GEKIIKE本公演第12回『漆黒ノ戰花−再演−』がが6月1日(木)に東京・新宿村LIVEで開幕し、ゲネプロレポートが到着した。
スタービートエンターテイメントLLCが主宰する演劇集団・GEKIIKE。これまでに『月光仮面』の原作60周年を記念した『光芒のマスカレード-月光仮面異聞-』をはじめ、数々のエンターテインメント作品を世に送り出している。
そんなGEKIIKEが2018年に上演したアクションファンタジー『漆黒ノ戰花』を再演。「演劇をするイケメン」の略かと思いきや、元々は事務所が池袋にあったことに由来する“劇団池袋”の略だというGEKIIKEだが、そう勘違いしてしまうのも無理はないほど、今作にも今話題のイケメンキャストが揃った。
物語の舞台は2048年、第三次世界大戦に敗戦した後の日本。都道府県という概念がなくなり、人々は方角と番号で管理された区に分かれ、必死に今を生きていた。
ある日、西北西93区――旧埼玉県秩父市中津川周辺の地域に、南南東75区、いわゆる都会から1人の男が転居してくる。彼の名は御影千明(演:日向野祥)。右足が不自由なのか、杖をつき、どこか退廃的な雰囲気をまとった男だ。しかし、日向野の優しい眼差しと落ち着いた声色が魅力的で、初対面でもどこか信頼できる男という印象が残る。
炭鉱として栄える西北西93区に住む浅見良彦(演:坂下陽春)、浅見千早(演:堀田竜成)、新井直人(演:上地大星)は彼を快く受け入れ、特に区外の地域に興味津々の千早と直人は、外から来た御影にも強い関心を示す。堀田と上地の息の合ったやり取りはこの舞台の中の貴重な癒しだと感じた。そんな彼らを黒沢正芳(演:平田裕一郎)が優しく見守る。
一方で、国防軍の中では混乱が起きていた。軍の施設内にいた謎の3人組が暴動を起こし、脱走したのだ。
VAN(演:フクシノブキ)、ZANY(演:久野木貴士)、SILLY(演:海老澤健次)と互いを呼び合う彼らには普通の銃弾は通じず、まさに“無敵”。
彼らの存在にいち早く感づいていた灰崎蓮(演:樋口夢祈)だったが、SILLYの攻撃により重傷を負い、灰崎の部下である生駒紫音(演:服部武雄)、須磨健(演:掛川僚太)、二階堂隼人(演:坂本和基)にも衝撃と危機感が走る。
3人の正体は“バイオロイド”。先の大戦の敗退を軍の責任とした国民と軍との間で争いに投入された、人の形をした大量破壊兵器だった。
フクシ、久野木、海老澤のまさに“人間離れ”したビジュアルが際立ち、だがしかし小学生程度の知識を持つ彼らの会話にはどこか“人間味”もある。恐ろしい存在はずなのに、無垢で素直――そんな彼らの存在が今作のキーとなっている。
軍本部をまとめる城戸大河(演:鷲尾昇)は“バイオロイド”の暴走に対し、箝口令(かんこうれい)を出し、その存在を秘匿。城戸の忠実な部下・神永伊織(演:松村優)、沖春人(演:染矢凌佑)らもそれに従う。十分な情報を与えられない灰崎、生駒らが自ら行動を起こそうとする中、須磨は軍を退役した“ある人物”に想いを馳せるのだった……。
新宿村LIVEの客席最前列は「XA席」となり、舞台からの距離はほぼゼロ。あえて足音が響くセットが組まれ、アクションシーンの臨場感は迫力満点だ。キャラクターが立てる物音1つにも、その性格がにじみ出る。さらに本公演は東京公演の後、沖縄県・石垣島でも公演が行われ、地元の店舗や特産品とのコラボや協力も取り付けている。コロナ禍で忘れかけていたエンターテインメントの本質を、日本全国に届けようという気概を感じる取り組みだ。
「必要だから作ったんだよな?……必要じゃなくなったってこと?」それぞれの登場人物が自ら選びとった未来、そして人間のエゴで生み出された“バイオロイド”たちの行く末とは――? ぜひその目で見届けてほしい。
公演は6月5日(月)まで東京・新宿村LIVE、6月16日(金)~18日(日)に沖縄・石垣市民会館 中ホールで行われる。
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