2019年9月に上演された「ウルトラマン」シリーズ初の2.5次元作品として注目を集めた舞台『DARKNESS HEELS ~THE LIVE~』。あの興奮からわずか3ヶ月後の12月5日(木)、5人のダークヒーロー達の“闇”に迫る新作舞台『DARKNESS HEELS ~THE LIVE~ SHINKA』が幕を開けた。
今回「2.5ジゲン!!」では、本作のゲネプロ及び囲み会見の様子をお届けする。
“深化”し“進化”する5人のダークヒーローの物語
舞台『DARKNESS HEELS ~THE LIVE~ SHINKA』の見どころはなんといっても、“5サイドストーリー”である。
ストーリーのベースは前作と同じ。5人のダークヒーローたちが本来の力を制御され、惑星テリオのヒュース・アーディ(演:佐川大樹)によって“まるで人間のような姿”で目を覚ます場面から始まる。
つい3ヶ月前に上演されたばかりなので、前作を観た人は冒頭のシーンで前作の記憶が蘇るだろう。
▲ウルトラマンベリアル(石渡真修)とヒュース(佐川大樹)。ヒュースの狙いとははたして……
ゲネプロではカミーラ(演:相楽伊織)のサイドストーリーが上演された。
ヒュースのもとから脱走し、思い思いに宇宙へ飛び出した5人は、やがて惑星アバンやO-50、惑星テリオと関わっていくことになる。
カミーラ編では、彼女が行き着いた惑星アバンでのストーリーが中心に描かれていった。なぜ彼女がこの星の人々を守りたいと思うようになったのか。過去の記憶とどう向き合っていくのか。
▲彼女が珍しく浮かべているこの笑みの理由は“ノリツッコミ”!?
また、彼女だけでなく惑星アバンに生きる人々の思いや葛藤について、前作では触れられていない部分が描かれていた。ノーム・ジェイ(演:影山達也)やレジーナ・ロレッテ(演:諸塚香奈実)、そして今作初登場となるアバン政府のエメリ・アメリ(演:富田麻帆)。自然との共生をもっとも尊重し生きてきた彼らが、少しずつ変わっていく姿が丁寧に紐解かれていた。
▲ノーム(影山達也)の葛藤も、このカミーラ編では掘り下げられていた
その過程を知ったうえで観るクライマックスは、前回と同じ結末ながら、受け取る印象が変わるだろう。キャラクターを深く掘り下げることで、観客もまたより深く作品の世界観に没入できるのだ。
ゲネプロではカミーラの闇が照らし出されたが、残り4人のダークヒーロー達の闇を覗いてこそ、この作品の面白さは何倍にも膨れ上がるのだろう。
新キャストが生み出す新たな化学変化
サイドストーリーが描かれるキャラクターは回替わりとなるが、それ以外のキャラクターももちろん活躍するので、安心してほしい。
前作と同じストーリーではあるが、5人のダークヒーローのうちウルトラマンベリアル(演:石渡真修)とジャグラス・ジャグラー(演:上仁 樹)、ダークザギ(演:神里優希)の3人は新キャストとなっている。
▲ウルトラマンベリアル(石渡真修)の瞳の力強さが印象的
▲ジャグラス・ジャグラー(上仁 樹)の妖艶な演技が光る
▲野生児らしさあふれるダークザギ(神里優希)
キャストが変更となっていることで、役者の特色とキャラクターとが結びついた、新たなキャラクター像が誕生していたのが印象的だ。
石渡のウルトラマンベリアルは感情にストレートでありながらも、どこか思慮深さを持ち合わせているような印象を抱いた。上仁のジャグラス・ジャグラーは、道化師のような軽さのなかに底知れぬなにかを隠し持っているような雰囲気。そして神里のダークザギは、感情を持て余し怒れるなかにもピュアな部分が光ってみえた。
これはもちろん筆者の感想なので、ぜひ新キャストが描くダークヒーローの姿を劇場で確かめてみてほしい。
前作から続投となる友常のイーヴィルティガは、二面性の強弱により磨きがかかっていた。次第に鮮明になっていく記憶とともに、彼のなかでなにかが明確になっていく。さらに、彼と関わるであろうヒヨ(演:根岸愛)という新キャラクターも今作から登場するので、彼女との関係性が気になる人は、イーヴィルティガのサイドストーリーの観劇をおすすめする。
▲イーヴィルティガ(友常勇気)。この表情のあと、ガラリと雰囲気が変わる演技は見どころのひとつ
アクションシーンは前作よりもさらに手数が増えているのではないだろうか。惑星に住む人々 VS ダークヒーローという単純な構造ではない。3つの惑星それぞれの思惑と住民の想い、そしてダークヒーローたちの闇を軸にした信念がぶつかりあい、多重的に発生する殺陣が、絡み合う感情を表現しているかのようである。
▲シャルム・フィーラー(杉江優篤)の“欲”もよりくっきりと浮き彫りに
▲おなじみ!? ダークなのにどこかかわいらしいダークザギとジャグラス・ジャグラーの掛け合いは健在
▲エンディングではそれぞれに耳打ちするジャグラス・ジャグラーの姿が……
感情の乗った殺陣を観ているうちに、「使命」や「信念」、「正義」とは何なのか。そんなことが頭をよぎるだろう。“闇”をまといし者たちが繰り広げる戦いの意義に思いを馳せながら、特撮ヒーローコンテンツらしいド派手なアクションを楽しんでみてほしい。
舞台『DARKNESS HEELS ~THE LIVE~ SHINKA』は12月5日(木)〜12月15日(日)までCBGKシブゲキ!!にて上演される。
囲み会見レポート
ダークヒーロー5人が集結した、ゲネプロ前の囲み会見の様子をお届けしよう。
ーー意気込みをお願いします。
石渡真修(ウルトラマンベリアル役):キャストも一新して「SHINKA」という形で、まったく別物になっていると思います。力を合わせて頑張りたいと思います。
上仁 樹(ジャグラス・ジャグラー役):シンプルに、まず初日を頑張って千秋楽まで誰一人欠けることなく頑張っていきたいです。
友常勇気(イーヴィルティガ役):チーム一丸となってスタッフ・キャストとともに、お客様に素敵な作品を届けられるよう頑張ります。
神里優希(ダークザギ役):意気込みは、怪我なく千秋楽まで突っ走ることです!
相楽伊織(カミーラ役):前回よりもパワーアップした舞台を届けられるように頑張りたいと思います。
ーー「SINKA」版ということで5サイドストーリーが話題ですが、それぞれのストーリーの見どころについてネタバレしない範囲で教えてください。
石渡:……なんにも言えない(笑)。何言ってもネタバレになっちゃう。
神里:各サイドは3回しかないので、毎公演新鮮な気持ちでやれるし、「SHINKA」とあって深く掘り下げたストーリーとなっているので、ぜひここに来て観ていただけたらなと思います。
ーー新キャストの3名はいかがですか?
石渡:前作を観ていろいろ勉強させてもらったんですが、やっぱり実際に演じるのは自分たちで。なので、別なものになるなって思っていて、そのへんも観ている人に楽しんでもらえたらと思います。
上仁:プレッシャーとかも個々に感じていると思いますけど、僕たちのザギ、僕たちのジャグラー、僕たちのベリアルを作って届けられたらなというのがあります。
神里:僕がやる意味というか、なぜ僕をダークザギに選んでいただいたのかというのを考えながら稽古もやってきましたし、選ばれた誇りや責任を感じながらやりたいなと思っています。
ーー続投の2人はいかがですか?
友常:僕なりに、イーヴィルティガと光の巨人を深められたんじゃないかと思うので、そこらへんを楽しみにしていてほしいです。
相楽:前回に続けてカミーラを演じさせていただくにあたって、前回よりもいいものにしようと……。
と、ここで言葉につまってしまった相楽を、隣の友常が「カミーラとして生きていこうと思います」とすかさずフォローする場面も。
友常:作品は“SHINKA(深化)”ではありますが、僕たちは進むほうの“進化”を感じながら、もう一歩作品に踏み込んでいけたらな、と。5人で“進化”していけたらと思っています。
ーー5人のチームワークはいかがですか?
上仁:いいんじゃないですか? 仲良しです。
と、上仁が同意を求めて周りを見ると、4人はなぜかニヤニヤ。そんな様子からもしっかりと仲の良さが伝わってきた。
神里:僕は舞台上では会話しないキャラクターも多いんですけど……。でも、稽古場では支えてもらったりアドバイスもらったり、他愛もない話で盛り上がったりして仲を深めてきました。
上仁:君、いつも言うもんね。「俺ら仲ええねぇ」って(笑)。
友常:ギスギスしてるとお客様にも伝わっちゃうからね。皆で『ONE TEAM』ということで仲良くやっていきましょう。
友常がうまく場をまとめると、互いにうんうんとうなずいて、チームの絆を再確認した様子を見せてくれた。
ーー最後にお客様へのメッセージをお願いします。
背中を押され前にでた石渡が5人を代表してメッセージを述べた。
石渡:キャスト全員で「ウルトラマン」の世界を尊敬しつつ、ダークサイドということでみんなでがんばりますので、僕らが全力で演じている姿をぜひ観にきてください!アクションも深い物語もありますので!お待ちしています!
ダークヒーローを演じる5人の、本編では観ることができない笑顔あふれる会見となった。会見とは打って変わって、“ダーク”な世界観が広がる舞台『DARKNESS HEELS ~THE LIVE~ SHINKA』を、ぜひ劇場で楽しんでほしい。
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