東京都台東区にある飛行船シアターの内覧会が23日に開かれ、音楽ホールから改装された劇場が報道陣や関係者に公開された。約500人収容し、国内でも珍しい、270度のプロジェクションマッピングを可能にした劇場で、2.5次元舞台にとっても新たな表現の場になりそうだ。
劇団飛行船が運営を担当
飛行船シアターは、東京・上野駅から徒歩8分の劇場の好立地。ブシロードの連結子会社ブシロードミュージックが昨年10月、学校法人・上野学園から石橋メモリアルホールを譲り受けることで契約を結び、3カ月余をかけて、改装してきた。運営は、同じくブシロードの子会社で、子ども向けの演劇を中心に50年の歴史を持つ劇団飛行船が担当する。
もともと劇団飛行船にとって、劇場の所有は悲願だったという。東京を始め、首都圏では劇場の数が少なく、夏休みや土日の劇場確保はまさに「奪い合い」だった。新型コロナウイルスの感染が拡大すると、予約が取れても、細かな規制があり、公演が中止になることも少なくなかった。例年、200件の公演を行う劇団飛行船も例外ではなく、ほとんどの公演が中止になった。
また、ブシロードも、「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」「アサルトリリィ」「ROAD59 -新時代任侠特区-」などの舞台作品があり、円滑に会場を確保するためにも劇場が必要だったことも背景にある。同社が主催するトークショーやファンイベントでも使うことも検討されているという。
配信設備も完備
今回の階層で、劇場に三つの大きな特徴ができたという。残響音がコントロールできること、配信設備の整備、プロジェクションマッピングだ。
もともと音楽ホールとして作られたため、残響時間が長くなるように設計されている。一方、劇場では短い方が望ましいとされる。その両方の要望を満たすために、劇場内に遮音カーテンを設置。演奏会の場合は遮音カーテンを開き、演劇を行う場合は、閉めて使うことで、残響音を減らすという。使い分けができるようにした。
また、音楽ホールのため、舞台のそでがなかったという。そのため、演劇を考えてそでを設けた。
配信設備も、近年の舞台では不可欠な設備と言える。新型コロナウイルスの影響で、配信は定着している。その一方、既存の劇場では常設の設備がないところが少なくなく、外から機材を持ち込み、回線を設置する必要があったという。飛行船シアターでは通常回線とは別の回線をもうけることで安定した配信が可能になったという。
最大の特徴となっているプロジェクションマッピングは、前方に３台、後方に３台の機器を設置して、映し出す。劇場全体が真っ白になっているため、天井も含めて、270度に映像を投射できる。
内覧会では、筆者の座っていた前方の席の後ろ側にまで、映像が投影された。中ほどの座席までが、３方向が映像で埋めつくされるプロジェクションマッピングは圧巻。「アニメの中に飛び込んだような舞台を設計できる」と劇団飛行船の大場隆志社長はあいさつの中で語った。
4月から利用申し込み開始
4月から利用の申し込みを受け付ける。改装の企画に携わった劇団飛行船の制作プロデューサー、清水慶太さんは「映像を使わないと、難しい劇場になると思う。まだ正解は分からないし、これから演出家の方々がここをどう使うかに興味がある。劇場というよりも、ディズニーランドのようなテーマパーク的な感覚の方がいいかもしれない」と話している。
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