映画『ヒットマン・ロイヤー』の公開記念舞台挨拶が4月22日(土)に東京・シネマート新宿で行われ、オフィシャルレポートが到着した。
エンドロールが終わると客席からは拍手がわき起こる。本作で主演を務め、人気舞台に多数出演する荒木宏文は映画と舞台との違いを問われ「映像で苦労したところは、舞台とは大きく異なるところですが、稽古期間がないところです。カメラの前で演出の段取りを確認し、テストの後すぐに本番。圧倒的に回数が少ないので、自分で台本を読みながら事前に準備しなければならないし、それをすぐに披露しなければいけない。その瞬発力の使い方が大きく違いますね」と映像作品での苦労を明かす。
また、映画と舞台との切り替えについては共演した陳内将の方が得意だったという。「陳内の場合は覚えるのが早く、僕は舞台に慣れてしまっていることもあり、回数を重ねて馴染んでいきたいタイプなんです。ただ、逆に映画に出るときはとても刺激的ですし、自分が慣れていないからこそ、常にチャレンジ精神を持つ。そこが慣れてない現場に参加したときの自分の魅力かなと思います」と語る。
本作で久しぶりに荒木と共演したという陳内将は「久しぶりといっても1年ぶりくらいで、映像作品、ドラマで共演させてもらって、そのときは刑事役で上司と部下の間柄だったんですけれども、今回は役柄がガラッと変わって、今までより1番近い距離感で演じられたのかなというのは、僕の勝手な印象です」と振り返る。「まず“坊っちゃん”と呼べないですからね。普段は荒木さんのことを」と普段は“荒木さん”、“陳内”と呼び合うという事務所の先輩でもある荒木に対して作中で“坊っちゃん”と呼ぶ新鮮さについて語ると場内が沸き立つ。
そして、本作で荒木と日本刀を用いてのバトルシーンを演じた高橋健介は殺陣で苦労したことについて問われ「僕はあまり殺陣が得意ではないのですが、半グレ集団が日本刀の戦い方を学ぶのかという話になり、伝説の殺し屋の血を引く荒木さんとは違う、持っているのは日本刀ですがバットのような感覚でやらせていただきました。果たしてそれが良かったのかどうか分かりませんが、考え方によってはきちんと洗練された半グレ集団のリーダーの可能性もありますね。そういうところは苦労しましたが、1対1のシーンの前に荒木さんとも打ち合わせさせていただきまして、『全然大丈夫だよ』と言っていただき、撮影はとてもやりやすかったです」という。また、寒い時期の撮影だったこともあり体が動かなかったと、アクションシーンの苦労について振り返った。
大野大輔監督はアクション映画である本作の撮影にあたり参考にしたヒーロー像を問われ「ダークヒーローということで、作品もスカッと楽しんでいただけるような娯楽作にしたく、結構デフォルメチックにしたいと思っていました。そこでその旨を荒木さんをはじめとした役者の皆さまに事前にお伝えし、そういうキャラクターを作りたいなとは思っていました」と語る。また、年齢を聞かれた大野監督が34歳だというと、高橋健介から年上の荒木と陳内への演出について「やりづらくなかったですか?」と問うと、即座に荒木から「その導き方はないだろ!」とツッコまれ、場内が沸き立った。
改めて、出演陣に印象に残ったシーンについて尋ねると、荒木は剣舞を披露するシーンが印象的だったという。「ジュラ刀といって金属でできている刀で剣舞をするのですが、これが重いんです。舞台では殺陣を竹光と呼ばれる竹に銀の張り紙をして光らせたもので行うんですが、金属の場合は軽やかに刀を振って見せなければならないシーンと相性が悪い。遠心力で持っていかれてしまうのでとても苦労しました」と振り返る。
続いて高橋は本作で登場する緑色のスポーツカーが気になったという。「あの冒頭に出てきた車は誰のですか? 僕がプロデューサーだったらあの車は相当お金がかかるので借りてこれないな」と尋ね、日本で数台しかないスポーツカーを制作会社のツテで借りてきたと聞き、納得した様子。
また陳内は荒木との1対1のシーンについて振り返る。「商店街をずっと歩く長回しのシーンがありまして、本当に映画あるあるなんですけど、そういうシーンに限ってチャイムが鳴ってしまったり、救急車が通ったり、通行人が路地から出てきて、その度に撮影が止まってしまって」と苦労について語る。そこで再び荒木が陳内のセリフ覚えの良さを褒め、長回しでも陳内がスムーズに間違えずに進んでいくため、間違えられないという緊張感があったという。
最後に荒木が、「ご鑑賞ありがとうございました。僕が映像作品ですごく意識している部分で言うと、普段の舞台に比べると、映画は見やすい環境にあると思うんですね。だからこそ気構えずに楽に観てもらえるというのが、映像の1つの魅力になるんじゃないかなと思っています。今回は大人向けの荒唐無稽なヒーロー作品ですが、楽しく観てもらえるように、シンプルなテーマを表現できるといいなと心がけ、この作品に挑みました。楽しんでいただけますと幸いです」と映画を観終えたばかりの観客に語り、温かい拍手の中で舞台挨拶は幕を閉じた。
(C)「ヒットマン・ロイヤー」製作委員会
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