先日池袋に店を構えていたはずの「ノリウチ!~カラオケMixalive TOKYO店~」が10月17日(月)、有楽町にて「ノリウチ!~ヒューリックホール東京店~特別出張編」として1日限りの復活! 荒牧慶彦と石渡真修をゲストに迎え、カラオケMixalive TOKYO店改めヒューリックホール東京店では、一体どんな即興コメディが繰り広げられたのか。
昼夜ともに異なるストーリーで、どちらも大盛りあがりとなった本作。2.5ジゲン!!では荒牧がホストに扮した昼公演のレポートをお届けする。
公演開始5分前、君島店長(演:君沢ユウキ)の前説からスタート。今回はいつもの会場よりキャパが大きくなり、初めて「ノリウチ!」に来たという観客のためにも、店長が饒舌な語りで公演の流れを説明していく。
冒頭、観客に問われたのは「私たちのちゃんとしたお芝居が観たいか」それとも「ゲストがとんでもないことになって、台本もすべて捨てたここでしか観られないものを観たいか」という2択。観客の反応を見た店長は、袖で控える店員たちに「台本捨てていいってよ!」と声を掛けると、元気な雄叫びが返ってきた。波乱を感じさせる前説を経て、いよいよ東京ヒューリック店が開店する。
寺川(演:寺山武志)、鳥谷(演:鳥越裕貴)、木野(演:木津つばさ)の自己紹介を挟み、さっそくカラオケ店らしく1曲目の楽曲がスタート。思い思いにペンライトやタンバリンを鳴らして盛り上がる一行だが、サビになると自己紹介にいなかった店員の姿が……。しかし、その姿を観たのは寺川だけで、“熱唱する謎の人影”は気のせいという事になってしまう。
話題は有楽町へ移転した店舗の話へ。以前の問題アリのオーナーと「縁(えにし)をパチンと切った」という店長は、なんと今回独立したとのこと。店長の新たな船出に盛り上がっていると、先程の謎の人影がちらほら。ようやく姿を表した彼は、今日はお休みの廣田(演:廣野凌大)の地元の先輩で、のど自慢サークル千葉梵會の後輩だというマthウ(マテュウ・演:石渡真修)。
自己紹介を終えると、マthウは早速「ノリウチ!」の扇風機の洗礼を受けることに。扇風機の風圧で聞こえないというていで、マthウは約10年前にやってしまった“とある失態”を告白する。本人が思わず「これ大丈夫かな……」とつぶやいた告白内容は、本人の心配とは裏腹にしっかりと会場を温めていた。
そこへ、壮大なBGMとライトに照らされ、高笑いとともに降臨したのは歌舞伎町で年間2億を売り上げるNo.1ホスト・神牧場慶荒(かみまきばよしあ・演:荒牧慶彦)。神牧場は「女々しくて」をノリノリで歌い上げ、店員たちもおののくオーラで会場を神牧場色に染め上げた。
ここで、なんとこの店舗の権利がカラオケとホストクラブでダブルブッキングをしていたことが判明! 店舗を賭けて、両者は接客シミュレーションやゲームで対決していくことになるが…。
接客シミュレーションでは、売れっ子ホストな神牧場の紳士かつ少しオラオラな接客スキルが光った。ホスト客に扮したマthウをメロメロにする神牧場の姿はどこか神々しく、観客だけでなくキャスト陣をもときめかせていた。
堂々たる話術で優位に立った神牧場だが、最終兵器として木野が取り出したのは“あの”扇風機。神牧場は、夜公演でお披露目予定の女装姿にまつわるエピソードを告白。プロデューサーに一緒に写真を撮ってほしいと頼まれていることを明かすと、「僕たちそんなこと言われたことないのに!」とキャスト陣からはプロデューサーへの不満が噴出した。
続くゲームコーナーでは、メジャーを折らずにより長く引き出せたほうが勝ちという「寸止メジャー」対決が異様な盛り上がりを見せることに。いつポキッと折れてもおかしくない綱渡りな勝負は見応え十分。あっという間に終わるかと思いきや、勝負はなんと10分近くかかり、引き出されたメジャーは200cm超えに。最後の最後で圧倒的な集中力を見せた神牧場の勝利となった。
「追い詰められると人間は素の部分が出る」とよく言われるが、全員がもれなくその状態に。勝負に出たり、慎重になったり、それぞれの個性も見え隠れした。
2つ目のゲーム「協力ッキング」を挟み、次に神牧場が会場の空気を震わせるほどの大音量でコールしたのは「No.1ゲーム」。「ノリウチ!」では第1話から「店長ゲーム」として登場している、“あの”ゲームだ。今回は神牧場にちなみ、コール部分のセリフが「No.1」になっていた。
曲の途中に登場するコールパートを、1人1回、周りと被らずに言えたらOKというルール。早速スタートするも、最初のパートで6人中5人が「No.1」をコールする出オチ状態になってしまう。どうやら「俺様はNo.1」というフレーズが最高に気持ちいいらしく、自然とみんな立ち上がってしまうとのこと。気を取り直して本気で取り組むも、全員成功への道は遠く……。客席からも思わず「惜しい」というため息がこぼれ、一体感が生まれることとなった。
あまりの盛り上がりに自ら負けを認めそうになる店長だが、最後にゲーム「即興劇」で盛り返しを図ることに。お題を出す係として、今回は現地に来られなかった廣田が映像出演するという、「ノリウチ!」ファンにはうれしい演出も。
神牧場が牧場の羊になったり、マthウが周りから恋の矢印を向けられる平社員になったり。アドリブ力と引いたセリフとの化学反応が、爆笑即興劇を次々と生み出していく。即興劇として面白いのはもちろん、全身全霊で演じることを楽しんでいるキャスト陣のきらめきを感じられる時間となった。
即興劇で一通り盛り上がった後は、エンディングへ。神牧場は、店員たちとの時間でなにか大切な気持ちを思い出したようで、歌舞伎町に帰ることを決意。無事カラオケ店の存続が守られる、というハートフルな終幕を迎えた。
ラストは全員で「花」を歌ってカーテンコールに。本日のゲスト石渡は「この日を恐怖に感じていました。でも実際にこうして一緒にやって、すごく楽しかったです」と挨拶。荒牧が「この場にいられてうれしいです、呼んでくれてありがとうこざいました!」とコメントした。
終演後は、筋書きのない約100分を終えた面々によるアフタートークも実施され、終わってみればあっという間に約2時間が過ぎていた。出しきって記憶がないというキャスト陣に、笑いすぎて疲れを見せる客席と、場所は変わっても「ノリウチ!」ならではのアットホームな雰囲気は健在。この特別出張編をもって「ノリウチ!」は完結となるが、またどこかで本番一発の即興コメディを繰り広げるカラオケ店員たちに出会えたらと願わずにはいられない。
取材・文:双海しお
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