“伝説”のコメディミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」featuring SPAM(R)が2021年1月18日(月)、幕を開ける。
同作は、60年代末から70年代に一世を風靡した英国のコメディグループ「モンティ・パイソン」の映画『モンティ・パイソンとホーリーグレイル』をもとにしたミュージカル。
2012年の初演、2015年の再演共に大好評を博し、今回、一部キャストを一新して再再演。歴史に名を残す抱腹絶倒のミュージカルの見どころや賑やかな囲み取材の様子をお届けする。
あらすじ
神のお告げをうけたアーサー王は従者パッツィを連れ、家来となる円卓の騎士を集めて聖杯(ホーリーグレイル)を探す旅に出る。しかし、次々と起こる奇想天外なハプニングが、彼らの行く手を阻む…。果たして、アーサーたちは目的の聖杯を見つけることができるのか!?
豪華過ぎるキャストたちが織りなす笑いの数々
休憩を含め約3時間の舞台は、そのボリュームを感じさせないほど軽快なテンポで進んでいく。
ヨーロッパの有名な物語『アーサー王と円卓の騎士』をモチーフにした今作。随所に数々の人気ブロードウェイ・ミュージカルや昨今の人気作品のパロディが散りばめられている。
更には人種や宗教といったタブーも容赦なくいじり倒すギャグの勢いに観客側がハラハラしてしまいそうになるが、そこはさすがの福田雄一演出作品である。あらゆるネタは愛と毒に溢れて笑いに昇華されているため、安心して作品にのめり込んでほしい。
また、そうした笑いを引き出せるのも豪華過ぎる実力派キャストの存在があってこそ。山田孝之を中心とした8人のメインキャストと12人のアンサンブルたちが身体を張ったギャグに挑んでいる。
主役のアーサー王を務めるのは、“福田組”常連の山田孝之。神のお告げによって旅立つアーサー王をひょうひょうとした独特の持ち味で演じる。真顔で繰り出されるボケと絶妙な間の取り方に、始終腹筋を刺激されてしまう。舞台の中央に立つ姿はあまりにも自然だ。自然過ぎて、逆に圧倒的な存在感を醸し出していた。
2012年の初演でガラハッド卿を演じた賀来賢人は、今回はランスロット卿役として舞台に立つ。ランスロット卿だけでなく、護衛やフランス軍人など数えきれない程の役を演じており、それぞれの役替わりを追いかけるだけでも忙しい。
矢本悠馬はアーサー王の忠実なお供、そして馬役として登場。ボケが大渋滞しているこの作品の中で、絶えずツッコミ役に専念してくれる貴重な存在だ。
右を見てもボケ、左を見てもボケという空間の中でツッコミ役を担うのはどれ程の苦労があったかと思わず拍手を贈りたくなる。今作で初めてミュージカルへの出演となったが、それを感じさせない軽快な歌やダンスも魅力的だった。
今回もっとも贅沢な無駄遣いをされていたと言っても過言ではない、湖の貴婦人役の新妻聖子。アーサー王に聖剣エクスカリバーを授ける、強くて美しく、そして少々気の荒い美女だ。
なんと紅一点のヒロインにもかかわらず、1幕では中盤に派手に登場した以降はほとんど出番がない。数々の舞台でヒロイン役を務め、ミュージカル界を牽引する歌姫のこんな姿を見ることができるのは、後にも先にも今作だけだろう。
なお、その不遇に対する不満をぶつけた2幕のソロは劇中でも随一の名シーン。劇場を震わす歌唱力に、思わず涙しそうになるほどである。
そして今回、小関裕太と三浦宏規の2人が福田が手掛けるミュージカル作品に初参戦。豪華キャスト陣の中で、一際フレッシュでまぶしい魅力を放っていた。
三浦が演じるのは、精悍な青年ガラハッド卿。下級階層のデニスが騎士の爵位を授かり、華麗な転身を遂げた男だ。
初の福田組参戦となるが、2.5次元作品をはじめとするこれまでの経験で培ってきた力を余すところなく披露していた。清々しく伸びやかな歌声と、長い手足を活かしたダンスで観客を魅了する。
特に湖の貴婦人役の新妻聖子とのデュエットは、とんでもない歌詞の内容にもかかわらず聞き惚れてしまうほど。美しく長い髪をなびかせながら繰り出す絶妙なボケの数々を是非堪能してほしい。
また、ロビン卿を演じる小関は今作で福田雄一と初めて舞台作品のタッグを組む。歌って踊れると思って騎士を志願したロビン卿は、冒頭からチャーミングな笑顔と爽やかな雰囲気で観客の心を掴む。
「勇者ロビン」と呼ばれているが、実は臆病なロビン卿のかわいらしい姿に癒されること間違いなしだ。初演では戸次重幸、再演では貴水博之が演じていたロビン卿。今作で一気に年齢が変わったロビン卿は、小関だからこそ表現できる若々しく愛らしい魅力に溢れていた。
2021年の初笑い作品に! ショー部分も必見
絶え間なく押し寄せる笑いの波に巻き込まれそうになるが、本作はミュージカルだ。メインキャストの歌声をはじめ、12人のアンサンブルが織りなすショー部分も華やかで迫力がある。
全員が主役級の豪華キャスト達が全力で“ギャグ”に挑む姿を見ていると、憂鬱な出来事などあっという間に吹っ飛んでしまいそうだ。
キャストだけではなく、小道具や背景などにも思わずクスっと笑えてしまう演出が散りばめられているので目を向けて欲しい。いっそ「バカバカしい」と言えるギャグを全力で作り上げる贅沢さも、今作の大きな魅力だろう。
抱腹絶倒のコメディ・ミュージカル、「モンティ・パイソンのSPAMALOT」featuring SPAM。新年の初笑いに、ぜひおすすめしたい作品だ。
スタッフ・キャストコメント
山田孝之(アーサー王役):よ~しやるぞ!! 本当にいろいろなこともあるでしょうが、ここにいる時くらいは嫌なことを忘れてもらうということを目標に全員で稽古をしてきました。僕らは全力でぶつけるだけなので、それを本気で受け取って笑ってもらえたらと思います。
賀来賢人(ランスロット卿役):散々くだらないものをやり、散々明るいダンスをし、歌を踊っています。そして「あ~楽しかった」と思ったその2時間後には「で、何の話だったっけ?」で終われる素敵なミュージカル作品になっていると思います。
小関裕太(ロビン卿役):2021年始まって最初の舞台なので、この作品が今年初めての舞台作品になる方も多いと思います。1発目、笑いで始まるいい作品なんじゃないかと思います。大爆笑が獲れるように頑張ります!
三浦宏規(ガラハッド卿役):どのシーンも本当に面白いのですが…。僕が稽古場で何度も泣きそうになった、新妻さんの歌唱シーンが見どころだと思います! 初めてオーケストラ付きで初めて聞いた時に、本当に泣きそうになったんです。
矢本悠馬(パッツィ役):僕は一人だけ9キロ、10キロくらいの重りを背負いながら本番に挑んでいるんですよ。ひとりだけ相当汗と疲れがあると思うので、そういうものを背負いながらコメディをやっているんだな…と思ってほしいです。
じろう(歴史学者、ハーバード王子役):僕は歌を一生懸命しています。先程新妻さんには「歌を歌い出した頃の私みたい」というお言葉を頂戴したので、歌で勝負していきたいですね。
長谷川忍(ベディヴィア卿役):新妻さんが相方の声を褒められていたのですが、よくよく聞いていたら「若い頃のただただガムシャラに無謀に歌っている頃の私の声と一緒だ」と言われていたので、褒められている訳ではないんだなと思います。うちの相方のハイトーンボイスは今回の舞台ではなかなかいい目立ち方をしていると思いますし、自分としてはどう足を引っ張らないようにしないかなと。でも一生懸命歌も踊りもやっていますので、そこは評価していただきたいです!
新妻聖子(湖の貴婦人役):これぞブロードウェイ・ミュージカルという華やかで楽しいシーンが満載の素晴らしいミュージカルです。豪華なお衣装やウィッグを作ってくださるスタッフさんに支えらていて、キャストの皆さんも粒ぞろいです。アンサンブルの皆さんのソングアンドダンスも本当に素敵ですし、オーケストラの演奏も素晴らしいです。皆さまに笑顔になって帰っていただけるように頑張りたいと思います。
福田雄一(上演台本・演出):ミュージカルとして締めるところは締める、自由なところは自由に遊んでほしいです。この時点でまだ台詞が決まっていないところが何か所もあり、ふわふわしております。そこら辺を、思う存分楽しんでいただければと思います。
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