君沢ユウキらが挑む即興劇「ノリウチ！」公演レポート　笑いあり、アドリブあり、ちょっとだけ涙あり

君沢ユウキ、寺山武志、鳥越裕貴、木津つばさ、廣野凌大が出演する即興劇「ノリウチ！～カラオケ Mixalive TOKYO店～」が4月11日（月）から隔週でMixalive TOKYOで上演されている。

今作は、キングレコードと講談社が新たに手掛ける“事前稽古一切無し”“何でもあり”の即興劇。タイトルの「ノリウチ」には、当日会場に“乗り”込んで公演を“打つ“という意味が込められており、公演当日まで何が起こるか誰にも分からない新感覚コメディだ。

2.5ジゲン!!では、「ノリウチ！～カラオケ Mixalive TOKYO店～」（第1話・4月11日公演）の様子をレポート。個性豊かな俳優陣が繰り広げる、一夜限りのエンターテインメントの様子をお届けする。

舞台となるのは、池袋東口にある架空のカラオケ店“Mixalive TOKYO店”。店長の君島（演：君沢ユウキ）のもとに、俳優志望の寺川（演：寺山武志）がバイトの面接を受けに来るところから始まる。

熱唱も虚しく、「なんかイケ好かない」という理由で不採用を告げられてしまう寺川。しかし、先輩アルバイトの鳥谷（演：鳥越裕貴）と廣田（演：廣野凌大）が「今日１日の働きぶりを見て採用か不採用かを決めよう」と提案する。

そこにやって来たのは訳ありの客、木野（演：木津つばさ）。寺川は張り切って接客しようとするが、話は思わぬ方向に進んでいく。

――というのが大まかなあらすじだが、ストーリーは良い意味でほとんどあってないようなものである。

なんせ今作は即興劇だ。ステージ上で繰り広げられる爆笑必至のリアルな言葉のやり取りや、ここでしか見られない勢いのあるアドリブをぜひ楽しんでほしい。

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君沢が演じる店長の君島は外見だけ見れば一見クールなツッコミ役だが、だからこそボケに転じた際の破壊力がすさまじい。オーダーを取る際には一昔前のクラブのノリを見せたり、“店長ゲーム”なるものを開始したり、お茶目な姿をたくさん観られる今作は君沢ファン必見である。

あらゆる座組のムードメーカー的存在である鳥越のパワーは、今作でも余すところなく発揮されている。ちなみに鳥越が演じるバイト店員・鳥谷は「不意に長期で旅に出るなど、プライベートは謎で満ちている」という設定だが、今回のステージ上では常に観客を笑わせ続ける弾け方を見せてくれた。

俳優志望のアルバイト役・寺川を演じる寺山のエキセントリックさは筆者的な一押しポイント。序盤からセリフを奪われたりと、どことなく不憫なところが笑いを誘うが、にじみ出る人の好さも寺山の魅力の一つだ。十年以上の俳優人生の中で、エチュードにも多く挑戦してきた寺山。今までの経験で培われた確かな実力で、破天荒な展開をしっかりと支えていた。笑いを取りに行く姿と終盤のシリアスなシーンの高低差にもぜひ注目してほしい。

訳アリの客、木野を演じるのは木津つばさ。空気が読めないマイペースさが故に予想外のタイミングで笑いを引き起こす。劇中、お笑い芸人として全力で披露してくれる一発芸には木津の役者魂を感じた。5月9日（月）公演予定の第3話では、客ではなく店員として出勤が決まっている。次回はどんな姿を見せてくれるのか、今から楽しみだ。

東京で何かを成し遂げたいという野望に満ちたやんちゃなアルバイト・廣田の設定は、どこか廣野自身と被るところがあるだろう。役の中に等身大の廣野を見ることができるので、素の廣野の魅力を味わいたいファンにはぜひ今作をおすすめしたい。アフタートークで「必死だった」と語る廣野は、言葉通り全力で即興劇にも挑んでくれている。