劇団『ドラマティカ』ACT1／西遊記悠久奇譚・ACT2／Phantom and Invisible Resonance 舞台挨拶付き上映会が、9月24日（日）に東京・ユナイテッド・シネマとしまえんにて開催され、公式レポートが到着した。
公式レポート
本イベントは劇団『ドラマティカ』ACT3／カラ降るワンダフル！の上演を記念し、過去に上演されたシリーズ2作品を映画館の大スクリーンで上映するというもの。合間に行われた2回の舞台挨拶には、ゲストに山本一慶（氷鷹北斗役）と松田岳（乱 凪砂役）が登壇した。
「ACT1／西遊記悠久奇譚」の上映後、1回目の舞台挨拶がスタートした。2人は現在行われている「ACT3／カラ降るワンダフル！」の稽古の合間に駆けつけたということで、稽古はまだ始まったばかりだが順調に進んでいると伝えた。
約2年前に上演された「ACT1」では、山本が「悟空／氷鷹北斗」を、松田が「玉龍・牛魔王／乱 凪砂」を演じた。その頃の二人の出会いを振り返った山本は、「周りの人に「（松田は）どんな人なの?」と聞いたら、「変な人だよ」と言われてドキドキした」と明かす。それに対し松田は「（自分にとって山本が）こんなに物真似したくなる人は初めてだった」と答え、当時最初に挨拶した時の山本の物真似を実際に披露、観客の笑いを誘った。
「ACT1」は原作のスマートフォン向けアプリ『あんさんぶるスターズ!!』には無いオリジナルストーリーだったが、山本は「（話を受けて）単純に嬉しく、これまでとは異なるアプローチで『あんスタ!!』の世界を広げられることが光栄だった。キャラクターの新しい魅力を見せていきたいと気合が入った」と話す。松田は「『ドラマティカ』が『あんスタ!!』の舞台作品として初めての出演だったため、とにかく頑張るしかなかった」という。しかも凪砂は何でもできる人なので、知れば知るほど「頑張るしか無い」と考えていたそうだ。だが「壁にぶつかると周りの皆がサポートしてくれたり、一慶くんが支えてくれた」と、当時を振り返って感謝を述べた。
その話がきっかけで、山本も『あんステ』初演の思い出を振り返った。当時もかなり試行錯誤したそうだが、舞台が終わって原作元と挨拶した際、とても感謝されて感激したという。ところが「原作とは少し違ったけど」と言う言葉もあったそうで、「これはどうなんだろう!?」と戸惑ったと明かして会場に笑いが起こった。だが、結果として“新たな北斗”を生み出せたのは良かったと思うと笑顔を見せた。話はまた「ACT1」の思い出に戻り、「役者自身がアイドル（キャラクター）を演じ、そのアイドルがさらに舞台上の役を演じる」という、シリーズの特徴とも言えるテーマに。
山本は、「アイドル達が役をどう演じるべきか関係者一同で悩んだが、北斗なら全力でやるはずだ」と、とにかく頑張って悟空を演じたと振り返った。松田は、「周りのみんながとにかくすごかった。近くで見ると滝のように汗をかいていた」と仲間を称え、山本演じる悟空が如意棒を掲げながら満面の笑みでジャンプしたシーンなどを再現しつつ、とにかく楽しい思い出ばかりで「自分が「西遊記」の世界にいるのが嬉しかった」と語った。ちなみに山本曰く、稽古場ではもっとたくさんの殺陣があり、金角と銀角は本番の2倍以上は入れ替わっていたそうだ。一幕が終わるとマスクの中がびっしょりになるくらい汗だくでぐったりするくらいだったとのこと。カットされたアクションもあり、観客にも観せたかったと明かしてくれた。
また、『あんステ』と『ドラマティカ』の違いについて山本は、「演じる側もそうだが、観る側にとっても楽しく、普段見られないキャラクターの魅力があったと思う」と言う。そしてあらためて「ACT1」については、「一瞬でも（役を演じている）アイドルが見えるよう演じたので、「北斗が悟空を演じている」と感じてもらえたら嬉しい」と話す。そして松田は「（「ACT1」は）自分にとって始まりの作品なので思い入れも深い。『ドラマティカ』は可能性に満ちた作品だが、原作の持つ魅力がそうさせている」と、この舞台にしかない魅力を演じる責任感と喜びを感じているという、作品への想いを聞かせてくれた。「ACT2／Phantom and Invisible Resonance」の上映前、この日2回目の舞台挨拶があった。ここでは松田が帽子と丸メガネ姿で登場、自身が演じたギィ・フェルディナンド風の話し方でファンを喜ばせる。二人は登場するやいなや「ACT2」で話題となった日替わりネタの「ta-ta チャレンジ」について大いに盛り上がり、笠舞歩を演じた山本が「まだ役として演技もしていないのに、舞台に出てきて日替わりネタをする舞台なんてほかにはない！」と言い、客席に笑いが起こった。
「ACT2」は完全オリジナルストーリーで構成された作品だったが、山本は「『ACT2』は登場人物が出会いから信頼を結んでいく話でありつつ、“エピソードゼロ”のような感覚。観終わったあとに「このあとはどうなるんだろう?」と、いろいろ思いを巡らしたり想像が膨らむ物語だった」と語る。すると松田は作品名が難しかったことに触れ、ビジュアル撮影時に収録した宣伝映像で、多くの役者陣がタイトルを噛んでいたエピソードを明かした。そんな難しいタイトルでありながら、自身が演じた役柄はハッピーな雰囲気だったので、楽しく演じさせてもらったと話した。
シリアスかつハードボイルドな側面のあった「ACT2」について、松田が山本に「一慶くんの役作りはぜひ聞いてみたい！」と振る。山本は物語の核心に触れないよう気遣いつつ、「一幕（の歩）は“北斗が演じるキャラクター”で、北斗の思考が強い」とし、物語後半については「北斗が『わからない』って言うから、役者である自分の味を足した」と答えた。それを聞いた松田は「一慶くんのことでどうしても伝えたいことがある」と、「このポーズ（屈んだ状態から翼を広げるように身を起こす）だけ覚えてください！」と再現し、客席から大きな拍手と笑いが沸き起こった。
そして、自身が演じたギィについては「シリアスな展開が多いので、観ている人にとっての癒やしや面白さのあるキャラクターになれば」と考えていたそうだ。しかし、脚本・演出の伊勢直弘氏からは「自分の思っていたギィと全然違った！」と驚かれたと言う。すると山本は松田に対し、「ACT1」で「意表をつくの禁止」と言われていたことを明かし、再び大きな笑いが起こった。
そんな「ACT2」もまた、上演当時は役者どうしで仲良くなり、お互いに舞台での芝居を真似したりしたそうだ。見どころとしては音楽や衣装がスタイリッシュで格好いいところのほか、松田曰くカーテンコールの登場の仕方も緊迫した本編とは対照的で感動するとのこと。さらに、ギィがカクテルを作るシーンは実際の手順であることと、カクテル言葉には意味が込められているのでぜひ調べてみてほしいと伝えてくれた。
そして、北斗と凪砂は二人にとってどういう存在か？ という質問に対して、山本は北斗を「長く演じてきたから、舞台上にいるほうが落ち着くような相手。『Trickstar』のわちゃわちゃした雰囲気も含め、楽しくて居心地が良い。リラックスして北斗としていられる」と答えた。一方の松田は、凪砂を「自分に無いものをたくさん持っている人。彼に引っ張ってもらっていろんな景色を見られた。完璧に見えるが変化もしていて、自分の人生にも重なった」と話した。
舞台挨拶の最後は、1回目・2回目ともに、ファンに向けてのメッセージが寄せられた。
松田岳（乱 凪砂役）：「ありがたいことに「ACT3」も上演できることになり、反応も良く嬉しく思っています。これまでとは違う世界観でどんな“ワンダフル”な体験ができるのか楽しみにしてください。また、ひとつ言えるのは『ドラマティカ』は同じチャレンジをしないんだなということです。そんな「ACT3」を想像しながら、これまでの作品も楽しんでもらえたら嬉しいです」
山本一慶（氷鷹北斗役）：「いま準備している「ACT3」は、「ACT1」「ACT2」とキャラクターが役を演じてきた表現を別のアプローチから狙っている作品かと思います。僕たちは作品を通じて皆さんを笑顔にしたいという想いを持って毎日稽古しています。「ACT1」から始まった『ドラマティカ』の新しい歴史になるんじゃないかと思いますし、先ほど話した“僕と北斗が持っているものをミックスした”ように、みんなもそれぞれそういう試みをすることが多くなって、新たな魅力が生まれるんじゃないかと期待しています。ぜひ、楽しみにしていてください」
劇団『ドラマティカ』ACT3／カラ降るワンダフル！のチケットは、現在一般販売中。
取材・文：玉尾たまお
（C）ENSEMBLE SQUARE／劇団『ドラマティカ』製作委員会
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