オリジナルCDコンテンツプロジェクト「東京カラーソニック!!」を原作とした舞台化シリーズ第2弾となる『東京カラーソニック!!』the Stage Vol.2が11月10日(金)に開幕した。
この「Vol.2」ではついにキングを決める「東京カラーソニック」本番が開催されるとあって、多くに「カラソニ」そして「ソニステ」ファンが開幕を待っていた。
2.5ジゲン!!では開幕前日に実施されたゲネプロの様子をレポート。囲み会見に登壇した全4ユニット、計8人のコメントを紹介しながら、本作の見どころを撮り下ろし写真とともにお届けする。
原作が持つバディ×音楽×青春に演劇を掛け合わせ、骨太な青春群像劇として上演された「Vol.1」。続編となる今作は、序盤からままならないことばかりが起こり、苦しい展開が続く。だからこそ、後半で待つ歌唱シーンでは改めて音楽の持つ力を実感できる。それはある種のカタルシスと言ってもいいのかもしれない。
▲和やかなシーンを担当するUnit.1と3
物語の舞台は、日本が音楽の自由を失いかけた近未来。政府が設立したカラーレーションが運営する色ノ葉音楽学院は年に1度、音楽の祭典「東京カラーソニック」を開催している。全国各地の校舎から選抜された8人は、ボーカル担当と作詞作曲担当でバディを組み、優勝の座を目指して楽曲制作にあたることになる。
前作「Vol.1」ではUnit.1と3にスポットがあたり、続く「Vol.2」ではUnit.2と4の物語が綴られていく。
「東京カラーソニック」に向けて、各ユニットが楽曲制作やPR活動に精を出すなか、まだ楽曲が完成していないUnit.2と4の行く手を、文部大臣・駿河(演:輝馬)の陰謀が阻み――。
▲幼馴染な天才コンビ・Unit.2の宝田伊織(演:山﨑晶吾)と加地春飛(演:高本学)
バディ間での衝突や成長からスケールアップし、この「Vol.2」は生徒たちが背負うには重すぎる大人の事情が介入してくる。物語自体は政府を巻き込んで大きく動くのだが、それでも「ソニステ」らしい熱くて繊細な会話劇が、きちんと作品の軸となっていたのが印象的だ。
会話劇が中心となっているからこそ、役者とキャラクターとの親和性やバディとの関係値、そして役者自身が持つ芝居への熱量がダイレクトに客席に伝わってくる。とくに今作は、前作よりもシリアスなシーンが多く、Unit.2の加地春飛(演:高本学)が抱える事情はあまりに過酷で、Unit.4の倉橋海吏(演:安井一真)の胸に秘めた過去はあまりに切ない。
彼らがそれを胸に抱えて、あるいはバディに打ち明けて、“自分たちのカラー”を生み出していく過程はまさに青春。バディ間で芝居が呼応してじっとりと温度があがっていく様子は、まるで一音一音つないで歌を乗せて完成する音楽のようでもある。
▲出会った頃は水と油だったUnit.4の高槻神楽(演:小波津亜廉)と倉橋海吏(演:安井一真)
すでにすべてを出し切ったのではないか? それほどの全身全霊の芝居は、2幕の「東京カラーソニック」本番の熱量へと伝播(でんぱ)していき、どのユニットも勝敗をつけるのがもったいないと思うほどの胸に届くパフォーマンスで魅せてくれる。
「昔から天才と言われてきた幼馴染の2人がいろんなドラマを経て、2人にまた新しい色ができるところを観ていただきたい」と囲み会見で語ったのはUnit.2のボーカル・宝田伊織役の山﨑晶吾。ニコニコとバディからの重めの感情を受け止める柔和さと、すべてを見透かしたような鋭さのコントラストが見事で、大会では祈るように歌う姿が印象に残っている。
そのバディ・加地春飛を演じる高本は「僕らがユニットとして成長していく姿、乗り越えていく姿を観ていただければ」とコメント。春飛は今回、とくにつらい立場に置かれてしまうのだが、彼の心にさまざまな思いが溢れていく様を好演。相棒・伊織とのシーンは2人の熱量に引き込まれて思わず涙がこぼれてきたので、手元にハンカチスタンバイをお忘れなく。
今作は「Unit.4の僕らが待ち望んでいたストーリー」で、楽しみにしていたという安井一真が演じる倉橋海吏は、作中屈指の変わり者。掴みどころのないように見える彼のなかにある大切なものが、バディとの関わり合いのなかで少しずつ形を変えていく姿は胸に染みる。鬼才と称されるにふさわしい歌声にも注目を。
「1番最後のシーンの時に、Unit.4がどういう顔をしているのかっていうところにぜひ注目してほしい」と語るのは、海吏のバディで学院理事長の息子・高槻神楽を演じる小波津亜廉だ。高貴で勝ち気な完璧主義者は果たしてバディに歩み寄ることができるのか。その経緯も本作での見どころとなっている。
重いストーリーのなかで、Unit.1と3のにぎやかな日常シーンはほっと一息させてくれる。
今作から参加となるUnit.1のボーカル・小宮山嵐役の武子直輝は「ずっと早く観せたいなという気持ちで、今1番いい状態のものをお届けできるのではないかとワクワクしています」と囲み会見で笑顔を見せてくれた。「誰が観ても楽しめる作品になっていると思います」と語る霧島宙役の北川尚弥とのバディ感もばっちりで、大会のトップバッターとして会場を沸かせた。
▲初参加となった小宮山嵐役の武子直輝
Unit.3のボーカル・瀬文永久役の北村健人は、「舞台の中では出会ってからこの大会までが約半年間という時間軸なんですけれども、僕らは今年の2月にvol.1を上演して、そこから大体半年ぐらいの期間で、vol.2をやらせていただきます。なのでどこか原作とシンクロしているような感覚」があると言い、大会が終わる寂しさと楽しみな気持ちをがあるとのこと。
▲瀬文永久(演:北村健人)が歌いながら財前未來(演:樋口裕太)に視線を送る瞬間は必見
繊細な芝居で魅せる北村の瀬文永久と、空気を明るく染める樋口裕太が演じる財前未來の関係性は微笑ましく、ずっと眺めていたくなるような可愛らしい雰囲気が魅力。そんな樋口は会見でも「今回この作品が盛り上がれば、もしかしたらvol.3もあるかもしれないので! 僕たちも頑張って最高のエンターテインメントを届けられたらなと思っています!」と会見を盛り上げていた。
青春群像劇にプラスして、人間ドラマとしての深みを与えているのが、教師陣をはじめとした大人たちの存在だろう。特別教官にして天才音楽クリエイターの田所雪也役を松村龍之介、お人好しな新米教師・芦野涼真役の阿部快征は、前作に引き続き安定感抜群。彼らが生徒たちにかける言葉から、観客が学べることも少なくないだろう。
▲生徒を導く田所雪也(演:松村龍之介)と芦野涼真役(演:阿部快征)
そして今作、新キャラクターとして登場するのが、輝馬演じる文部大臣・駿河冬一だ。芯から冷え切ったような瞳が恐ろしく、輝馬の芝居によって駿河という男の底知れなさを思い知らされた。ビシッとスーツを着こなしたビジュアルの強さも相まって、絶対的権力者としての存在感を放つ姿は必見だ。
▲なにやら画策する駿河冬一(演:輝馬)
ゲネプロ前に実施された囲み会見で、武子はカンパニーの仲のよさに触れたうえで「お互いに相手に対して大きな信頼があるからこそ、その強い絆を芝居に向けたときに相乗効果として、この「東京カラーソニック」に色が塗られていくんだなと思いました」と語っていた。
その言葉通り、バディ間での絆が強くなる度に、青春のひと言では表現できないユニットごとの色が鮮やかに浮かび上がっていく作品に仕上がっていた。作中で描かれる「東京カラーソニック」開催によって、「Vol.1」から続く絆の物語に1つの区切りがつくことになるが、彼らの色は何色に観えるのか。ぜひ劇場で彼らの芝居を浴びて、自分なりの答え合わせをしてみてはどうだろうか。
▲囲み会見の様子
『東京カラーソニック!!』the Stage Vol.2は11月10日(金)~11月19日(日)まで、東京・天王洲 銀河劇場にて上演される。来場者限定イベントや日替わり配布のバディステッカーといったお楽しみも多数用意されているので、ぜひ公式HPでチェックしてから劇場に足を運んでみてほしい。
取材・文・撮影:双海しお
公演情報
タイトル
『東京カラーソニック!!』theStageVol.2
原作
「東京カラーソニック!!」(eternalvoyage)
スタッフ
脚本:伊勢直弘、東妻リョウ
演出:伊勢直弘
音楽:楠瀬拓哉
技術監督:寅川英司
舞台監督:田中翼
美術:乘峯雅寛
照明:田中徹
音響:ヨシモトシンヤ
衣裳:中西永人
ヘアメイク:城本麻紀
歌唱指導:カサノボー晃
振付:相原えみり
演出助手:たはらひろや
宣伝美術:岡垣吏紗
宣伝写真:中村理生
制作進行:杉田智彦
出演
小宮山 嵐役:武子直輝
霧島 宙役:北川尚弥
宝田伊織役:山﨑晶吾
加地春飛役:高本 学
瀬文永久役:北村健人
財前未來役:樋口裕太
倉橋海吏役:安井一真
高槻神楽役:小波津亜廉
田所雪也役:松村龍之介
芦野涼真役:阿部快征
駿河冬一役:輝馬
アンサンブル:桑畑亨成、遠田翔平、藤宮あさひ、吉野斗規
主催
『東京カラーソニック!!』theStage製作委員会
日程・劇場
11月10日(金)~19日(日)
東京・天王洲銀河劇場
公式HP
https://www.marv.jp/special/stage-tcs/
公式Twitter
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