「スタミュミュ」待望の新作、ミュージカル「スタミュ」スピンオフ team楪&team漣 単独公演「Storytellers」が、2020年12月5日(土)に幕を開けた。初日公演に先立ち実施されたゲネプロの様子を、劇中写真とともにお届けする。
世の中に漂う重さや寒さを吹き飛ばす、軽やかな“青春ミュージカル”の雰囲気が伝わればと思う。
「ここから始まる」もう一つのきらめき青春ストーリー
▲ついに揃ったteam楪
team楪とteam漣のメンバーがついに揃う「Storytellers」。それぞれのチームが5人並んでいる姿、ただそれだけでファンは胸がいっぱいになることだろう。
「スタミュミュ」が作品を重ねる中で、ぶつかり合いながら絆を強めていったteam鳳やteam柊がそうであったように、team楪とteam漣もまた「ここから始まる」のだと感じさせてくれる、そんな作品に仕上がっていた。
▲クールな2人が引っ張るteam漣
ストーリーは綾薙祭を終え、退寮準備に追われる2チームの日常から始まる。賑やかな彼らの日常がたっぷり描かれる中で、本作から初登場となる各チームの生徒たちの個性や関係性が丁寧に描かれる。
日常が“日常”としてそこにきちんとある。そのことが、このあとに待っている展開でカギとなっていく。日常は当たり前だからこそ、日常なのだ。それが失われると分かったとき、日常はとたんに貴重なものとしてきらめきだす。
初見では微笑ましく眺めていた冒頭の日常シーンも、おそらく2回、3回と観劇したとき、また違った輝きを伴って観る者の心を揺らしてくれるのだろう。複数回観劇の予定がある人は、この日常シーンの感じ方の違いを比べてみるのも面白いかもしれない。
ありきたりな日々は、それでも小さなトラブルに溢れている。相容れないteam楪とteam漣は些細なことでにらみ合い、取っ組み合いまで始める始末だ。
team楪のリーダー・揚羽陸(演:大見拓土)は積極的に騒動を仲裁する柄ではないし、ドジっ子・蜂矢聡(演:石田隼)はフォローをしようとして事態をさらにややこしくしてしまう。
▲揚羽陸(演:大見拓土)の新衣装にも注目
▲蜂矢聡(演:石田隼)のドジもパワーアップ!?
team漣のリーダー・北原廉(演:澁木稜)や南條聖(演:小波津亜廉)も思うところはある様子だが、一歩引いたところにいる。
そんな彼らは綾薙祭の様子を写した写真をきっかけに、ひとつの事実――“青春のカウントダウン”に気がつくのだ。
▲写真を覗き込む揚羽と蜂矢
今のメンバーでもう一度何かやりたい、ステージに立ちたい、芝居がしたい。MS科に通う生徒らしい真っ直ぐな願いは、次第にチームメンバーに広がり、リーダーへと広がり、波紋となってチームを動かしていく。
当事者である両チームのメンバーの行動はもちろんだが、そこに偶然にも関わっていくことになる空閑愁(演:新里宏太)や虎石和泉(演:高本学)の立ち回り方にも注目だ。
▲ルームメイトの北原廉(演:澁木稜)と虎石和泉(演:高本学)&空閑愁(演:新里宏太)
大団円に向けて、2つのチームがどうあがき、どう前を向いていくのか。青臭くも愛おしい、青春ど真ん中なストーリーを楽しんでもらいたい。
4色が10色へ、色と個性が重なる「ストテラ」
本作では6人の登場人物がシリーズ初登場。これまで他のチームとの対立や友情の中で描かれてきた揚羽たち4人の内面が、違う角度から切り取られていたのが印象的だ。
チームの仲間はいわば“ホーム”だ。そのホームでしか見せない表情や絆が新鮮で、本作の大きな見どころの一つとなっていた。
▲team漣のリーダー・北原の態度が波紋を呼び……
▲南條聖(演:小波津亜廉)が巻き込まれたくない、とあるドタバタが巻き起こる
今作からカンパニーに加わった6人の演技も非常に力強く魅力的だ。「スタミュミュ」に新たな6つの色を塗り重ね、team楪、team漣それぞれの個性を際立たせていた。
綾薙祭のクラス公演でA班となった4人とB班だった6人。同じチームなのに班が分かれてしまったという、今さらどうこうできるものではない事実に対し、6人には理性で割り切れない感情がある。その葛藤も含めて、それぞれがこの2年間をどう過ごしてきたのか、短い時間の中でも伝わってくる熱量のある芝居となっていた。
空閑と虎石の2人も含めれば全部で12人。正直、物理的に目が足りないのだが、どのキャラのどの瞬間も見逃してもらいたくない。そう思ってしまうほど、12人12色の個性と魅力が、色の洪水のようにステージ上に溢れていた。
光あふれる王道青春ストーリー、いざ開幕
「スタミュ」や「スタミュミュ」は、王道の青春ストーリーが展開される作品だ。彼らが歩む道の輝きが観る者の心を照らし、ファンもまた彼らの光で照らされることを望んでいる。そんなコンテンツではないだろうか。
「スタミュミュ」シリーズ7作目となる本作も、圧倒的な“陽”の作品として完成されていたのが印象的だ。
冒頭から描かれる日常シーンは、それだけで尊く、十分に観客の心を明るくしてくれる。しかし、彼らはひとりひとりが“1番星”。「もっともっと照らしてあげる」といわんばかりの眩しさで、ストーリーが加速するとともに輝きを増していくのだ。
「スタミュミュ」はいつでも、ステージの上で青春と一緒に観客を出迎えてくれる。スピンオフ作品である「ストテラ」を観劇することで、シリーズ8作目の幕が開くことを期待してしまうのは不可抗力と言えるだろう。
限られた時間だからこそ、青春はきらめく。同時にそのきらめきを、いつまでも眺めていたいという気持ちにもさせてくれる、ミュージカル「スタミュ」スピンオフ team楪&team漣 単独公演「Storytellers」がついに幕を開けた。「スタミュミュ」の新たな魅力を伝えてくれる“ショー”を見逃してしまっては、もったいない。
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