2.5次元ダンスライブ「ALIVESTAGE」Episode 2『月花神楽~青と緑の物語~』が、厳かなはじまりの音とともに幕を開けた。
2019年11月8日(金)の初日公演に先立ちおこなわれたフォトセッションとゲネプロの様子をお届けしよう。
今回、ゲネプロで上演されたのはGrowthメインストーリーの「浅葱の章」。本編の場面写真もいくつか掲載するが、SOARAメインとなる「青藍の章」とは異なる部分も多々あるだろう。
その違いはぜひ、劇場でたしかめてみてほしい。
▲キリッと決めて
2作目のイブステにして、初めてGrowthとSOARAのALIVE2組が揃う本作。そのファン待望の作品を彩るテーマは11月9日(土)からスタートするAGFの恒例企画・エア舞台の最新作「月花神楽」だ。
果たしてどんな作品に仕上がったのか。ネタバレは避けつつも、作品の空気感が伝わるようゲネプロレポートをお届けする。日替わりネタすらもまっさらな気持ちで挑みたい、という方は、ぜひ観劇後にこの記事を楽しんで欲しい。
▲こちらは仲良く
もくじ
平和な9人に不似合いな“争いの世”で、それでも失われない彼ららしさ
原作の「月花神楽」の約1000年前。その世界ができあがるまでの混沌の時代を描くのが今回の舞台版だ。
▲「月花神楽」の衣装の華やかさに目を奪われるOP
いくつかの国が領地を奪い合い争いを続ける世界の片隅で、ひっそりと平和を守ってきた2つの国、浅葱(Growth)と青藍(SOARA)。
しかし、彼らもまたとあるきっかけで争いに巻き込まれていくことになる。
▲昂輝の涙の理由は……
ツキノ芸能プロダクションには、様々なコンセプトを持った多種多様なタレントたちが所属している。そのなかでも、ALIVEシリーズのSOARAとGrowthはこと平和的な印象を抱くグループだ。
好戦的な性格のメンバーさえいない彼らが、“戦争”という生死を賭ける事態に直面して見せる表情は一体どんなものなのか。原作を知るファンは、想像がつかないのではないだろうか。
ストーリーが進むにつれ、“ALIVE”と“争い”という反発し合う磁石がどんな結末に着地するのか。のめり込むように、その世界観に引き込まれていった。
Growthでは藤村 衛(演:岩佐祐樹)、SOARAでは大原 空(演:堀田竜成)がキーパーソンとなる。
▲今作キーパーソンとなる2人
2人の共通点……ファンはピンとくるだろう。2人は天性の作曲センスを持ち、グループの作曲家として活躍している。
平和な世界であれば、彼らが作り出した音はこの世に笑顔を生み出すことができる。しかし、この争いが起こる世界では……。
今回ゲネプロは「浅葱の章」だったので、とくに衛にスポットが当たっていた。この世界でも、衛とGrowthの3人との出会いは数奇な運命によって導かれ、関係性が築かれていく。
それはまるで、再び“はじまりの物語”を追体験しているかのような懐かしさと安心感があった。
「僕は大丈夫だから」と、いつもの良くも悪くもお人好しで、ちょっぴり自分を大事にしないところがある衛が、浅葱の者たちと出会い、最後に出す答え。音とともに胸に撃ち込まれる思いを、ぜひ受け取って欲しい。
▲音という名の絆がひとつずつ重なって和音を奏でていく
圧倒的存在感を放つオリジナルキャラクターの磯貝龍乎&山沖勇輝
▲自由モードの磯貝と「いやいややめようって言ったじゃないですか」の山沖
軽やかで爽やかな雰囲気を持つSOARAとGrowth。新緑を揺らすそよ風のような柔らかな彼らとは対称的な、六道(演:山沖勇輝)と五道(演:磯貝龍乎)の重みある安定感が、作品にさらに深みを与えていた。
オリジナルキャラクターのキャストが発表されたとき、少なからず不安に思ったファンもいるだろう。
そのパワフルさゆえに、アドリブOKの作品ではどこまでも我が道を行くことに定評のある磯貝龍乎と、彼の大のお気に入りのパートナー・山沖勇輝。
果たしてこの2人はイブステのあの顔ぶれに混ぜても大丈夫なのだろうか……なにかとんでもないことが起こるのではないか……。
その不安のような期待のような気持ちをいい意味で裏切ってくれたのは、「さすが」といったところ。実力派として演技で魅せ、殺陣で魅せ、そしてちょっとした小ネタで貪欲に笑いまでも取っていく。
舞台経験が少ないキャストも多い本作において、とても“舞台作品らしい”存在感を放っていたのは、さすがの手腕といえるだろう。
ゲネプロから果敢にネタを入れるタイミングをはかっているようにも見えたので、お当番ユニットの日替わりネタだけでなく、彼ら阿修羅組が登場するシーンの日替わりネタにもぜひ注目して欲しい。
“音の舞”、その響きに息づく彼らの想い
▲全キャストで。格好いいポーズをお願いしました
音を感じ、音とともに生きている。そんな衛と空、GrowthとSOARA。誰よりも音の持つ力とその奇跡を感じてきた彼らだからこそ紡ぐことができる物語が、「月花神楽」の世界のなかにあった。
どんな世界でも失われない、彼らの心の奥にある根っこの部分を、艶やかで鮮やかな華麗な“音の舞”とともに堪能してほしい。
11月の冷たい風が吹く帰り道、銀座のビル群を見上げると、舞う花びらの影が見える気がする。そんな気持ちに浸れる作品だ。
1幕のラストには本作の主題歌「月花神楽」のパフォーマンスがある。なんとこの楽曲はスマホで動画撮影OK。思い出を動画として持ち帰って、家でゆっくり余韻に浸ろう。
▲フィナーレの「花月神楽」はスマホ動画撮影OK
2部ダンスライブレポート! まさかの号泣注意!?
さあ、ここからは気分を変えて2幕のダンスライブの様子をお届けしよう。
今回はなんといっても、ライブパートにSOARAが初参加! しかも、他のツキステ。、スケステにもない試み、バンドの生演奏&生歌唱である。
1幕はGrowthメイン回だったので、公平を期すためにも2幕はSOARAを中心にレポートしていこうと思う。
まず歌う前、楽器のセッティングから入るのだが、これはもう生演奏ならではの醍醐味だ。
それぞれ楽器を用意をして、なかにはちょっと音出しをするメンバーもいて、お互いに顔を見合わせながら「いける?」「準備OK?」と声をかけあう。
これはまさに私達ファンがドラマCDで聴いてきたSOARAの関係性そのもので、一瞬で劇場が体育館のステージに感じられてしまう。
「エリアル-ALIEL-」ならギターのイントロから、「花咲く丘で」ならドラムのカウントに続くキーホードのチャイムの音階からはじまるSOARAの世界。楽器の音と、SOARAの弾ける笑顔が劇場を満たしていった。
彼らが奏でる青春の音に、イントロで思わず涙が出てしまうファンもいるだろう。筆者は想定外の押し寄せる感動に思わず涙が滲んできたので、うちわやサインライトだけでなくハンカチもぎゅっと握っておくことをおすすめする。
Growth&SOARA&ZIXのソロショットレポート
「月花神楽」の和テイストの衣装は、刺さる人にはかなり刺さるデザインだ。もっとじっくり眺めたいというファンもいるだろう。
ということで、最後にソロショットを添えつつ、10人の見どころを紹介していきたい。
ぜひ最後まで楽しんで読んでもらえたら、と思う。
衛藤昂輝(演:塩澤英真)
▲昂輝に顔を覗き込まれその美しさに耐えられない空
▲と、「その気持ちすっごくわかる」と共感する衛と、不思議そうな昂輝
今作は、役どころの関係もあり、より高貴さが増していた昂輝。周りのことばかり優先させる衛を気遣っている彼だが、彼自身もまたどこか自己犠牲的な部分を持っている。
そのことに気が付きポロリと弱音をこぼすシーンは、塩澤の演技が光っていた。
八重樫剣介(演:石川 翔)
▲剣八、今回も熱いソウルでビートを刻む
▲殺陣では宗司とともに先陣を切る
テンポのいいやり取りは彼にお任せ、というくらいあっちでぴょこぴょこ、こっちでぴょこぴょこ。今回も大忙しだった剣介。
ゲネプロの日替わりネタでは、あの剣八が登場。
ちなみに、今回の日替わりネタはシリアスなシーンからの暗転で突然やってくる。前のシーンとの温度差に風邪を引かないよう注意しよう。
桜庭涼太(演:三谷怜央)
▲2人の因縁は遺伝子レベルなのか、初対面でいがみ合ってしまう
▲殺陣での凛々しい姿あり
▲日替わりコーナーの愉快な姿あり。たくさんの魅力を楽しめる
ファンが存在しない「月花神楽」の世界では、クールで毒舌な素顔の涼太が全面に出ていた。
絶対零度の微笑みから繰り出される、反論の余地のない正論というストレートパンチが、今作でも炸裂している。
一方、関西の血が騒ぐのか、日替わりネタの三谷はゲネプロから快調に飛ばしていた。このギャップが楽しめるのも、内魂が色濃く出てくることが許される日替わりコーナーがあるからこそ。
おそらく千秋楽までさまざまなネタを抜かりなく仕込んでくると予想されるので、とても生き生きとしている彼に注目だ。
藤村 衛(演:岩佐祐樹)
▲衛のだめだめなところに詰め寄る涼太と止めに入る剣介。ほのぼのするワンシーン
今回とても苦しい役どころを岩佐が好演。
前向きで明るいがどこか少し陰りのある笑顔を浮かべる、という衛の掴みどころのない空気感の作り方が上手いのだ。
痛みに鈍感とでもいうべきか。原作初期のどこか危うい空気をはらんだ姿を、丁寧に演じていたのが印象的だ。
大原 空(演:堀田竜成)
▲1曲目の演奏が終わってほっとした様子のSOARA
小動物のような愛くるしさがつまった空は、カラリと笑う姿がとても良く似合う。本作では複雑な生い立ちを背負っているが、「青藍の章」でよりその過去が掘り下げられるのだろう。
ライブパートでの「みんなで歌えて嬉しいよ」と聞こえてきそうな笑顔が、観客まで笑顔にしてくれる。
在原守人(演:石渡真修)
▲凛とした立ち姿がモリをよく表現している
SOARAの実質的なリーダーポジションの守人は、他のメンバーより舞台経験の豊富な石渡だからこそ演じられたのだろう。
前に出ず一歩引いて、フォローが必要かどうかを見極めて。堅実な仕事人っぷりを発揮していた。
とくに中盤の見どころでもある殺陣のシーンは、石渡の経験値が光るシーンとなっている。
神楽坂宗司(演:吉田知央)
▲宗司×眼帯×殺陣の破壊力よ……
▲MCタイムではクールだけどときどきノリのいい宗司が顔を出していた
2幕のライブでは、クールなメンズのドラム演奏はもはや凶器だと実感できることだろう。ハートを撃ち抜く凶器である。
先日ゲスト出演したスケステでは、吉田はゲネプロの日替わりネタの“餌食”となり、初舞台で緊張している胸の内をガチガチの様子で吐露していた姿が記憶に新しい。
一転、今作は男らしさに磨きがかかり、堂々とした風格までも漂っている。1幕では先頭を切って戦い、2幕では刀をスティックに持ち替え熱いビートを刻む。
さらに、衣装からのぞく腕に魅了されるファンが続出するのではないだろうか。
宗像 廉(演:植田慎一郎)
▲刀の構え方が実に廉
▲2人が並んだときのバランス感が絶妙である
骨格、顔の小ささがまるで2次元の植田が演じる廉は、まさに正統派美少年という原作の設定通りである。
ふとしたときにはにかむ表情がとてもかわいらしいのだが、筆者のお気に入りは演奏前にキーボードのセッティングを確かめるためにしゃがむところだ。
変哲もない仕草だが、しゃがみ方がとても生真面目な廉らしかったのである。
“宗兄”と並んだときの肩幅や筋肉の差の再現性が見事なのでぜひ注目して欲しい。
七瀬 望(演:渡邉 響)
▲殺陣ではひとり違った武器で大暴れ!?
SOARA劇場版から唯一のキャスト変更となった渡邉。そんなことをまったく感じさせない七瀬 望がそこにはいた。
ライブ中のMCでは起爆剤となって場を盛り上げ、最後は暴走しすぎて周りをちょっと置いていってしまう。だけど、気にせずガハハっと笑う姿は、ハートの強い望らしい。
下手側に座った際は、ベース演奏中のとびっきりの笑顔に、ぜひハートを撃ち抜かれてみよう。
須貝 誠(演:五十嵐拓人)&菱田 満(演:山根理輝)
前作のイブステでZIXファンは一気に増えたことだろう。今作もおいしい役回りで、また多くの観客を虜にしていくに違いない。
思わず大ボリュームの記事になってしまったが、楽しんでもらえただろうか。
ここでは伝えきれていない楽曲や見どころもたくさんある。彼らの音は、やはり同じ空間で受け止めてこそ響くものが多くある。Growth、そしてSOARAの奏でる音と劇場で共鳴してみてはどうだろうか。
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