イブステ第5弾となる2.5次元ダンスライブ「ALIVESTAGE(アライブステージ)」Episode5「月野百鬼夜行綺譚 天獄 -君死にたまふことなかれ-」が本日9月2日(木)、初日を迎えた。神と妖怪たちが織りなすパラレルワールドならではの壮大な世界が、東京ドームシティ シアターGロッソに広がっていた。
2.5ジゲン!!ではVer.BLUE公演のゲネプロの様子を劇中ショット満載でレポート。ネタバレとなる内容は記載していないが、世界観の説明などは最低限しているので注意してもらいたい。
神と妖怪の物語、いざ開宴
芸能人として活躍する華やかな姿を描いた前作から一転、本作ではSOARAとGrowthの面々は八百万の神と妖怪たちがひしめく和風ファンタジーなif世界「月野百鬼夜行」の世界を舞台にしている。天界に住まう神々や地に住む妖怪たちといった人ならざる者たちが繰り広げる、賑やかで不思議で、ちょっぴり切ない物語が描かれた。
物語は神々や妖怪たちが百鬼夜行へと向かうところから始まる。八百万の神や昔ながらの言い伝えにある妖怪たちがモチーフとあって、名前や関係性がややこしいと感じるかもしれない。しかし、しっかり予習せずとも冒頭でそれぞれの関係性をきちんと説明してくれるので安心してほしい。
とはいえ、各キャラスタービジュアルはモフモフな耳や尻尾、妖艶な和装といった視覚的刺激が強い。思わず目を奪われてしまってセリフが入ってこないということがないように、事前にサイトやグッズのビジュアルを慣れるまで眺めておくといいかもしれない。
▲尻尾もかわいい猫又・空(演:堀田竜成)
▲お当番回の白澤・守人(演:石渡真修)
▲同じくお当番回、鬼の頭領に育てられた鬼・宗司(演:吉田知央)
▲ぜひ全身衣装にも注目して欲しいかまいたち・廉(演:植田慎一郎)
▲勢いが彼らしい雷神・望(演:渡邉響)
▲Growthのお当番となる九尾の狐・昂輝(演:塩澤英真)
▲パキラは封印…?影法師・衛(演:岩佐祐樹)
Growthもう1人のお当番犬神・剣介(演:石川翔)
妖怪になっても妖艶な水妖・涼太(演:橘りょう)
百鬼夜行には天界に住む神、伊耶那岐(演:ひのあらた)や思金神(演:友石竜也)らも参加する。彼らの圧倒的な声量で紡がれる歌が奉納されると、賑やかな人ならざる者たちの宴が始まる。
ステージ上のあちこちで酒を呑み、語らい、宴を楽しむ姿が観られるので、目が追いつかないというのが本音だ。劇場の高さを活かしたセットもあるので、文字通り左右上下に必死に視線を走らせることに。視界がすべて彼らの賑やかな宴に染まるので、一緒にそこに参加しているような没入感が得られるのは、この劇場ならではの醍醐味だろう。
▲宴ならではのお酒絡みの小芝居にも注目を
▲こちらはゲネプロで日替わり担当が恒例になりつつある宗司の一発ギャグ
▲妖怪の性質を生かした芝居も楽める
本作にはゲストとして黒天狐・始(演:縣豪紀)が出演。黒天狐は白天狐とともにこの世界の中心となる存在で、2人の力によって世界は支えられている。天地創造の神としての荘厳な雰囲気をまとう舞では、いつもよりさらに気品溢れる始の姿が堪能できた。一方で彼は神として驕ることなく、天界の者も地上の者も愛する包容力も兼ね備えた人物。柔和な笑みの中には、万物への雄大な愛を感じることができるだろう。
▲神々しい黒天狐・始(演:縣豪紀)
この宴には天界の箱入り息子と称される白澤・守人(演:石渡真修)と九尾の狐・昂輝(演:塩澤英真)も参加している。こっそり周りの目を盗んでは地上に降りて、妖怪たちと仲良くなっているものの、2人にはまだ地上で体験していない“あること”があった。それを知った友人たちは、それを「いつか」の夢で終わらせるのではなく、「本当」にしようと動き始める。
友人たちとの交流は、守人に新たな世界を次々と見せていく。守人は白澤として万物の知識に通じているが、知識として知っているだけで体験したことがないものがまだ世の中にはたくさんあるのだ。
そうして彼の世界が広がっていくのとは対照的に、守人は思金神に“己の役目”を果たすよう期待を寄せられる。思金神は具体的には語らないが、それは守人にしか担えないものなのだと言う。その役目とは果たして何なのか、役目を課せられた中で自分はどう生きるべきなのか。
しっかり者でいつも仲間を優しく見守っているSOARAの守人よりも、白澤の守人はまだ経験値が少なくどこか頼りない。そんな守人は、どう自分の未来を見定めていくことになるのか、彼の決断を見届けてほしい。
Ver.BLUE公演では、課された使命に翻弄される守人と、彼を助けようと奔走する鬼・宗司(演:吉田知央)の戦いと友情が描かれていく。守人の成長と宗司の決断、そして2人の絆に涙することになるだろう。
▲彼らが武器を持つに至った理由とは? 個性的な武器にも注目
今回のゲネプロレポートはVer.BLUE公演だが、昂輝と犬神・剣介(演:石川翔)がお当番となるVer.GREEN公演の内容はぜひ、その目で確かめてもらいたい。
浮かび上がる持つ者の役目と苦悩
印象的だったのは、持つ者の苦悩だ。守人はこの世界に1匹しか存在しない、貴重な聖獣・白澤。そして昂輝も一族待望の稲荷神の一人息子で御曹司という立場を持つ。周りから大切に育てられ、何一つ不自由ない生活を送る2人は、同じだけ「周りのために」という想いを強く持っていたように感じた。
特に聖獣なのに神のように大事に育てられた守人は、無条件に何か恩を返さなければという気持ちを抱いていたのかもしれない。自分の役目とあるべき姿に迷う彼に、昂輝や宗司が掛けた言葉は、対外的な責任感や義務感に悩む人にとっても一つの救いとなるのではないだろうか。
本作には神と妖怪たちならではのゆったりとした時間が流れていたように思う。現世と切り離された月野百鬼夜行の空間の中で、SOARAやGrowthと一緒に「生きる目的」について考えてみるのもいいかもしれない。
各キャラクター見どころ&フォトレポート
ここからはダンスライブの写真も交えて、各キャラの見どころを紹介していこう。
まずはVer.BLUE公演のメインとなるSOARAから。今作では守人がやや幼い代わりに、宗司の兄貴度が急上昇。お当番回、さらに鬼ということも相まって、普段はやや見えにくい彼の感情が顕になる瞬間が多く見応えがある。守人の普段との違いは石渡が繊細な演技で表現しており、彼の深みのある芝居が作品の完成度を高めていたと言えるだろう。
猫又・空(演:堀田竜成)は元気でかわいく、かまいたち・廉(演:植田慎一郎)は可憐なのに意外にも武闘派というミスマッチが魅力に。神なのに神らしくない雷神は、まさに望(演:渡邉響)そのもの。豪快なアクションで魅せてくれた。
ライブではジャケットが大人っぽい新衣装を披露。布面積がやや不安だった芝居パートとの対比も印象的だ。
Growthは、昂輝の浮世離れした雰囲気が天界の御曹司という役にぴったり。今回も相手の目をしっかりと覗き込み語りかける“昂輝節”が炸裂。この昂輝の姿を観るとなぜだか安心するのは、きっと筆者だけではないだろう。
Ver.GREEN公演ではキーパーソンとなるであろう剣介。人懐っこく笑顔がトレードマークの剣介が、仲間のために険しい表情を見せるシーンは必見だ。
水妖・涼太(演:橘りょう)と影法師・衛(演:岩佐祐樹)は一見すると普段どおりなのだが、細かな妖怪らしさがちょっとした所作で表現されていた。魅惑的な衣装とともにじっくり観てみてはどうだろうか。
そしてイブステに欠かせないのがZIXだ。大口真神・誠(演:五十嵐拓人)と河童・満(演:山根理輝)がふらっとステージ上に現れると、やっとイブステが始まったという気分になる。イブステ名物の涼太と満のバチバチも健在だ。
▲ZIXの大口真神・誠(演:五十嵐拓人)
▲相変わらずの満(演:山根理輝)と涼太とのバトルタイム
オリジナルキャラクターも物語には欠かせない。厳格な神の長・伊耶那岐、神の参謀役・思金神からは、圧巻のオーラが放たれている。とくに歌唱シーンは迫力があり、まるで神の息吹のよう。好戦的な火の神・迦具土(演:金澤慎治)と紳士的な風の神・志那都比古神(演:寧)は、若さ故の熱さや未熟さを感じさせる神として登場する。世代も近いGrowthやSOARAの面々とどう関わっていくのか注目してほしい。
宗司を養う酒呑童子の配下の仲良し3人組が牛頭(演:古谷陸)・馬頭(演:前田真弥)・三吉鬼(演:中島一博)。宗司とも仲が良く、わいわい騒いだり戦ったりしている姿がクセになるかわいさ。親分との共演もぜひ実現してほしい、愛されキャラとして作り込まれていた。
5作目となったイブステのクオリティは、すでに安心と信頼の域に入っている。悠久の時を感じる神と妖怪の物語、一方で一瞬で嵐のように過ぎ去っていくダンスライブパート。観る者の感情はせわしなく動くことになるが、日常の喧騒を離れ、神と妖怪の宴に混ざるほんの数時間が、きっと明日を頑張る力をくれるだろう。
取材・文・撮影:双海しお
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