舞台「逆転裁判 – 逆転のGOLD MEDAL -」はカプコンによる人気法廷バトルゲーム「逆転裁判」を原作とした舞台作品。2019年1月16日(水)に初日を迎えた本作の、ゲネプロと囲み取材の様子を今回はお届けする。
あらすじ
戦いの舞台は、法廷から闘技場(アリーナ)へ! 世界のスゴ腕弁護士・検事たちが技を競い合い、その頂点を極める夢の大会、それが《司法オリンピック》。
成歩堂龍一と綾里真宵は、会場である世界司法連盟本部へ。御剣怜侍、狩魔冥をはじめとする一流の法廷戦士たちが睨み合う中、高らかに開会宣言をしたのは、大会実行委員長にして全てが謎に包まれた男、ゴドー検事。そして、栄光のゴールドメダルがWinnerの首にかけられた瞬間、事件の幕は切って落とされる!
全世界に生中継される闘技場の法廷……その弁護席に立つ成歩堂の頭上で今、開廷の木槌(ガベル)が鳴り響くのだった。
巧舟完全監修、おなじみの個性的なメンバーと新たなキャラクターが暴れ回る究極のリーガルアスリートエンターテインメントショー、ついに開幕!
物語は、結末にも大きく関わる泥棒騒ぎから幕を開ける。とある重要なアイテムが国際司法連盟の施設内に隠されたのだ。
▲冒頭から不穏な空気が漂う。ジュナン・マルットソンが手にしているものは…
そして、若くして父の跡を継いで連盟の理事長となった気弱で儚げなジャック・クローマック(小西成弥)と、やり手検事のゴドー(友常勇気)のシーンへと続く。
舞台版では初登場となる、原作で人気のキャラクターのひとり・ゴドー。表情は読めないながらも、甘く響く低音ボイスで登場人物たちを次々と骨抜きにしていく姿は必見。
▲謎の多いゴドーは一体なにを考えているのだろうか
▲部屋に忍び込んだジュナンにも顎クイするゴドー
一方、少女のような可憐さをまとったジャック・クローマックはオリジナルキャラクター。なぜかゴドーに顎クイされるシーンが度々あり、そのときの表情にぜひ注目してほしい。
▲線の細さが儚い雰囲気を際立たせているジャック・クローマック
▲ジャック・クローマックもゴドーの顎クイのターゲットに
謎を残したプロローグを経て、勢いと熱さを感じるオープニングに突入。会場が「逆転裁判」色に染まる。
余韻冷めやらぬなか、成歩堂龍一(加藤将)と綾里真宵(中村麗乃)の2人が登場。コミカルなやり取りのなかで、「逆転裁判」おなじみのキャラクターたちが次々と集まってくる。
メインキャストを一新した今作。人気シリーズの主人公役で舞台初主演を務めることになった成歩堂龍一役の加藤将は、ダイナミックな動きで原作のスピード感と勢いを見事に表現していた。
▲コミカルな動きも似合う成歩堂龍一
▲綾里真宵とのいつものコンビも健在
いつも明るいヒロインの綾里真宵(中村麗乃)との息もピッタリで、特に前半では2人の息の合ったボケが炸裂している。
「ジャスティス!」のひと声で登場するのは、成歩堂龍一のライバル・御剣怜侍(小波津亜廉)。堂々とした佇まいが天才らしさを醸し出している。
▲歩くだけで高貴さが伝わってくる御剣怜侍
今作では「司法オリンピック」という特殊な状況下で、さまざまなことに巻き込まれていく御剣。ゲームではめったに見られない姿が見られるかも!?ファンはぜひ楽しんでほしい。
▲2人がこのあと繰り広げるバトルは必見
成歩堂龍一へのツッコミ役は、矢張政志(反橋宗一郎)や狩魔冥(花奈澪)だ。矢張は今作でも綺麗な女性に目がないようで、狩魔冥や深鴫ヨーコ(大矢真那)に夢中になっている姿が印象的。
矢張を演じる反橋宗一郎は持ち前の鋭いツッコミをいかしつつ、大人数がそろうシーンでは場を回していい流れを生み出していた。
▲トラブルメーカーらしい爆発力をみせる矢張政志
▲うさぎポーズが意味するものは…
オリジナルキャラクターのヨークシャー・ベルジャン(小南光司)は通路から登場。「司法オリンピック」の解説を担当する彼は、大会を盛り上げるべく客席を煽る役目もあるようだ。
▲颯爽と登場したヨークシャー・ベルジャン
通路を練り歩きながら「記者のみなさん、僕を撮って!!」とポージングもバッチリ。自由な役どころなので、日替わりネタなども期待したい。
キャラクターが出揃ったところで、今回の大きなテーマになっている「司法オリンピック」がいよいよ開幕。「ラップ裁判」や「ダンス裁判」といった一風変わった競技が発表される。一体どんなバトルが繰り広げられるのか、ぜひ劇場で確かめてほしい。
▲弁護士を代表して戦いの意志をつきつける成歩堂龍一
▲検事代表として宣戦布告する御剣怜侍
前半は怒涛の勢いで競技が進んでいくが、大会の勝者が決したとき事件が起こる。ここからは一気に「逆転裁判」らしさが色濃くなる。
謎解きに弁護士と検事。原作ゲームを彷彿とさせる演出やSEが散りばめられており、ファンなら思わずテンションが上がるだろう。
▲ゲームでもおなじみ「待った」のシーンも
笑いの多かった前半と打って変わって、クライマックスは事件を中心にシリアスな展開が続く。息つく暇ない推理バトルと、事件に隠された真相に惹き込まれることは必至。
「正義とは?」「真実とは?」司法の現場で巻き起こる、正義とそれを巣食う闇の物語。果たしてどんな結末を迎えるのか、劇場で見届けてほしい。
▲推理をめぐらせ事件解決を目指す成歩堂龍一
囲み会見コメント
ゲネプロ公演前に行われた囲み取材には、成歩堂龍一役の加藤将さん、綾里真宵役の中村麗乃(乃木坂46)さん、御剣怜侍役の小波津亜廉さん、ゴドー役の友常勇気さん、深鴫ヨーコ役の大矢真那さん、ヨークシャー・ベルジャン役の小南光司さんの6名が登壇した。
座組の仲の良さが伝わる、笑い声が響く会見となった。
ーーまずは、自己紹介をお願いします。
加藤将(成歩堂龍一役):なるほどうりゅ…なるほどう…
出だしで噛んでしまった座長に、周りからは「もう1回言っときましょう」の声が。第一声から笑いに包まれた。
加藤:もう1回言わせてください(笑)。これで緊張がほぐれましたね(笑)。成歩堂龍一役の加藤将です。初座長ということで、頼れる先輩たちに頼りっぱなしなんですが、恩返しとして本番でみんなを引っ張っていきたいな、と思っています。「逆転裁判」という作品を全力で愛して頑張っていきます。
かっこよく締めたものの、友常さんからは「それでいいの?もっと言っとく?」とひと言。「ん〜取っておきます!」と答え、また笑いが起きた。
中村麗乃(綾里真宵役):いますごく緊張しています。初めてのことがたくさんで、不安もあるんですが、それ以上に楽しい舞台にしていきたいと思っています。
小波津亜廉(御剣怜侍役):御剣怜侍といえば堅いイメージがあるかと思いますが、今回はコミカルな一面もあって、作品のスパイスになれたらいいなと思っています。
大矢真那(深鴫ヨーコ役):普段はあまり緊張しないんですが、ヨーコは緊張感のある役なので、2時間10分緊張感をもって演じられたらいいなと思います。
友常勇気(ゴドー役):今回は歌ありダンスあり謎解きありと、2時間10分にぎゅっぎゅっと詰まっている作品になっています。何卒、何卒足をお運び頂ければと思います。
小南光司(ヨークシャー・ベルジャン役):みなさんが言ってくれたのでとくにないんですが(笑)。1ヶ月びっちり熱い熱い稽古を重ねてきたので、あとは観て頂くだけだと思います。
一通りコメントが終わると、「あ!僕、役のこと言うの忘れた!」と加藤さん。司会者の方に振られ、みどころをコメントすることに。
加藤:演出のほさかさんが「日本一の舞台にしたい」と仰っていたので、それくらいの気持ちで演じたいです。楽しんで、笑って泣いて頂けたら嬉しいです。
中村さんへの「1番面白かったエピソードは?」という話題の中では、加藤さんの爆笑エピソードが暴露された。
中村:足をクロスさせて座っていた加藤さんが「助けて助けて」って言ってきて、何かと思ったら「靴が絡まって動けない〜」って言われて(笑)。
加藤:靴が絡まって動けなくなって、椅子から降りられなくなったんですよ!
そのエピソードを聞いていた男性陣からは一斉に「やべー奴じゃん!」と声があがり、またも笑いが起きた。
ーー自身のキャラクタービジュアルで気に入っているポイントを教えてください。
加藤:やっぱりこのパッとやったときの(「異議あり!」ポーズをしながら)この(髪型の)スピード感ですね。アニメだと伝わりやすいけど、舞台だと伝わりにくいのでなるべく横を向いて、この髪のスピード感を出しています。
熱心に説明する加藤さんの横から友常さんが「躍動感ですね。多分彼が言いたいのは」と記者に補足を入れてくれる場面も。天然といわれることも多い加藤さんの独特なテンポのトークにすかさずツッコミを入れるキャスト陣から、仲の良さが伝わってきた。
▲「異議あり!」ポーズでキメてくれた加藤さん
小波:御剣怜侍といえばこのフリルのタイだと思うんですけど、原作のフリルの形を再現するのに、スタッフさんと原作サイドさんがすごく熱心に作ってくださって。前々日くらいにようやく完成して。この思いの詰まったタイが1番のポイントです。
▲ふわふわなタイを是非劇場でチェックしてみてほしい
小南:もうご覧の通り全部です!(笑)目にうるさいこの全部が僕は大好きですね。
友常:マイク3つもついてるもんね。
小南:そうなんですよ。稽古場ではすごく静かなんですけど、舞台上ではマイクもたくさんあるし賑やかにいきたいと思いますね。
このコメントに「稽古場でも静かじゃないじゃん」と一斉にツッコミが入り、友常さんからは「そういうところあるよね(笑)」と一言。
そんな友常さんのお気に入りポイントは……。
友常:見ての通り、この仮面ですね。ちょうど目の前に(仮面の)線があるんですよね(笑)。視界は不良ですが、関係は良好なので、みなさんのことを信じて舞台に立とうと思います。
見事に綺麗なコメントでまとめて、加藤さんからは拍手も飛び出た。
終始和やかで笑いの絶えない会見となった。稽古場で培われた関係性が、作品でどう活かされているのか。キャラクター同士の関係性も追いながら、ぜひ本編を楽しんでみてほしい。
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