2月某日、舞台『囚われのパルマ ー失われた記憶ー』のビジュアル撮影が都内にて行われた。今回はその様子をオリジナル写真とともにご紹介する。
原作は大人気スマホゲーム『囚われのパルマ』。恋愛アドベンチャーゲームは恋愛対象キャラクターが複数人いて、プレイヤーが好みで選べるというのが定石。
ところがこのゲームはひと味違う。登場する恋のお相手はハルトというひとりの記憶喪失の青年のみ。彼との孤島での日々を通じて、心を通わせていく体感恋愛アドベンチャーゲームだ。
ガラス越しに面会できるハルトに多くの“相談員さん”が恋をしただろう。必死にガラスを叩いたりもしただろう。そんな多くのプレイヤーの心を虜にしたハルトを舞台上で演じるのは、太田基裕だ。
今回の舞台版では、ハルトがプレイヤーに出会う前のビハインドストーリーが描かれる。つまり記憶喪失となる前の出来事だ。
どんなハルトに出会えるのだろう……とスタッフ含めスタジオ内がそわそわしているなか、太田基裕扮するハルトが現れた。原作での面会を思わせるおなじみのパーカー姿だ。
派手さはない衣装だが只者ではないオーラが漂っている。きっと太田本人の放つ独特な雰囲気の為せる技なのだろう。
パーカーの開け具合などを入念に確認してから、いよいよ撮影がスタート。最初は、出会った当初のハルトを彷彿とさせるクールな表情で撮り進めていく。
途中で「優しい表情で」のリクエストが入り、口角をきゅっと上げると……。片方の口角だけ上がった表情には、すかさず「悪い顔になってるよ」とスタッフからツッコミが入り、スタジオは笑いに包まれた。
気を取り直して“優しい”ハルトの表情をつくっていく太田。冒頭のクールな表情から比べるととても柔らかい表情で、ゲーム中で少しずつ心を開いていくときのような笑顔を浮かべていた。
その後も、「かわいい感じ」といったリクエストに応えていく。ベストショットが飛び出すとスタッフからは歓声が上がり、彼も画面を確認しては「うんうん」と小さく頷いている姿が印象的だった。
パーカーというシンプルな衣装だからこそ、太田自身が持っているスタイルの良さや端正な顔立ちが際立っていた。原作ゲームでプレイヤーの視点がハルトだけに集中するのと同じように、思わずずっと見つめていたくなる。そんな気持ちにさせてくれるハルトがそこには立っていた。
座りのショット後は、立ちショットの撮影へ。「自由?」とひと言スタッフに確認をとってからは、次々とハルトらしいポージングを披露した。
原作の特性上、ハルトの動きは他の作品と比べても少ない。ゲーム内では派手な動きをしないハルトを繊細な表情と仕草で再現していく。少ないキーワードから「ハルトっぽい!」を生み出していく力量は、「さすが」のひと言に尽きる。
パーカー姿の撮影ではスタッフからひときわ大きな歓声が上がった流し目も披露。どこで使われるかはわからないが、ファンはぜひ楽しみにしていてほしい。
後半は衣装チェンジをして登場。パーカーから一転、白衣を翻し研究員姿をお披露目した。スーツに白衣。彼のファンはもちろん、ずっとハルトを見てきた相談員さんもグッとくるビジュアルではないだろうか。
この研究員姿が今回の舞台ではメインとなる。シーハイブ製薬の研究員として働くハルトには、果たしてどんなエンディングが待ち構えているのか。
ビジュアル撮影の白衣姿を見ているだけで、「舞台では新しいハルトに出会えるんだ」と期待が高まっていった。ガラス越しのハルトとはまた違った、“研究員なハルト”もとにかくかっこいい。
仕草や表情が変わる度に、スタッフも「かっこいい!」「色っぽい!」「すごいハルト感!ハルト感出てる!」と盛り上がっていた。
ときどき写真チェックに入ると、ふと肩から力が抜ける様子が見られた。研究員らしいキリッとしたハルトから、太田基裕へ。
スタッフも大満足なビジュアルが撮れていることに少しほっとしたような表情を浮かべていたのが印象に残っている。
およそ1時間半に及ぶビジュアル撮影が終了した。キービジュアルやパンフレット、グッズ等、どこにどんなハルトが登場するのか楽しみである。
囲み取材レポート
ビジュアル撮影後、囚われ……ではなく、囲み取材レポートが行われた。
ーービジュアル撮影を経て、ハルトというキャラクターをどう感じたか?
太田:まだざっくりとした内容しか聞いてないんですが、ヘアメイクをして衣装を着てちょっと(ハルトのことを)感じられたなって思います。
ーー稽古などもこれからですが、いまの時点で作品に期待することは?
太田:自分なりにこの『囚われのパルマ』のことを調べたり、あと友人ですごくこのゲームが大好きな人がいたので、「どういうところが魅力なのか?」を聞いたりしました。
いわゆる原作がある2.5次元作品ですが、すごく心理的というか人間の内面に寄り添っている作品ですし、どちらかというと「陽」より「陰」という感じで観に来てくださるみなさんにも絶対どこか通じるところがあるのかなって。
人間臭くて、かといって雑じゃない繊細な作品になるんじゃないのかなと思いました。
ーー『囚われのパルマ』ということで、もし太田さんが孤島に囚われるとして、ひとつだけ差し入れしてもらうなら?
ほかの質問と違い、かなり悩む様子を見せ「出られないんだよね?」「え、どうしよう」とひとしきり考えてから……。
太田:愛犬の写真で!
と、ブログにも度々登場するかわいい愛犬・LUCKYの名前を挙げた。愛犬の姿を思い浮かべたからか、いい笑顔を見せてくれた。
ーーご自身とハルト、似ているなと思うところは?
太田:さっきの原作が大好きな友人には「(ハルト役が)ぴったりだ」と言われて、「どういうところが?」って聞いたんですが、「人との距離感とか、一度心を閉ざしたら、開くまで時間がかかるところがすごい似てるよ」と。
なるほどな、と思ったんですが、僕けっこう人見知りでコミュニケーション難しいなって思うところがあって、そういうところは共感できるんじゃないかなと思いました。
ビジュアル撮影中はピリッと緊張感が漂っていたスタジオ内だったが、囲み取材ではリラックスした様子で受け答えをしていた。
原作で描かれたストーリーを舞台として追体験するタイプの2.5次元作品は多い。しかし、この舞台『囚われのパルマ ー失われた記憶ー』では、まだどのファンも見たことがない景色が描かれる。
いよいよ始動した舞台『囚われのパルマ ー失われた記憶ー』。ゲームとは違った視点で新たに描かれるハルトの物語を、ぜひ劇場で味わってみてほしい。
広告
広告