。「S.I.R.」のメンバーはリーダーのPOKER(演:上田堪大)を筆頭に、ROULETTE(演:谷口賢志)、SLOT(演:ベルナール・アッカ)、BINGO(演:五十嵐雅)、BJ(演:汐崎アイル)、BACCARAT(演:榿澤涼太)と各種得意分野が異なるメンバーで構成されている。
ここから「CIA」と「S.I.R.」の、騙し騙されの情報戦が繰り広げられることとなる。 そして各メンバーは各々の思惑を胸に秘め、物語は混迷を極めていく…。
本作は、2017年にbpm10周年記念としてメンバー5人だけで上演され、ミステリー要素満載のストーリー展開が好評を博したオリジナル舞台「beats per minute」の続編である。続編とはいえ、本作の中でその関係性や設定がスムーズに説明されるため、前作を未鑑賞でも問題なく楽しめるよう構成されている。
見所は、魅力的なキャラクターが織りなす群像劇だ。各キャラクターが組織に属しているが、そこに至った経緯や思惑は千差万別。各々が意思を持って行動し、各キャラクターの見せ場が存在している。それはアクションであったり、感情的なやりとりであったり様々ではあるが、個々が魅力を光らせるシーンを連ならせることで、ノンストップで観客の心拍数を上げていく。
「S.I.R.」のリーダーであり不適な行動理念を持つ男・POKER。常にポーカーフェイスを貫き、彼の思惑いかんで物語が転んでいく。
元「AWARDS」で、とある理由から袂を分かった男・ROULETTE。自身の目的のために暗躍する物語のキーマン。
元「AWARDS」で、現「CIA」の、EMMY率いるチームのメンバー・ACADEMY。時に冷静に、時に情熱的に行動する。ROULETTEとは過去に因縁があり、偶然の再会を果たす。
また、微細な部分にも伏線が宿る脚本が、本作の魅力の1つでもある。浅沼晋太郎が担当している計算しつくされた脚本は、フィクションでありつつも、現実世界の事象を巧みに取り入れることで、あたかもその世界が身近にあるという既視感を覚えさせる。現実と非現実が入り混じる中、計算された伏線が最初から最後まで張り巡らされている。
キャラクターが活き活きしていることで違和感なくその世界に没入させられ、伏線を意識させるわけでもなく、見終わったころにはスムーズに結末まで導かれる気持ち良さを感じている。
エージェントアクションを存分に楽しめる本作。騙し騙され、常に思考の裏をかくようなやりとりが豊富で、ワードの1つひとつがハードボイルド風にシビアだ。加えて、アクションも随所に盛り込まれ、会話劇だけでの駆け引きではなく、動きでも魅せてくれる。常に渋くカッコ良い。
反面、bpmおなじみのコメディ要素も随所に差し込まれ、緊張と緩和による感情のやりとりがより際立つような構成だ。その面白さをぜひ実感してほしい。
取材・文:木皿儀隼一/撮影:ケイヒカル
公演概要
■タイトル
bpm15周年記念公演「beats per minute CHAIN LIFT」
■日程
2022年12月15日(木)~12月18日(日)
■会場
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ
■キャスト
上田堪大、谷口賢志
五十嵐雅、榿澤涼太、汐崎アイル、赤塚篤紀、塚本拓弥、ベルナール・アッカ、細川洪
猪狩敦子、伊藤マサミ、菊地創、笹岡幸司、浅沼晋太郎
■公式サイト
https://bpm-home.jp/contents/57116
■公式ツイッター
@bpmweb
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