2019年11月8日(金)、TOKYO DOME CITY HALLにてライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」~暁の調べ~ゲネプロ公演が行われた。
東京初日会見には、うずまきナルト役の松岡広大、うちはサスケ役の佐藤流司、うちはイタチ役の良知真次、春野サクラ役の伊藤優衣、ペイン役の輝馬が登壇した。
ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」~暁の調べ~は2015年に初演が上演された。緻密で斬新な演出と、漫画から飛び出して来たような再現度の高いビジュアルにより、日本だけではなく、世界各地で上演され旋風を巻き起こした作品である。
今作は、2017年に公演されたタイトルの再演だが、新キャストや演出を取り入れた新しい舞台が、大阪公演に引き続き東京でも幕を開けた。
初日会見では、キャスト陣が「2年の時を経て、舞台も役者もパワーアップしていると思います」と自信を見せた。
その言葉通り、音楽や演出が一新された舞台はエネルギーに溢れている。2.5ジゲン!!では圧倒的なパワーに満ちたゲネプロ公演の様子をお伝えする。
※全ての写真は本文下の「画像一覧」に掲載
OPは、映像と音楽を駆使しており全キャストが勢揃い。
和太鼓や二胡を取り入れた迫力のある音楽は、会場全体の臨場感を増してくれている。キャスト全員での合唱も必聴だ。
「これぞライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」!」と思わせてくれる、素晴らしい始まりとなっている。
また、冒頭では原作のカットを多く取り入れた原作ファンにとっても嬉しい演出となっているため、始まった瞬間に瞬きをするのが勿体ないと思えるOPであった。
仲間との絆、自分の弱さを知る第一幕
物語としては、ナルト(演:松岡広大)が2年間の修行から帰ってくるところから始まる。
カカシ(演:君沢ユウキ)率いる第七班は、綱手(演:大湖せしる)からの使命により我愛羅奪還に向かう。
作戦は無事に終了。だが、戦いの中でダメージを負ったカカシは一度戦線離脱。代わりにヤマト(演:藤田 玲)とサイ(演:定本楓馬)を迎えることになる。
新生第七班は順風満帆なスタートを切ることは出来ず、最初は意思の疎通が取れずにぶつかり合うことも多い。
だからこそ、物語が進むにつれて次第に心を許し合う姿には心臓を揺さぶられるものがあるだろう。
続く大蛇丸戦は、プロジェクションマッピングを派手に使った演出が見どころだ。
舞台の横幅や奥行きだけではなく、高低差、殺陣や和太鼓を取り入れた立体的な演出も観客側を湧き立たせてくれる。
また、派手な戦闘シーンだけではなく、キャラクターの心情にも注目したい。
ナルトを思うサクラや、サイのナルト達への態度など、各人の個性が際立つ演技からは自然と目が離せなくなる。
ヤマトの分身が尾行し突き止めた大蛇丸のアジトで、ついにナルトはサスケと再会を果たす。ナルトは必死に呼びかけるが、復讐に燃えるサスケの目にその姿は映らない。
兄弟のようでもあり、親しい友でもあり、確かに固い絆で結ばれているはずのナルトとサスケ。なのになぜすれ違ってしまうのかと、観劇しながら目頭が思わず熱くなったシーンである。
しかし、立ち止まっている時間はない。大蛇丸の転生まではあと僅か。
真の結束に辿り着いた新生カカシ班は、誓いを新たに立ち上がる。
物語は核心へ。隠されたイタチの秘密、兄弟の絆は――……?
物語後半は、主演の松岡さん曰く「サスケが復讐に向かうストーリー」である。
古い肉体を脱ぎ捨て、白大蛇の姿と化す大蛇丸。ここでも舞台を目一杯に使った演出が光る。アンサンブルも巧みに絡み合い、サスケと大蛇丸の死闘を演出してくれる。
大蛇丸を倒したサスケは、鬼灯水月(演:萩尾圭志)、香燐(演:七木奏音)、重吾(演:山口智也)という仲間を得てイタチの痕跡を追いかける。
写輪眼による凄まじい幻術合戦、強力な忍術「天照」や「麒麟」。瞬きすら惜しくなる戦闘シーンに、観劇しながら手に汗を握ったのはおそらく筆者だけではないだろう。
東京初日会見で、佐藤さんと良知さんは喜怒哀楽という感情について触れていた。
サスケが主に抱いているのは「怒と哀」、対するイタチは「喜と哀」を表現したとのこと。
その言葉通り、二人の表情や言葉、その一挙手一投足からは様々な感情が流れ込んでくる。
二人の死闘の末、トビ(演:片山浩憲)から語られる真実は、是非自身の目と耳で受け止めて欲しい。
東京初日会見レポ
――東京初日を控えての意気込みをお願いします。
松岡 広大(うずまき ナルト役):東京初日、無事に誰も怪我なくここまでやってくることができました。大阪公演も大変ご好評いただいて、東京で公演できることが嬉しいです。
正直緊張はしておりますが、まずは自分が楽しんで、お客様にも楽しんでいただければと思います。是非足を運んでいただけたら幸いです、よろしくお願いします。
佐藤 流司(うちは サスケ役):再演といいますが、舞台装置だったり振り付け、アクションだったり一新されまして、まったく新しい形いでの暁の調べを見せられるのではないかと思っています。よろしくお願いします。
良知 真次(うちは イタチ役):今回の再演は、前回よりもパワーアップして大阪公演に挑みました。今日から東京公演が始まりますけども、初演、今回の再演をやるまでの間に自分の中に目標がありまして…。
初演の時は松岡くん、佐藤くんと呼んでたんですが、再演の時は広大、流司と呼ぶと決めていましたので! 稽古場に入った瞬間から流司のことは流司と呼びました。広大のことはいつから呼ぼうかなと思っていたのですが、美味しいお酒を飲んだ時に改めて広大と呼べまして……今回いい雰囲気で挑めています。
大阪東京、そして中国、全キャストで挑んでいきたいと思いますのでよろしくお願いします!
伊藤 優衣(春野 サクラ役):前回から2年経っていまして、皆いろんな現場を踏んで、いろんな力をつけて終結して、すごくパワーアップした形になっていると思います。ぜひ楽しみにしてくれていたら嬉しいです。よろしくお願いします。
輝馬(ペイン役):劇場が変われば作品も変わると思っています。劇場に来てくださったお客様の反応を見ながら、自分の全力を出しながら楽しんで頑張っていけたらと思います。これから銀河劇場もありますし中国公演もありますので、そちらもよろしくお願いします!
―――それぞれのキャラクターの見どころをお願いします。
松岡:一幕と二幕でまったく毛色が違います。一幕はナルトが力のなさ、非力さに落胆するというストーリーで、二幕はサスケが復讐に向かっていくストーリーなので、そこのコントラストが面白いと思います。
今回少し成長したナルトというのがあるのですが、自分自身も初演の時17歳で、今は22歳です。年を重ねて芝居だったり殺陣だったりが変化していく中で、そういった自分の芝居の変化と役の成長がリンクしていると思うので、そこはナルトとしても役者としても見ていただきたいところです。
佐藤:今回のサスケは喜怒哀楽の喜と楽が抜けておりますので、怒哀の精神でやっていきます。見れば見る程サスケが悲しく、感情移入しやすいようなアプローチにしましたので、そういうところを見ていただけたらいいと思います。
良知:若い2人がこんないいコメントをすると最年長としてはコメントしにくいんですけども!(笑)しっかりとしたサスケがいますので……イタチとしては喜怒哀楽の喜びと悲しみを表現していけたらと思います。冒頭のイタチの悪の部分と、真実を知ったところのイタチの優しさだったり弟を愛する気持ちを、音楽をうまく使って演じたいと思います。
伊藤:今回新生第7班のお芝居がすごく楽しくて……この4人の中でのサクラちゃんの気持ちの変化や成長を私自身が楽しんでいるので、そこを注目してもらえたらなと思っています。
輝馬:喜怒哀楽の感情が全部抜け落ちてしまったというか……。ある意味一周回ってしまったような人間なので、恐ろしさや狂気を見ていただけたらと思います。
会見中は、輝馬さんが見どころを語る際に「あとは人のソロをとったじゃん」と突っ込む良知さんの姿も。「いただいたんですよ!」「本当は僕だったんですよね」と二人が言葉を交わせば、「稽古初日から言ってる」「根に持ってる」と周囲から野次が飛び笑いを誘う場面もあった。
――先輩から見て、2年間で成長したというころは?
良知:広大の成長はすごいですよ! ナルトと同じくらいこの2年で成長しています。すごく嬉しいです。
やっぱり流司との芝居は安心して出来ます。感情だったり関係性だったり、2年経って深まったものがありますね。役者さん全てが2年で変わっているので、それが今日皆さんの目に届くと思います。
――公演を楽しみにしている方へのメッセージをお願いします。
松岡:一人一人のキャストの皆さん、そしてアンサンブルと呼ばれている皆さんもいるんですけど、今回僕はこのナルトというカンパニーにはアンサンブルという役はいなくて、本人役で役についていらっしゃる方もいます。その方々がいるおかげで、僕らメインキャストも立てていると思います。
なので芝居、踊り、アクロバット、いろんなものが詰まったエンターテイメントだと胸を張って言えます。是非劇場に足を運んでください。よろしくお願いします。
様々な感情が交差する、成長の物語
サスケとナルトをはじめとしたキャラクターの葛藤、成長が描かれてきた今作は、その複雑な胸中が紐解かれていき、終盤になるにつれ、観客側の心を強く締め付けてくる。
感情の揺れを後押しするような演出は、常に新しい可能性に挑戦してくれるこのシリーズ作品だからこそだろう。
ナルト達がこれから進む道がどうなるのか。物語の結末を追いかけたくなるような気持ちを与えられる。
家族や友人、仲間という様々な関係が生み出す絆を、是非とも劇場で目にしていただきたい。
©岸本斉史 スコット/集英社
©ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」製作委員会2019
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