舞台「漫才ギャング -リローデッド-」のゲネプロと囲み取材が5月3日（水・祝）に東京・博品館劇場で行われた。
物語は、相方の石井（演：児玉智洋）にコンビ解散を言い渡された漫才師・黒沢飛夫（演：馬場良馬）がひょんなことからツッコミの才能を持つ元ギャング・鬼塚龍平（演：菅田琳寧）と出会うことから始まる。馬場はお笑いへの情熱を全身で表現し、龍平にはもちろん観客にも「漫才っておもしろい」と思わせてくれる。必死なまでの漫才への想いに惹きつけられ、自然と応援したくなる主人公を演じている。
もう1人の主人公を演じる菅田は、漫才の楽しさを知って柔和になっていく龍平の変化、ヤンキー感とまっすぐでピュアな一面のギャップを魅力的に見せる。漫才以外のシーンも掛け合いのテンポが心地良い。お互いをリスペクトし合い、ひたむきに笑いに取り組む姿勢を見ているうちに、すっかり彼らのファンになってしまう。
そんな2人を応援する龍平の妹・千波（演：夏目愛海）、友人・トラキチ（演：木村優良）やマヤ（演：富田麻帆）との和気あいあいとしたやり取りも微笑ましい。飛夫を厳しくもあたたかく見守る横山マネージャー（演：もりももこ）、借金取りの金井（演：宮下雄也）と河原（演：坂田聡）といった人々もインパクト大。飛夫と龍平の化学反応が周囲を変えていく様子が眩しい。龍平の前に立ちはだかるスカルキッズの佐山（演：碕理人）と城川（演：大崎捺希）は、シリアスなシーンを担いながら笑いもしっかり取っている。1人ひとりが原作に負けず劣らずの魅力と個性を放っており、舞台版ならではのストーリーに引き込まれた。
囲み取材には演出のマギー、W主演を務める馬場良馬と菅田琳寧が登壇。開幕を迎えるにあたっての気持ちを尋ねられると、馬場は「舞台は全部そうですが、この作品はお客さまの笑い声があって完成するんだろうと感じます。明日から、お客さまのレスポンスや笑い声が組み合わさってどんな作品に育つのか楽しみです」と意気込み、菅田も「お客さんの笑い声が僕らとのコミュニケーションだと思います。楽しんでいきたいです」と頷く。
今回は“リローデッド”というタイトルの通り、飛夫と龍平の関係性やお笑いへの情熱はそのままに舞台オリジナルの新たな物語が紡がれている。原作の品川からは「（岩崎）う大が脚本、マギーが演出なら自由にやってくれ」という言葉があったということで、新たな解釈や要素を取り入れつつ、舞台だからこその熱や汗といったエモさにこだわったとマギーは語る。
また、マギーは本作を“普遍的なラブストーリー”と話し、「漫才師の方がよく相方との関係は彼氏と彼女のようなものだと言いますが、漫才師じゃない僕としてはそういうものにどこか憧れもある。ある一夏の恋のような読後感があったらいいなと。1番の売りは若者たちのエモさと僕が選んだ音楽のエモさ、エモ演出です！」と自信を覗かせた。
そんな“エモい”関係性の2人を演じる馬場と菅田は、本編だけでなく会見でも息ぴったり。菅田が「初共演ですし歳も干支一回りくらい離れてるんですけど……」と話しだすと、すかさず馬場が「歳はいいでしょ！」とつっこんだり、菅田の「10年くらい芸歴があるコンビっぽさが出せてると思います」という言葉に馬場が「ハードル上がったね」と苦笑したりと、漫才のようなやり取りが繰り広げられる。
馬場は「マギーさんがすごく丁寧に演出してくださって、漫才も普通の会話もネタ合わせをしているようで楽しかったです。細い糸のようなものを2人で積み重ねてオチに向かう大切さを知りました」としみじみ語った。
2人のコンビについて、マギーは「組んだばかりの漫才師という設定なので、あんまりうまくなりすぎても困るけど、漫才に出会った龍平の熱、漫才をしているときの飛夫の夢中さ、漫才の楽しさや幸せが伝わるように演出しました。繰り返しになるけど、そのエモさが伝われば」と強調する。
また、注目ポイントとして、馬場は「運命的に出会う2人の青春感ですね。この年齢だからかもしれないけど、懐かしさも感じます。琳寧くんから毎回違うものをもらうので、作品を通してまた青春できてると思う」と笑顔を見せ、菅田は「最初はツッコミも見よう見まねでやっていた龍平が漫才師として少しずつ成長していく過程を楽しみに見ていただけたらうれしいです」と語り、マギーから「見どころは筋肉じゃないんだ？」と聞かれると「龍平になるために肩のトレーニングは結構しましたね」とアピール。馬場からも「鍛えるためにずっとぶら下がってたよね」と言われ、「筋肉です（笑）！」とまとめていた。
最後に意気込みを聞かれ、菅田が「W主演ということで2つの楽しみ方があると思います。自分は龍平を演じているので、飛夫を見ていてすごく泣ける。でも龍平に注目するとまた違う気持ちで楽しめると思うので、1回は飛夫、次は龍平目線で観てもらえるとうれしいです」と話すと、マギーも「（龍平の）妹の千波目線もあるし、誰に感情移入するかで変わるよね」と頷く。馬場は「個性的なキャラクターたちが精一杯生きている姿を描いています。その一生懸命な姿が皆さんの心に響けばいいなと思いますし、辛いことや悩みがある人がこの作品を見て、悩んでいるのを馬鹿馬鹿しく思ってくれたらいいなと。たくさん笑っていただけたらうれしいです」と締め括った。
本作は、品川ヒロシによる小説作品「漫才ギャング」の舞台化。
公演は5月21日（日）まで東京・博品館劇場、6月2日（金）～6月4日（日）に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TT ホールで行われる。
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