銀岩塩Vol.5 FUSIONICAL STAGE「ABSO-METAL2〜群盲の逆襲〜」が2月10日(水)に開幕。初回公演に先立ち実施されたゲネプロの様子を劇中写真と共にレポートする。
本作は、立ち上げから5年目にして次々と新しいエンターテインメントを生み出している銀岩塩のシリーズ最新作。2019年9月に上演された「ABSO-METAL」〜価値×時間=幸せのメダル〜の続編にあたり、前作同様、脚本を塩田泰造、演出を井上正大が手掛けるオリジナル作品だ。
ストーリーやキャラクターの深い背景などのネタバレはなしに見どころをお届けする。
あらすじ
「ルカ、そろそろ起きて。ル~カ、寝坊だよ…」いとしいヴィヴィアンを夢に見て長い眠りから覚めたルカを、恐ろしい事実が待ち受けていた。
圧倒的な力で『セント・アモーディ学園』に君臨するナイゼルと生徒会ナンバーズの支配を覆すべく、墓石の下で血塗られた遺伝子が蘇る時、ルカとかつての宿敵・アイコが決断した究極の選択とは。
富も才能も愛も夢も全てを叶えるABSO-METAL。その奇跡の発明を巡って、今、熾烈な戦いの幕が切って落とされる。
「死が二人を分かつまで…という神話はもはや過去のものとなるだろう」
フュージョニカルスクリーン(特製紗幕)が全面に貼られ、全シーンにわたって映像が最大限に活かされていた。ドラマ映像、攻撃エフェクト、立体的な背景など、場面場面でこだわりの演出が施されており、めくるめく展開に驚かされるだろう。
特に、終盤のアクションとフュージョニカルスクリーンの融合は、バトルでありながら息をするのを忘れるくらい美しい。殺陣、光、音、映像による相乗効果をお楽しみいただきたい。
物語のスタートは、前作で描かれたアイコとの激闘から7日後。ルカ(演:正木郁)が目覚め、7日間でガラリと変わってしまった現実を目の当たりにし、絶望してしまう。この空白の7日間に何があったのかが本作のキーポイントだ。
それを知ろうと奔走するルカ。その過程で、前作に登場したナイゼル(演:井上正大)や生徒会ナンバーズとの衝突、そして雌雄を決したアイコ(演:遊馬晃祐)との邂逅、新たに出会うモンク(演:柏木佑介)やコーラ(演:藤田怜)など、様々な登場人物と触れ合うことになる。
ルカとヴィヴィアン(演:伊藤萌々香)を中心に物語は描かれているのだが、登場人物たちの背景が事細かに描かれることにより、絡まる人間関係が面白く、より没入感を高めてくれる。
ルカという主人公はとてもまっすぐで好感の持てる少年だ。嘘偽りない気持ちで行動し、他人を思いやる気持ちも忘れていない。
本作では、ルカの心に影響を与えるいくつもの出来事が襲い掛かる。彼はその度に悩み、その度に答えを出して進んでいく。そんなルカの心情を投影した正木郁の好演にも注目してもらいたい。
前作を見ていない人でも問題なく楽しめる丁寧なストーリー構成になっている。一方で、説明じみているわけではないので、今回から観劇するのもお勧めだ。
なお、2月14日(日)17:00公演はYouTubeで生配信。足を運ぶのが難しい方はもちろん、すでに観劇済みの方もぜひご覧いただきたい。
文:木皿儀隼一
撮影:ケイヒカル
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