2年の“保温”期間を経て上演されるシリーズ最新作、RICE on STAGE「ラブ米」~Rice will come again~が、2020年11月19日(木)に初日を迎えた。
2.5ジゲン!!では、初日に先立ち実施されたゲネプロの様子をレポート。多くの“グルメ(ファン)”が待ち望んだ本作の炊き上がりを、劇中ショットと共に紹介する。
これぞ“米”ディ! 強烈で芳醇な香り、“熱々の愛”
▲炊飯ジャーは今作も健在
「ハートフルエンターテインメント“米”ディ、健在」。炊飯ジャーの蓋が開いた瞬間も、食べ終わったあとも、終始このフレーズが頭に浮かんでいた。
シリーズを通してのファンは、RICE on STAGE「ラブ米」“らしい”ギャグやとことん追求された米ワールドに、「帰ってきた」という気持ちになるだろう。一方で、本作で初めてRICE on STAGE「ラブ米」の世界に触れるという人にとっては、「世の中にはこんな面白い世界があったのか」と衝撃を受けること必至だ。
▲ラブライス・ひのひかり役の田村升吾
▲ラブライス・ささにしき役の星乃勇太
▲ラブライス・ひとめぼれ役の前川優希
▲ラブライス・あきたこまち役の白石康介
▲ラブライス・にこまる役の佐野真白
シリーズを支えてきた「ラブライス」や「ST☆RICE」の面々は、懐かしさを感じさせながらも、この2年でのすさまじい進化を感じさせてくれる。
基本的にはコメディらしく軽快な演技で構成されていくのだが、ふとした瞬間の仕草やセリフに各キャラクターの深みを感じさせてくれるのだ。
▲ST☆RICEの平山(演:川上将大)とキヨハタモチ(演:北乃颯希)
その裏には、もちろんこの2年間で底上げされ磨かれた演技力があるのだろうが、なによりもキャラクターと向き合ってきた時間と愛が感じられた。“グルメ”に愛されているキャラクターを、彼ら自身が誰よりも愛していることが伝わってくるのだ。
“保温”期間を経たことで、本作では彼らの愛情をより色濃く感じられるのかもしれない。炊き上がったお米から立ち上がる蒸気のような熱々の愛を、きっと劇場で“グルメ”も受け取れることだろう。
稲穂を揺らす新風「ドリ米」と雀鬼、見参
本作では新キャラクターが続々と登場する。関西からやって来た、穀物留学生の日本晴(演:吉澤 翼)とはつしも(演:永田聖一朗)は、その存在感で新たな風を巻き起こす。
この作品に登場するキャラクターなので、“グルメ”の予想通り、彼らもまた、濃くてクセになる新“米”だ。2人による「ドリ米(DREAMS KOME TRUE)」のハーベストショーも、これまでにないテイストで斬新。
元ネタアーティストがピンとくる人なら、「そこにも入れる?」というくらい、ぎゅうぎゅうにネタが詰め込まれた楽曲をより一層楽しめるだろう。
▲ドリ米の日本晴(演:吉澤 翼)とはつしも(演:永田聖一朗)
▲その動向がストーリーを大きく動かす!?
ストーリーは穀立稲穂学園に、彼ら穀物留学生がやって来るところから始まる。関西VS関東という分かりやすい構図になるのかと思いきや、お米への憎しみを“ツモ”らせた雀鬼(演:加藤良輔)の襲来というピンチが訪れる。
さらに、雀とは同じ“鳥仲間”である「合鴨ブラザーズ」の弟鴨(演:福島海太)も加わり、ストーリーは意外な展開へ。まるでおむすびが“すってんころりん”するように転がっていく。
▲雀の雀鬼(演:加藤良輔)の目的は……?
▲合鴨ブラザーズの弟鴨(演:福島海太)
1作目で、イナゴという共通の敵を前にぎゅっと握られてひとつになった「米米フレンズ」は、果たしてこのピンチをどう切り抜けるのか。
「ドリ米」が加わったり、「ST☆RICE」のメンバーが欠けていたりすることで、これまでの作品とは似ているようでまるで違う味付けが楽しめた。これぞ何にも染まっていない“純白のお米たち”だからこそ為せる技、といったところか。
ラブライスたちが穀物留学生や雀鬼とどう関わっていくのかという軸とは別に、「ドリ米」や弟鴨の物語も描かれていく。
“グルメ”たちが観劇の際、どこに主眼を置くかで、1つの作品でも異なる味付けが楽しめるだろう。さらに、“米”ディ作品らしく、その回でしか観られない笑いもあちこちに散りばめられている。何度も“おかわり”をして、味比べしてみるのもいいかもしれない。
ミュージカル俳優・岡幸二郎がもたらす新たな可能性
今作のキャスト解禁で、度肝を抜かれたファンも多いだろう。今作には新キャラクターとして、岡幸二郎が演じる陸稲米・陸稲耕二郎が登場する。数々の大きな作品に立って来たミュージカル俳優・岡の存在は、やはり大きい。
▲ハーベストショーでのパフォーマンスは圧巻の陸稲耕二郎(演:岡幸二郎)
彼の芝居と歌は圧巻。あまりの迫力に、その数分間は何の作品を観に来たのか、今いる劇場がどこだったのか、うっかり忘れてしまいそうになるほどだ。
彼のパフォーマンスに魅了されるのだが、それと同時に、たしかにそこには「ラブ米」エッセンスが凝縮されており、「こんな化学反応が生まれ得るのか?」という意外性がもたらすワクワク感があった。
「掛け合わせてみたら、とんでもない新種のお米が生まれてしまった」。そう感じてしまうくらい、ミュージカル俳優と「ラブ米」の邂逅は、本シリーズに眠る新たな可能性を引き出している。
観終わった後、自然と“ふっくら”とした笑顔になれるRICE on STAGE「ラブ米」~Rice will come again~。
気軽にみんなでご飯を食べに行けないご時世だからこそ、作品の持つ温かさが心に染み、彼ら“米”の持つ“栄養”が、そのまま観る者の心の栄養となった。
ゲネプロのカーテンコールでは、ひのひかり役の田村升吾が弾ける笑顔で「ここから千秋楽まで、誰ひとり欠けることなくやれたらいいなと思っております。千秋楽まで、応援のほど“オムハヤシライス”!」と挨拶をしていた姿が印象に残っている。
本作は動画配信サービス「MIRAIL」での映像配信も決定しているので、劇場に足を運べないという“グルメ”も、映像を通じて“実りの秋”を味わってみてはどうだろうか。
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