俳優界屈指の“しゃべリスト”である植田圭輔と鳥越裕貴が台本なしでしゃべり倒すトークイベント・植田鳥越「口は〇〇のもと」の第4弾が、同イベント史上最大の会場となる東京・ヒューリックホール東京にて開催された。
2.5ジゲン!!では、植田鳥越「口は〇〇のもと~四面楚歌~」と銘打たれて上演された第1部の様子をレポート。ドッカンドッカンと爆笑の渦が巻き起こり、文字通り会場を沸かせたイベントの様子をお届けする。
まずは植田・鳥越のオープニングトークからスタート。ヒューリックホール東京でトークイベントを上演できることに対して「贅沢な時間」と嬉しそうに客席を眺める2人が印象的だった。2022年7月からBS11では、同トークイベントから生まれたレギュラー番組「植田鳥越 口は◯◯のもとTV」もスタートしている。番組でさらに磨きがかけられた部分もあるのか、2人の掛け合いはよどみなく進んでいく。
番組の話題が出たところで、鳥越からある不服が申し立てられた。それはイベントの告知映像で鳥越が甘噛みしている、というもの。「あれは撮り直そうよ!」と力説。鳥越はその告知映像を見かける度に、甘噛みへのダメージを蓄積させていったそう。
番組関連では、さらに鳥越の“同じ話題を繰り返してしまう病”の話題へ。植田は「病気が出てしまったら、みなさんはそれ(1部配布のウチワ)の鳥越さんの顔、グワーって揺らして!」と提案。来場者プレゼントのウチワが思わぬ形で活躍し、客席では無数の鳥越が揺れるシュールな光景で埋め尽くされた。
約40分の2人のトークでは、33歳の植田が飲食店でリアル10代に間違われ「僕、レシートいるの? お母さんに渡すの?」とガチめなトーンで言われた話題を提供。客席からは笑い声だけでなく、思わず拍手まで巻き起こるほど盛り上がりをみせた。「ませて見せようとしてる小学生だと思われて“僕”って言われてんのよ、33歳が!」と、いくつになってもベビーフェイスな植田ならではの鉄板ネタで会場を温めた。
イベントも4回目、加えてレギュラー番組もこなしてきた2人は、不意に訪れる沈黙にも慌てない。「大丈夫よ、こういう時間もあるものよ」と、落ち着いた様子。以前は常にエンジン全開で爆笑を取らねばいけないと力んでいたとのことだが、植田いわく「ずいぶん気楽にしゃべれるようなったね」と、トーク力の向上を実感している様子。
以前は身を削ってトークの話題をひねり出していたという話題から、「お金好きじゃない人がベンツ乗ってるわけないですからねぇ」と植田の新たな愛車へと話題がシフトしていく。なかなか新車のことを言い出すタイミングがなかったという植田と、いつ話題にしていいのかと機会をうかがっていた鳥越との、目に見えない攻防戦があったことも判明。その流れで植田の愛車を擬音まみれで説明する鳥越に、植田からは「ロボットに乗ってるわけやないねん」と鋭いツッコミが入り、きれいなオチがつくのはさすがの2人といったところだろう。
植田圭輔の“輔”の字に「車」が入っている理由や、父親が車好きだという話、植田の愛車遍歴などが赤裸々に語られた。
「今日はなんか調子ええ」という2人のトークは止まらない。夜の時間の使い方や、かわいい枠として活躍していた駆け出し時代=“エンジェル”時代の話などが次々と登場し、植田が「もう40分ほどしゃべったんですって」と告げると、体感10分程度に感じていたであろう客席からはどよめきが起きた。
いったん衣装チェンジを挟み、次はゲストが登場するコーナーへ。白衣をまとった鳥越医師のもとに現れたのは、リハーサル時から沖縄の風を漂わせていたという安里勇哉。独特なテンポとセンスで繰り広げられていく安里のトークに鳥越もタジタジ。鳥越の質問に対して質問で返したり、突然話題を変えたりと、勢いのある鳥越とはまた違った雰囲気のトークで、イベントにスパイスを加えていたのが印象的だった。
ちなみに2人は年末に舞台「僕だけが正常な世界」で共演が決まっている。2人の素の状態でのトークを観ているうちに、なおさら2人が役者としてぶつかりあう同作への興味が沸いてきたファンも多いのではないだろうか。
「これまでで1番恥ずかしかったこと」というお題では、安里が過去1番スベった仕事の話を紹介。このとき同じ現場で隣にいた植田は「怖い怖い怖い…」という心からの恐怖をつぶやいていたというエピソードも披露した。
自在に話題の矛先を変え、トーク上手な鳥越さえ戸惑わせる安里のトークに、会場から悲鳴にも似た不思議な歓声があがり、鳥越と植田のトークでは生まれないなんとも言えないザワつきが味わえる空間が生まれることに。しまいには「誰や、安里呼んだんは!?」と鳥越もお手上げ状態になっていた。ある意味レアな鳥越の姿を楽しめるトークタイムだったといえるだろう。
続いては取調べ中の刑事姿に扮した植田が登場し、もう1人のゲスト寿里が登場。ゴーイングマイウェイで笑いをとっていた安里に対し、寿里は自分の役回りを理解したうえでの軽快なトークを披露。このゲストの個性の違いを楽しめるのも、複数のゲストが登場するイベントならでは。
植田とは15年来の付き合い、さらに「くちまる」史上最年長のゲストとなった寿里は、終始年齢ネタで盛り上げてみせた。事前アンケートに基づいたトークが繰り広げられるゲストコーナーだが、なぜか2人はモノマネで大盛りあがり。もともと寿里のモノマネをするのが好きだという植田。植田が寿里の特徴を誇張してモノマネするせいで、寿里は自分を見失いがちになるという。寿里を真似る植田と、それに応えて寿里を真似した植田をさらに真似る寿里、というある種のカオス空間が広がることとなった。
10年以上前の出演作での恥ずかしい出来事から、つい最近の出演作でのやらかしてしまったことなど、昔からのファンも最近のファンも楽しめる話題が次から次へと登場。またトーク中には41歳の寿里ならではの、ジェネレーションギャップをいかしたネタも多数飛び出した。若い世代に伝わりそうで伝わらないネタや、国民的アニメキャラクターのモノマネも大盤振る舞いで複数披露。こんなトークが楽しめるのも、予定調和なしの“くちまる”ならではだろう。
すでに2人のトーク、ゲストとのトークとで、疲労を感じるほど笑わせてもらったが、さらにラストには4人でのトークが待ち受けている。4人でのクロストークは、ある種の“ラスボス感”すら漂っていた。
登場からなぜかMCのような立ち位置でたびたび場を仕切ろうとする安里に、植田と鳥越からは息の合ったツッコミが飛ぶ。このあとのトークが波乱に満ちたものになることを予感させながら、ラスト30分のトークタイムがスタート。
“問題児”認定されている安里は、鳥越いわく「お守り」の寿里から手厚いフォローを受けて、相変わらず悠々自適にトークを展開。機転を利かせた寿里のトークと安里の天然っぷりが奇跡的に噛み合い、1部のクライマックスにふさわしい爆笑トークが繰り広げられた。
他ではなかなか聞けないであろう楽屋のトイレ事情まで飛び出し、「こういう話は若い子はしづらいだろうから、僕たちおじさんがしとこうと思いましてね…」と言うのは寿里。最年長の寿里の言葉にはさすがの説得力があり、普段は先輩の立場にいることの多い植田・鳥越の後輩らしい表情が垣間見れる時間となった。
「投げればどっかには当たると思うから」とポンポンと新しい話題を果敢に投げ続けた安里の奮闘っぷり、スベるのを気にせず突き進む安里に「怖い怖い…」と連呼する植田と鳥越も必見だ。
事前にファンから募ったお悩み相談に4人が個性豊かな解決方法を提示するコーナーを挟み、約2時間のトークイベントも終了へ。「真面目な話も本当はできるんですよ。今日は笑いに振ったんですけどね」と言う寿里は「楽しかったです」と締め、安里は「夜(2部)もよろしくお願いします」と出演予定のない2部への出演意欲を見せるものの、植田と鳥越に「若者がかわいそうだから帰ってください」と断られ、最後まで笑いを提供。
最後には2023年1月23日に第5弾となる「口は〇〇のもと~五臓六腑~」の上演決定が告知され、ファンからは割れんばかりの拍手が巻き起こった。鳥越は「ここ(イベント)から始まったものなので、次も大切にしてやっていきたいですね」とコメント、植田は「2部は初の試みでまたガラッと雰囲気も変わると思うので、そちらのほうもよろしくお願いします」と挨拶し、賑やかな2時間に幕を下ろした。
ベテラン勢をゲストに迎えての安定感ある植田鳥越「口は〇〇のもと~四面楚歌~」、2人を慕う後輩たちが集ってのひな壇トークを繰り広げる植田鳥越「口は〇〇のもと~若俳たちの関ヶ原~」。植田と鳥越の2人が揃えば、どんな顔ぶれでも爆笑させてくれるという安心を感じられる。これぞ2人が俳優界きってのしゃべリストたるゆえんだろう。
生配信チケットは10月9日(日)20:00 まで発売中。なにも考えずただただ笑いたいという人はぜひ配信で、彼らのしゃべりを堪能してみてほしい。
取材・文・撮影:双海しお
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