レポート

末原拓馬「大きな変革の時期」 劇団おぼんろ『瓶詰めの海は寝室でリュズタンの夢をうたった』ゲネプロレポート

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劇団おぼんろ第21回本公演『瓶詰めの海は寝室でリュズタンの夢をうたった』が、8月18日(木)に東京・Mixalive TOKYO Theater Mixaで初日を迎えた。2.5ジゲン!!では本番に先駆け実施されたゲネプロと囲み取材の様子を写真とともにお届けする。

独りぼっちの老人・トノキヨ(演:さひがしジュンペイ/わかばやしめぐみ)は毎日を憂うつな気分で過ごしていた。ある夜、トノキヨは次の日など来なければいいと願い、睡眠薬を大量に飲んでしまう。そのまま眠りについたトノキヨが夢の中で出会ったのはクラゲ(演:末原拓馬/橋本真一)、ワカメボーイ(演:高橋倫平/日向野祥)、ラッコ(演:塩崎こうせい/瀬戸祐介)、サンゴの姫(演:大久保桜子/二ノ宮ゆい/わかばやしめぐみ)とそれぞれ名乗る子供たち。不思議な体験に辟易し目覚めることを望むトノキヨだったが、夢から覚めるためには遠い昔に出せなかった夏休みの宿題を提出しなければならないと告げられる。

不思議な子供たちとの冒険の末、トノキヨは大切なことを思い出す。小学5年生の夏休みに提出できなかった宿題、友人たちと立てた自由研究の計画は海を盗むことだった。

華やかな照明と印象的な音楽、キャストたちの手によって動かされ大胆に変化していく舞台美術が印象的だった。脚本・演出を務める末原による独特な台詞やキャストたちのコミカルな演技も相まって舞台上には絵本のような幻想的な世界が表現された。

囲み会見コメント

末原拓馬(クラゲ役):40日間くらいの稽古を経てこれからゲネに向かいます。同じ演目をもう1回仲間を増やしてやるというのは緊張があったし、顔合わせの時点でもミックスキャストで大丈夫かなとか、捲り子入れて大丈夫かなという迷いはあったけれど、漕ぎ出してみたらそこに海は広がっていたという感じです。語り部10人と捲り子でこの劇をやれたことはとても楽しいです。僕は劇団員を愛しています。自分の弱い部分などを支えてくれる彼らがいなかったら自分はここまで来られなかったと思っていますが、同様に今回の仲間たちも自分の中では劇団員みたいな立ち位置だと思っています。これから先、何十年も同じ世界でやっていくんだろうなと思っているし、おぼんろっておぼんろの物語をやった人が自称していいと思っています。ほんとうに仲間のみんなのことが大好きで、当たり前に、また一緒にやるよね。前世から一緒に演劇をやるって決めていたんだろうなって思っています。今回のカンパニーは多分作品を作るということに特化した強いカンパニーです。おぼんろにとっても大きな変革の時期なんだなと思い、未来が楽しみです。

ーー今回は初演を務められたの5人に加え、新しくミックスキャストや捲り子たちを迎えての上演となりますが、大所帯での上演についての思いをお聞かせください。

さひがしジュンペイ(トノキヨ役):まず楽しいということがあって、キャストの皆さんや捲り子さんたちもハードスケジュールの中、それぞれの役に対してモチベーション高く臨んでいただいて、それが俺たちにとっても刺激になって、ものの見事にハマったなと思っています。その結果が今回舞台に出るのではないでしょうか。捲り子さんに関して言えば献身的に稽古に臨んでいただいて、俺たちの動きをチェックした上で、どこに入ればいいのかずっとずっと考えてくださっていて、そういった舞台上でいい作品にしたいなっていうお互いの心遣いが作品の雰囲気と相まって舞台に紡ぎ出されるんじゃないかと思って楽しみにしています。

ーーわかばやしさんは今回女性としてトノキヨを演じられますが、お客さまに観てもらいたい点や主演を務めることに対する想いをお聞かせください。

わかばやしめぐみ(トノキヨ役):稽古を通じて感じたことは、この物語は人間を描いていて、男性版、女性版という違いが全く関係ない物語だなということでした。小学生に戻る物語なので、性別に関係なく繰り広げられる人間としてのトノキヨ像を楽しんでいただけたら嬉しいです。ぜひそこを見ていただきたいと思っております。

ーー橋本さんはおぼんろ初出演ですが、おぼんろという団体について思うこと、魅力、おぼんろの独自性などについて教えてください。

橋本真一(クラゲ役):過去にいろいろな劇団さんに出演させていただいてきましたが、どちらかと言えば演出家さんからのトップダウンで作品を作る団体さんが多い印象でした。でもおぼんろさんでは拓馬さんの才能から生み出されるものを劇団員の皆さんが膨らませて、みんなで肩を組んで作っているんだなという印象が強いです。劇団員の皆さんは拓馬さんが描く世界観を表現するプロの方々なんだなと感じました。作品の世界観としてはテーマパークのようなポップさがありつつ、その中に人間の深い部分もしっかりと描かれているので、その両方が一緒になって絡み合って積み重なっているところがおぼんろ作品の魅力だなと思います。

ーー稽古場で印象深かった出来事はありましたか。

日向野祥(ワカメボーイ役):僕も今回おぼんろさんに初めて出演させていただきました。いつもいろんなカンパニーに出演させていただく際には、演出家さんはどういう人なんだろうとか、共演者の方々やスタッフさんはどういう人たちなんだろうと思って参加するんですが、おぼんろさんでは、顔合わせの段階からこんなに家みたいなアットホームさってあるんだって感じました。それは拓馬さん筆頭に劇団員の方々が分け隔てなく接してくれたことがあるかなと思います。忘れられないエピソードとしては、初めての稽古のときに高橋倫平さんが2つくらいの椅子を飛び越えてきて、フレンドリーに「よろしく!」と挨拶してくれて、それでまず壁が取れました。そういう入り口を作ってくれた劇団員の方々に感謝です。稽古が進んでいくにつれて、拓馬さんの世界観を全員で緻密に作ろうと全力で挑ませていただきました。絵本が飛び出てきたような、おもちゃ箱をひっくり返したような作品だなと感じていて、そういったところを感じていただきたいなと思っています。

ーーリュズタンという作品について感じること、魅力、見所を教えてください。

高橋倫平(ワカメボーイ役):2時間半を5人でやるというのはすごいですよ。あとは捲り子や新キャストの皆さんを見てほしいです。舞台美術や演出なども素晴らしいので楽しんでいただけたらと思います。

瀬戸祐介(ラッコ役):最初、この作品はまるでRPGを進んでいくような、いろんな登場人物に出会っていくトノキヨ目線でお客様は楽しんでいただくことになると思ます。そして話が徐々に進むにつれて、僕らの人間性や、それぞれの登場人物が持っている心の傷ゆえの強さだったり、仲間と乗り越えてきたからこその強さだったりと出会うことになります。中盤になってみんなで同じ船に乗り、最後は「いい夢だったな」という台詞で終わるのですが、お客さんも一緒にみんなでいい夢を見られるような一体感が生まれるといいなと思っています。僕らが全力で連れて行きますので、皆さんにも全力で楽しんでいただけたら嬉しいなと思っています。

ーー塩崎さんは何度もおぼんろにご出演されていますが、その中で感じるおぼんろについて思うこと、魅力、おぼんろの独自性などについてお聞かせください。

塩崎こうせい(ラッコ役):おぼんろはみんなで演出するのが独特ですね。他の団体は演出の意図に合わせて役者は動くのですが、おぼんろはそれぞれの意見を総合して作っていくのですごくクリエイティブな空間になるなといつも思っています。そういった意味では緊張もないのですが、千秋楽も初日のような気分でやっています。リュズタンは初演もやっていますが、積み重ねで舞台を作っていくので、この先も20回を超えた新しいものになっていくんじゃないかなと思っています。

ーー二ノ宮さんは声優としてアイドルを演じられる事も多いですが、今回の舞台でアイドルに憧れてアイドルになれなかった女の子を演じることについてどのように感じていますか。

二ノ宮ゆい(サンゴの姫役):今回台本を読ませていただいたときに、サンゴの姫が自分の傷とか痛い部分を吐露するセリフは自分にもすごい刺さりました。これをどう自分の傷や痛みとリンクさせて表現するというのはまだまだ模索中なのですが、役と自分がリンクするところを重ね合わせながら、自分と違うところはちゃんとはっちゃけるとか、テンションを上げるとかそういうところはちゃんとできたらいいなと思って稽古に臨みました。エンターテイメント性が強い舞台なので自分自身慣れていなかったり、難しいなと思うところが多くて、今もまだ壁にぶち当たっているのですが、それを乗り越えて楽しく舞台を作っていけたらいいなと思っています。

ーー大久保さんは初舞台への出演になると思いますが、ゲネと本番を控えての今のお気持ちをお聞かせください。

大久保桜子(サンゴの姫役):今は緊張しています。稽古の初めはうまくできるか不安だったのですが、稽古を進めていくとに稽古場の皆さんがすごく楽しそうで、自然とこちらの不安が吹っ飛びました。楽しそう、私も飛び込みたいという気持ちになっていきました。なので今は楽しみな気持ちが強いです。

劇団おぼんろ第21回本公演『瓶詰めの海は寝室でリュズタンの夢をうたった』は8月28日(日)まで東京・Mixalive TOKYO Theater Mixaで上演される。

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公演情報

タイトル

劇団おぼんろ 第21回本公演『瓶詰めの海は寝室でリュズタンの夢をうたった』

日程・会場

2022年8月18日(木)~ 8月28日(日)
東京・Mixalive TOKYO・Theater Mixa

出演

トノキヨ役:さひがしジュンペイ・わかばやしめぐみ
クラゲ役:末原拓馬・橋本真一
ワカメボーイ役:高橋倫平・日向野祥
ラッコ役:塩崎こうせい・瀬戸祐介
サンゴの姫役:大久保桜子・二ノ宮ゆい・わかばやしめぐみ(27日限定)
※役柄固定のミックスキャスト

脚本・演出

末原拓馬

公式HP

https://www.obonro-web.com/ryuztan2022

WRITER