アナタを幸せにする世界の伝説シリーズ Vol.2『霧の中のノスフェラトゥ』が2021年9月16日(木)に開幕。初回公演に先立ち実施された公開ゲネプロの模様をレポートする。
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本作は二部構成の作品。第1部は重厚なストレート・プレイで、19世紀、霧のロンドンを舞台に繰り広げられる人間模様が描かれる。
事件の解決に奔走する新米弁護士ジョナサン・ハーカー(演:田村升吾)と、数百年の時を越え人類を恐怖に陥れるドラキュラ伯爵(演:永田聖一朗)を中心に、それらを取り巻く様々な運命が交錯する。数百年の時を越えた対決の果てに吸血鬼たちは何を感じ、人間たちは何を想うのか…古今に伝わる吸血鬼伝説をベースに、新たな解釈を加え、歴史的背景などのアカデミックな要素を加えた壮大な物語となっている。
第2部は、シリアスで重厚な1部とは打って変わって歌とダンスに溢れたショウ・タイム。2.5次元舞台らしいともいえる演出でキラキラしたときめきの時間を味わえる。
時を超えた苦悩と人間模様
本作の魅力は何といっても数百年も生きているドラキュラ伯爵とそれを追う人間たちが絡まる人間関係だ。物語のメインとなる舞台は19世紀ロンドンだが、冒頭ではドラキュラ伯爵としてこの世に蘇る以前の15世紀東欧(今のルーマニア)が描かれる。
敵の卑劣な策略を受け、最愛の妻・ジャスティナ(演:野口準)が命を落とし、そして自身も敵に討たれ重傷を負ったヴラド3世(演:永田聖一朗)は、何者かの力によって不死身のノスフェラトゥとして蘇る。そして従者も同様に不死身にし、俗世を離れ生活していくことになる。
19世紀ロンドンでは、裏切者やジャスティナの魂が転生した者との出会い、吸血鬼を追うヴァンパイアハンターとの交戦、ハーカーの友人たちの思惑…数百年の時を経て、数奇な運命に翻弄されるドラキュラ伯爵一行とそれを取り巻く人間模様が、迫力あるアクションシーンを交え進行していく。
派手なアクションがありつつも、人間の“心”をしっかりと描いていく物語で、それぞれの心情を感じながら観劇していただきたい。
第2部は“ショウ・タイム”
休憩をはさみ、第1部の余韻も冷めやらぬうちに始まるのが第2部のショウ・タイムだ。第1部のキャラクターたちが現世に転生したという設定で、衣装は様変わりし、第1部でのシリアスなやりとりが嘘のように楽しい歌・ダンス・MCとエンターテインメントを届けてくれる。
シュテファン(演:里中将道)、ミルチャ(演:坪倉康晴)、フニャディ(演:寿里)の「エクソダス☆聖変化」は、K-POP風なラフな衣装でイマドキなアイドル。
ヘルシング(演:前田隆太朗)、セワード(演:松井勇歩)、モリス(演:鐘ヶ江洸)、カール(演:森田力斗)の「4mm Trebuchet bullet」は、白い王子様風の衣装で爽やかなプリンスアイドル。
ハーカー、ドラキュラ、ミナの「yoko-renbo 2021」は、情熱的な赤いドレスアップされたスタイリッシュアイドル。
各ユニット、各キャラクターにはそれぞれイメージカラーがあるので、公式HPをご覧頂き、応援する準備をしておくのがお勧めだ。
各キャラクター紹介
田村升吾
新人弁護士のジョナサン・ハーカー。婚約者のためドラキュラ伯爵に勇敢に立ち向かう。
永田聖一朗
ドラキュラ伯爵。不死身のノスフェラトゥとなり数百年を生きる。妖艶かつ強い意志を持つ。
前田隆太朗
ヴァンパイア・ハンターのヴァン・ヘルシング。吸血鬼退治に意欲を燃やし、ハーカーを助ける。
松井勇歩
ハーカーの親友かつ医師のジョン・セワード。ハーカーを医師としての視点を利用し支える。
鐘ヶ江洸(写真中央)
ハーカーの友人クインシー・モリス。テキサス出身でジョークなどを交え、シリアスな舞台に緩急をつけてくれた。
里中将道
ドラキュラの従者シュテファン。クールではあるが、シェイクスピアに傾倒している。
野口準
ジョナサンの婚約者ミナ、そしてジャスティナの転生者。過去と現在の因縁を繋ぐ存在。
森田力斗
ヘルシング教授の助手カール。強力な重火器で戦闘をサポート。ヘルシングとのやりとりもついつい笑ってしまう。
坪倉康晴
ドラキュラの従者ミルチャ。サイコパス気味ではあるが、どこか憎めない可愛げがある。
千代田信一
精神病患者レンフィールド。セワードの病院の地下病棟に閉じ込められている怪人物。
寿里
ドラキュラの従者フニャディ。口うるさいが忠実な家臣としてドラキュラを支える。
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9月18日(土)17:00、9月19日(日)17:00、9月23日(木・祝)17:00の3公演はライブ配信予定。ライブ配信サービス「Streaming+」にて実施されるので、会場に足を運べなくても作品を楽しむことができる。
文:木皿儀隼一/撮影:ケイヒカル
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