10年後の世界を舞台に繰り広げられるボンゴレファミリーの平和な過去に戻るための戦いがついに後半戦、『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE-episode of FUTURE-は後編へ。
果たしてツナたちボンゴレファミリーの壮絶な死闘の行方はどうなるのか。本記事では後編ゲネプロの様子をレポートする。エピソードに関するネタバレはないが、オフィシャル劇中ショットを掲載しているので注意をしてもらいたい。
ステージ上が常にクライマックス
ツナこと沢田綱吉(演:竹中凌平)は様々な出会いの中で優しく、そして強くなってきた少年だ。彼と共闘した者、そして敵対した者までもが、沢田綱吉の真っ直ぐな心の在り方に心奪われていく。
未来という未知のステージに突然放り込まれて必死にもがいていた前編とは対照的に、後編では戦い抜く覚悟を決めた少年たちの頼もしい背中が印象的だった。後編は、「これまでのリボステの軌跡がまさにステージ上に存在している」、そんな作品に仕上がっていた。
前編で入江正一(演:佐伯 亮)の本当の目的を知り、仲間とともに過去へ戻るため白蘭(演:仲田博喜)との決戦を決意したツナたち。本作ではついに白蘭が率いる真6弔花(リアルろくちょうか)が動き始め、「チョイス」というゲームがスタートする。
同時にヴァリアーによるイタリア主力戦も描かれていく。序盤、ヴァリアーファンは油断をせずにステージを見つめていてほしい。10年後の彼らが突如として目の前に現れる破壊力は相当のものである。どんなタイミングで彼らが現れるのかドキドキしながら楽しんでみてほしい。
特訓、チョイス、そして白蘭との決戦。目まぐるしくツナを取り巻く状況や戦況が変わるように、物語は次々と進んでいった。前編から続く同じレールのジェットコースターに乗っているような感覚の中、ツナと共に一喜一憂しているうちに、カンパニーが長年目指してきたゴールへと物語は少しずつ近づいていく。
観劇中、何度時間が止まってほしいと願ったか分からない。思わず終わりを惜しんでしまうほど、この『リボステ』シリーズには積み上げられてきた歴史があるということなのだろう。ラスト1秒まで原作愛、そして『リボステ』愛に溢れた本作を、ぜひ堪能してほしい。
覚悟の集大成が生み出す重み
ツナが戦う理由は、みんなと笑って過ごせる毎日を守るためだ。そのために彼は好きではない戦いに身を投じ、拳を振るってきた。気付けば彼の拳には、多くの人の希望や願いが乗っかっている。劇中でツナの拳は、その想いを表現するかのように徐々に重みを増していったように感じられた。
キャラクターとしてのツナの成長がそこにあるのはもちろんだが、初演からリボーン役のニーコと共にカンパニーを支え続けてきた竹中自身の本作に懸ける想いというのが、ただのアクションに終わらない激闘シーンを生み出していたのではないだろうか。
これはツナに限った話ではない。獄寺隼人(演:原嶋元久)や山本 武(演:山本涼介)をはじめとした守護者たちも、過去作の中で仲間と共に死闘をくぐり抜けてきた。それでも何度も立ち上がって、その都度覚悟の炎を燃やしてきた。その覚悟の集大成とも言うべき姿が、本作では存分に味わえるだろう。
この未来編では、笹川京子(演:伊藤優衣)や三浦ハル(演:本西彩希帆)も一丸となって戦いに関わっていくことになる。これは本作ならではの見どころと言えるだろう。
特に後編で描かれるチョイス以降は、ツナたちの現状や立場を明かされた上で、2人は戦いを見届けていくことに。彼女たちの存在は、ツナが守りたい日常を観客に思い出させてくれる役割も果たしており、戦いが続く中で癒やしのシーンとなっていたのが印象的だ。
シリーズを通してのラスボス・白蘭。前編ではまだ爪を隠していた彼の本領は、この後編で遺憾なく発揮されていく。後編では前編以上に濃い白蘭ワールドを味わえるのでご安心を。
薄皮を剥くようにじわじわと狂気があらわになり、得体の知れないものを前にしたときのような、気味の悪さが観る者の肌に張り付く芝居を仲田が見せてくれた。
狂気に満ちていながらも純粋で脆い、アンバランスな精神構造の上に成り立つ人格を好演。まさにラスボスに相応しい彼の芝居との相乗効果で、相対するツナの純真さが際立ち見応えのあるクライマックスがステージ上に生み出されていた
キャスト&見どころレポート
イタリア主力戦では、過去作でマーモンを演じていた甲斐千尋は、マーモンの後任としてヴァリアー入りしたフラン役を演じている。また前作「隠し弾」で大海将一郎とともにダブルキャストでベルフェゴール役を演じた樋口裕太は、本作ではベルフェゴール(演:大海将一郎)の双子の兄・ジルを担当。イタリア主力戦でのベルフェゴールVSジルという双子の再会を、よりドラマチックに盛り上げた。
キャスティングに作品への愛を感じているのもつかの間、実際にヴァリアーが登場するとXANXUS(演:林田航平)の威圧感がすべてを“カッ消して”しまう。S・スクアーロ(演:髙﨑俊吾)もあの“う゛お゛ぉい!”と共に抜群の安定感を発揮し舞台上を魅了していた。今作でも山本をはじめとしたボンゴレ守護者たちとの関わり方に注目を。
初登場となるのが、真6弔花とミルフィオーレファミリーのブラックスペルのボス・ユニ(演:高橋紗妃)だ。真6弔花はラスボスと共に現れる超精鋭たちで、桔梗(演:小坂涼太郎)、ザクロ(演:塩口量平)、デイジー(演:とまん)、ブルーベル(演:藤 綾近)が登場。
とまんは前編ではジンジャー・ブレッドを担当、藤はアンサンブルとして出演。藤は過去作でママンことツナの母・沢田奈々役を演じていたので、「リボステ」ファンにとってはおなじみのキャストと言えるだろう。本作で演じるブルーベルとママンとのギャップを楽しむのもおすすめだ。
真6弔花は白蘭からある“奥の手”を託されている。彼らの想像力を掻き立てる芝居のおかげで、その奥の手を使った戦闘も見応えがあるものに仕上がっていた。大人の魅力あふれるザクロと、「ハハン」が最高にハマっている色気ある桔梗は、どちらもボンゴレファミリーにはいないタイプのキャラ。2人が並ぶと放たれるムーディーな雰囲気もお見逃しなく。
終盤はユニ、白蘭、ツナの熱量が絡み合い、怒涛の展開の中で、彼らの感情の揺れが大きな波紋となって広がり、客席に想いの余韻を伝えてくれていた。“想いの力”を、その熱演から受け取れることだろう。
終演後には、まさに“死ぬ気”で「リボステ」を駆け抜けようとすべてを注ぎ込んでいたキャスト陣の表情が浮かんだ。キャストもファンも、一片の悔いも残さぬように“死ぬ気の炎”を極限まで燃やし尽くしてほしい。
取材・文:双海しお
公演の最新情報は公式HPをご確認ください。
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