2019年7月10日(水)、品川プリンスホテル クラブeXで「Starry☆Sky on STAGE」が幕を開けた。
七夕から少しだけ時間が過ぎたこの日、品川に現れた星月学園で綴られたのは、少し不思議な心温まる友情と愛情の物語。
この物語のゲネプロの様子をたっぷりの劇中写真とともに紹介していこう。
もくじ
夜空に輝く星座よりもまぶしい青春のステージ
2時間の上演時間につまっていたのは、星のきらめきに負けないくらい眩しく輝く青春の物語だった。
原作ゲームでは、月子(プレイヤー)と“彼”との間で育まれていった関係性。
関係が少しずつ深まっていくストーリーに胸をときめかせた「スタスカ」ファンも多いだろう。
この舞台版では、あくまで13人の生徒たちを中心に物語が進んでいく。
ゲームに慣れているファンにとっては、少し不思議な感覚かもしれない。
しかし、13人の心の中にはいつでも月子がいるし、特別な存在としてとても大事にしていることをうかがえるエピソードが丁寧に描かれていた。
13人とメインキャラクターが多いものの、月子と心通わせた重要なエピソードは全員分網羅されており、どのキャラクターのファンも高い満足度を得られる内容になっていたのではないかと思う。
さらに季節ごとのくくり以外でも、珍しい組み合わせでのやり取りも観ることができる。
本来の学園生活はきっとこんな感じなんだろう…そう思って観ていると、つい口元が緩んでしまうくらい、そこには自然体の彼らが存在していた。
あの月日から1年…妄想をかきたてるストーリー
オリジナルストーリーが描かれる本作。
あらすじは以下の通り。
あらすじ
『君に会いに飛んで来たんだ。相変わらず可愛いね。』今日は年に一度の七夕。
去年の春、3ヶ月だけ星月学園にいた土萌羊がアメリカから夜久月子に会いに戻ってきた。学園に揃った13人が月子を喜ばすためにある計画を考えていた。
~七夕の日、ベガが放つ『織姫の微笑み』と呼ばれる特別な光を浴びた願いは必ず叶う~
そんな話をしながら色とりどりの短冊とペンに願い事を書き、天羽翼の発明したロケットに短冊を入れた月子とみんな。
空の上まで直接願いを届けに行け!!と、ベガを目がけて発射した次の瞬間、空で爆発が起こり時空が歪み、ブラックホールに吸い込まれるように闇に包まれていく。
そして…ベガが…消えた…?
散り散りになった13人が再び目を覚ました世界は、月子がいない世界だった。
その結末はぜひ劇場で観てもらいたいので、ここからは各キャラクターの見どころを紹介していきたいと思う。
人数が多いのでそれぞれ少しずつになってしまうが、各キャラクターの写真とともに楽しんでほしい。
土萌羊役/糸川耀士郎
「月子大好き!」を隠さないまっすぐな愛情表現がとてもかわいらしいキャラクターを、糸川が好演。
帰国子女の土萌らしいふわっとした軽やかな空気感が見事だった。
ちょっと子供っぽい仕草や、月子を他の生徒から引き離そうとする懸命な姿に思わずキュンとしてしまうだろう。
七海哉太役/田中尚輝
田中尚輝が演じたのは、月子の幼馴染のひとりである哉太。
ワイルドな雰囲気と、心許した者に対する人懐っこさが、いい塩梅で表現されていた。
彼が抱えているものに関しての言及もチラッとあるので、原作ファンはハンカチを用意しておくことをおすすめする。
東月錫也役/國島直希
オカンと呼ばれるほど面倒見の良い錫也は、哉太と同じく月子の幼馴染。
普段は一歩引いている印象があるが、今回起こったトラブルを解決すべく動いている際には腹黒な策士の顔も見え隠れしていた。
このトラブルをめぐって激しく動揺し取り乱すシーンがあるのだが、その際の演技は必見。
宮地龍之介役/古谷大和
部活熱心で仏頂面な弓道部部長・宮地龍之介を演じたのは古谷大和。
寡黙なキャラクターを、そう多くないセリフで見事に表現していた。
弓道に対するまっすぐな姿勢とは裏腹に、月子のことになるとどうも素直になれないギャップがなんとも魅力的なキャラクターに仕上がっている。
金久保誉役/阿瀬川健太
急なキャスト変更で誉役を演じることになった阿瀬川健太。
そのプレッシャーは観客席からは計り知れないが、予測不可能なトラブルに慌てるみんなをしっかりと引っ張っていく金久保誉がステージ上にはしっかりと存在していた。
舞台の時系列では卒業してしまっているが、3年生トリオでのやり取りもあるのでお楽しみに。
木ノ瀬梓役/橘りょう
弓道部のルーキーで、自由奔放なところがある木ノ瀬梓を演じたのは橘りょう。
くしゃっと笑うキャラクターを得意とする橘にとって、とてもよく合っているキャラクターだったように思う。
従兄弟である天羽翼との本音でのやり取りは熱がこもっていて、観ているこちらも思わずハラハラしてしまった。
水嶋郁役/丸山ナオ
悲しい過去を持つ教育実習生の水嶋郁。
ひょうひょうとした雰囲気で、みんなの輪から半歩ほど引いて俯瞰で眺めていた姿が印象的だ。
そんな郁が、トラブルをきっかけに少しずつ変わっていく様子を丸山が丁寧に演じていた。
星月琥太郎役/青木一馬
星月琥太郎は、優雅に足を組んで座っている姿がとにかく美しい。
通路演出や舞台を降りての演技も多い今回の作品。
すぐ間近で観る彼のスタイルの良さに目を奪われるだろう。
表向きでは余裕がある彼だが、月子との回想シーンでは切羽詰まった胸の内を吐露している。
そのギャップは見どころのひとつだろう。
陽日直獅役/輝山立
元気印の教師・陽日直獅役を、輝山立が好演。
真っ直ぐで熱血で、ときどき空回りしてしまう姿を見事に演じていた。
高校生たちよりも高校生らしいパワーにあふれており、円形ステージをところ狭しと動き回る姿に思わず目が奪われてしまう。
青空颯斗役/高本学
新生徒会長を務める青空颯斗役を演じたのは高本学。
通常時の柔らかな笑顔と、怒りを抑えているときの笑顔の差を見事に演じ分けていた。
回想シーンでは、彼にとって大きな決断となった生徒会長をめぐるエピソードを観ることができる。
先輩の思いを全身で受け止め一礼したときの背中が印象的であった。
天羽翼役/桜庭大翔
「ぬの人」こと天羽翼は今作のキーパーソンともいえる人物。
トラブルを通じて大きく成長していく役どころでもある。
翼の顔つきが、物語の最初と終わりで違っているように筆者は感じた。
彼がどう変わっていくのか、それを追ってみるのも今作の楽しみ方のひとつではないかと思う。
不知火一樹役/杉江優篤
みんなのお父さん的な包容力とカリスマ性を備えた不知火一樹を演じたのは杉江優篤。
後述する囲み会見でも、杉江が率先してみんなの空気を盛り上げていた姿が印象的だったが、劇中でも同様にみんなを導いていた。
四季とともに星詠み科の力を使って、トラブル解決に奔走することになる。
神楽坂四季役/榊原徹士
4つの季節に属さない特待生の神楽坂四季は、その特殊な立ち位置をストーリーテラーという形で表現していた。
独特なテンポの喋り方と、つかみどころのない雰囲気を榊原が好演。
元気で勢いのある役を演じるイメージが強かった榊原の、新たな一面を垣間見ることができる役どころとなった。
▲白銀桜士郎役の鈴木翔音も濃い味を出していた
囲み会見レポート
全キャストが登壇した囲み会見の様子をお届けする。
ーー作品の魅力について教えてください。
杉江優篤(不知火一樹役):原作がゲームの作品なんですが、ゲームの1年後を描いた作品になります。
僕とか金久保(阿瀬川健太)や白銀(鈴木翔音)は卒業しているんですけど、ゲームの中で成長したあとのストーリーなので、また違った舞台での楽しさができているんじゃないかと思います。
それを楽しみにしていただけると嬉しいです。
輝山立(陽日直獅役):この作品は今年で10周年を迎える作品で、いままでアニメだったりいろんなメディアミックス展開をしていると思うんですけど、この作品は舞台版ということでオリジナルストーリーが描かれます。
そのなかでも、原作に忠実な部分だったり、オリジナルだからこそみせられる関係性の濃さだったり、そういうものを楽しんでいただけたらと思います。
あとタイトルの通り星空がテーマで、他の舞台にはない天井にスクリーンがあって、それも舞台の魅力のひとつかなと思うので、星空がどのように展開されるのかを楽しみに観ていただけたら嬉しいなと思っています。
▲天井のスクリーンをつかった星空の表現も魅力的な作品
ーー季節ごとのエンディングルートについて、それぞれ観て欲しい部分を教えてください。
糸川耀士郎(土萌羊役):春チームは月子(竹井未来望)と哉太(田中尚輝)と錫也(國島直希)が幼馴染で、僕も小さい頃月子に会ったことがあって、その幼馴染としての友情をすごく大切に描いているストーリーだと思います。
お芝居パートでは春組を中心に、そしてエンディングのダンスではカンパニー全体の絆を一番ハートフルに演出できているエンディングかなと思います。
長々と話しましたが、一番は糸川耀士郎に注目していただけたら嬉しいなと思います。
ツッコミ待ちのボケに対し、いち早く反応したのはさすが生徒会長不知火一樹役の杉江。
しかし、糸川が思っていたようなツッコミではなく「いよぉ〜〜!」と盛り立てられ、そういうのじゃないんだよなぁと困った笑顔を浮かべているのが印象的だった。
古谷大和(宮地龍之介役):夏組は特に部活というテーマがあるので、概ね誰もが通ってきたであろう青春ーー汗とか甘酸っぱいもののなかに恋とかが入っていて、そういうところが他の季節とは少し違ったりするのかなって。
そういうのを大切にして、2時間という物語の中で魅力を出せるといいな、と考えて稽古をしてきましたので、そういうところを楽しみにしていただければと思います。
長々と説明してきましたが…
と、糸川の流れを被せ、笑いを誘っていた。
丸山ナオ(水嶋郁役):秋は僕たちだけ先生チームということで大人のチームなので、大人の魅力とかエロさとかをダンスと芝居で魅せていけたらなと思っています。
秋チームはダンスも激しい振りになっていますので、ゲームにはない僕たちの激しいところもみてもらえればいいなと思います。
ここできれいに話をまとめたのだが、「長々としゃべってきましたが…?」とチャチャが入り再び笑いに包まれた。
高本学(青空颯斗役):まず冬組はどのチームより仲がいいなと思っております。
そして、冬のテーマとして家族愛のようなものを描いているので、そこらへんの親密な関係性を舞台のなかでみせていけたらと思っていて、本番ではみなさんの心がもっともっと温まるようなストーリーになればいいな、と思っています。
長々としゃべってきましたが、今後とも高本学をよろしくお願い致します。
と、しっかりネタを被せたものの、ここではなぜか杉江がツッコミを入れずスルーし、しっかり笑いを取っていた。
そして最後に、「カンパニーを代表してメッセージを」と榊原徹士がバトンを受け取った。
榊原徹士(神楽坂四季役):カンパニーを代表する人間ではないんですけど…(笑)
みなさんが言ったように春夏秋冬の4つの季節があって、それぞれのなかに存在する物語があります。
それと同時に、月子に対するそれぞれの愛情表現が全員違うので、ぜひそういうところを観ていただきたいです。
それと、僕たちはこの公演のなかで全力で青春をしていきたいと思っています。
それでは、長々としゃべりましたが、糸川耀士郎以外は全員注目していただきたいと思います(一同爆笑)
ーー先日七夕でしたが、なにか願い事はしましたか?
杉江:稽古終わりにみんなで神田明神にいきまして。
その模様がDVDに収録されますので、ぜひご購入いただければと!
よろしくお願いいたします!
ーー各チームの結束を高めるためにどんなことをしましたか? 稽古場エピソードについて教えてください
この質問にはあまり季節のチームごとで……といったエピソードが出てこなかった。
季節関係なく、ご飯などに行って親交を深めたとのこと。
また、季節ごとでそれぞれダンスが違うため、ダンスの練習を通じて仲良くなるきっかけが出来たそうだ。
▲OPとEDのダンスシーンにもぜひ注目を
以上、和やかな囲み会見の様子をお届けした。
7月10日(水)から15日(月)まで上演される「Starry☆Sky on STAGE」。
旬な俳優陣の演技を、これだけ間近で観られるチャンスはそうそうないのではないだろうか。
円形劇場ならではの演出も多く、とにかく通路によく降りる。
座席のブロックによって、まるで四季折々の季節を楽しむように少しずつ違った景色を観ることができるだろう。
ステージ上でたくさん光る星のなかから、ぜひあなただけのお気に入りの一等星を見つけてみて欲しい。
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