2020年1月29日に初日を迎える2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第10幕「月歌奇譚 太極伝奇」。今回はそのゲネプロの様子をお届けする。
たっぷりの写真もあわせて掲載しているので、ストーリーのネタバレはないが、全てを新鮮な気持ちで楽しみたいという人は、自身の初日を迎えてから改めて読んでもらいたい。
もくじ
人間と獄族、陰と陽、昼と夜……交わらない二項対立をつなぐ“心”の物語
2020年最初のツキステ。は、AGF(アニメイトガールズフェスティバル)で2016年に発表された「月歌奇譚 太極伝奇」を舞台化。カンフー風なチャイニーズテイストの衣装とパンダが可愛く、人間と獄族が存在する陰と陽をテーマにした世界観となっている。
前作ではシリーズ初の女神候補生が出演し、ツキノ寮を中心に繰り広げられる日常がベースの作品であった。一転、今作はツキステ。のお家芸ともいえるifの世界を楽しむ作品となっている。
▲人間側の郁(演:三山凌輝)、恋(演:鈴木遥太)と、とある事情を抱えている涙(演:佐藤友咲)
陽の気を持つ人間という弱い種族と、陰の気を持つ最強種族の獄族とが出会うことから物語は動き始める。本来弱いとされている人間だがとてつもなく強い人間がいたり、人懐っこい獄族がいたり。個人主義にも関わらずとある理由から徒党を組む獄族がいたりと、この世界にも、種族関係なく様々な思惑を持った存在がいることが明らかになっていく。
今作でお当番回を務めるのは年少組の駆(演:澤邊寧央)、恋(演:鈴木遥太)、涙(演:佐藤友咲)、郁(演:三山凌輝)。4人を中心に、種族を飛び越えて友情を育んでいくアクションアドベンチャー・エンターテインメントに仕上がっている。
▲もう1人のお当番回の駆(演:澤邊寧央)は獄族。桃まんをリアルにもぐもぐする姿は至宝
なかには、“戦う”という行為と結びつかない性格のキャラクターもいるが、それでも“彼らが戦う理由”というのがわかりやすく描かれていた。キャラクターが多く、設定も多い。そのぶん、シンプルな心の動きが際立ち、作品を見終わったとき彼らの“気持ち”の部分が浮かび上がってくるのだ。
生まれ育った環境の違いというものはたしかに大きい。しかしその境遇をも飛び越えてしまうほどの衝動は、どんな気持ちから生まれてくるのか。そんなところに注目すると、本作をより熱く楽しめるのではないかと感じた。
この座組で挑む、本格的な“if”の物語。感じたのは成長と逞しさ
印象的だったのは、前作を役と共に走り抜けた新キャストたちの成長と、ベテラン勢の力強さだ。
ifの世界、しかも今回はふたつの種族が登場する。とくに獄族側のキャラクターたちは、普段の性格を獄族色に寄せなくてはならない。とはいえ、軸にはもとのキャラクターがしっかり存在し、そこにプラスする必要がある。
このifの世界を表現する独特の難しさも、すでに1作品をこのキャスト陣で乗り越えたことで、安定していたように思う。今作の設定の向こう側に、しっかりとグラビ(Six Gravity)とプロセラ(Procellarum)が感じられた。
▲洞磔(演:小笠原 健)のラスボス感たるや
芝居パートをぐっと引き締めていた洞磔役の小笠原 健はさすがのひとこと。その存在感は圧倒的で、なかには背中だけでその強さ、傲慢さ、欲深さを語ってみせたシーンも。
今作はアクションも多いのだが、小笠原の経験値の高い殺陣に引っ張られるように、それぞれが武器を振るうたびにステージ上の熱量が上がっていった。
▲駆と恋の手合わせから……
▲ニコニコした葵(演:上仁 樹)と新(演:中島礼貴)の手合わせから……
▲始さん(演:縣 豪紀)の本気の戦いまで本作はアクションシーンがとにかく多い
▲この世界の人間界最強・始と、海(演:平井雄基)の共闘。2人とも背が高く、加えて長物の殺陣なので迫力がある
▲始とみんなの優しい春さん(演:松田 岳)が剣を交えている理由とは……
キャストのなかには殺陣経験の多い者も多く、見応えのあるアクションに仕上がっているので、ファンはお楽しみに。キャラクターごとに使う武器の間合いが異なるため、同じ一撃でも多様な個性があった。
推しキャラ・推し俳優がいると定点カメラになってしまいがちかもしれないが、せっかく全員のアクションが盛り沢山の本作。どの手も見逃さないぞ! くらいの意気込みで、ステージをはじからはじまで、上から下まで目を凝らしてみて欲しい。
写真で観る芝居パートの見どころ
ここからは、劇中ショットを紹介していく。筆者が感じた見どころポイントも書き添えているので、これから舞台を観る人は参考に。すでに観た人は前後のやりとりなどを思い出しながら楽しんでもらえたらと思う。
▲食いしん坊な切り込み隊長は恋の腕を味見
▲さりげな~く手当をしてあげる葵の押し付けがましくない優しさと佇まいの表現の仕方はさすが
▲白年少組も冒頭から大活躍する
▲ダンスでも切れ味バツグンのいっくんはアクションも笑顔もキラッキラでキレッキレ
▲風格がさらに増した今作の始。衣装も素敵なので、劇場では髪飾りからつま先まで余すところなく眺めてほしい
▲怖いもの知らずのかけるんは獄族としてさらに自由度がアップ!?
▲茶屋のわちゃわちゃ感は、いつもの寮を思わせるほっこりポイント
▲典型的な一匹狼で好戦的な獄族の陽。今作では悪い顔がワイルドで格好いい
▲憂いを帯びた表情が印象的な春。一体彼は何を思っているのか……
▲獄族としては変わり者らしい新と隼(演:TAKA[CUBERS])
▲この世界でも出会ってしまった隼と始……
▲隼の始への愛は世界線なんて、なんのその。ひと目で心臓を持っていかれてしまい……
▲隼「推せる」始「……」
▲始LOVEなシーンは今作も健在。存分に堪能しよう
▲気のいい獄族たちとの平和なシーンも見どころのひとつ
▲クライマックスに向けての戦いもお楽しみに
中華風新衣装も! ファンサに磨きがかかったダンスライブパート
ここからは第2幕、ダンスライブパートを紹介していこう。今回ゲネプロで披露されたのは、初日公演と同じProcellarum中心のライブ。
冒頭のMCからセットリストまで、プロセラファンはとくに楽しめるだろう。プロセラ回に入ったなら、海お兄さんの張り切り自己紹介ギャグにも注目だ。
それぞれセットリストが違うので、ここはやはり、Six Gravity公演とProcellarum公演の両方を観ておくのがベスト。ルールを守りつつ、彼らのアイドルな姿を堪能しよう。
今回はいったいどの曲がお披露目されたのか。「LOLV -Lots of Love-」や「GRAVITIC-LOVE」といったおなじみのグループ曲をはじめ全部で10曲以上が登場した。実際のセットリストを予想しながら劇場に向かおう。
最後にダンスライブショットを厳選してお届けしたいと思う。ぜひ推しキャラクター・推し俳優のまぶしい笑顔で、明日への活力を受け取ってほしい。
「LOLV -Lots of Love-」
「GRAVITIC-LOVE」
世界観にあわせた新衣装も登場
この新衣装は服自体はシンプルなのだが、髪飾りがとにかくかわいい。ターンの度に揺れるアクセサリーが、彼らの端正な顔立ちをより一層引き立てていた。
運良く前方席や通路の近くの席に座る機会があれば、美しい顔を見つめるついでにアクセサリーにもぜひ注目してみてほしい。あのビジューに負けない煌めきを放つ彼らは、まさしくアイドルなのだ。
シリーズ10作目を飾るツキステ。色満載のステージ
2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第10幕「月歌奇譚 太極伝奇」は2020年1月29日(水)開幕。2月2日(日)までヒューリックホール東京にて上演される。
第10幕という節目のこのタイトル。培われてきたツキステ。の“らしさ”が凝縮されたキラキラのエンターテインメントをぜひ劇場で浴びてみてほしい。
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