青春舞台『1518!イチゴーイチハチ!』2023製作発表会が3月19日(日)に開催された。
本作は、2021年2月に舞台化された、青春舞台『1518!イチゴーイチハチ!』の続編。
烏谷公志朗役の辻本達規(BOYS AND MEN)、丸山幸役の菊池愛、亘環役の尾花貴絵、山崎克己役の内海大輔、そして丸山稔幸役と演出を務める佐野瑞樹を迎えて製作発表会が行われた。丸山幸役の菊池愛と烏谷公志朗役の辻本達規は初演に引き続き同役を演じる。また初演で佐野先生と公志朗の父を演じた佐野瑞樹が丸山稔幸役と演出を担う。
辻本達規 コメント
初演に引き続き、烏谷公志朗を演じます。このお話をいただいたとき、この烏谷公志朗という役が、僕の人生にぴったり当てはまって、実際にやりたいと思い、しかも主役、緊張もありましたが、コロナ禍の中で開幕、でもやり通したというのは、すごく自信にもなりました。今回はこれを超えるように、新たなキャストで楽しみな…一丸となって青春舞台『1518!イチゴーイチハチ!』2023 、しっかり作り上げたいと思っています。
菊池愛 コメント
初演に出て、作品がより大好きになりまして、また、こうして出会えたことでうれしく思います。今までよりももっと、1ステップ、2ステップ、どんどんステップアップしてより良いまるちゃんになるように頑張りたい。
尾花貴絵 コメント
今回、初参加です。私に務まるのだろか、という不安があったのですが、お話をおうかがいし、ワクワクさせられました。
内海大輔 コメント
僕は個人的には、11年ぶりぐらいに共演させていただきます(と佐野瑞樹を見る)、すっかり忘れられているんじゃないかと(笑)。(「今、思い出したよ」と佐野瑞樹)その時は2本目の舞台だったので、当時より成長した姿を見せられたら。あと野球は、WBCもあってちょうど野球、今回参加できてれしいです、頑張ります。
佐野瑞樹 コメント
今回、演出と丸山幸のおじいちゃん役をさせていただきます。前回は烏谷公志朗の父親、今度は幸ちゃんのおじいちゃん、加速度的に年齢を重ねています(笑)。前回の1番の思い出は、とにかく辻本君が元気で、稽古場の温かさ、彼が皆を盛り上げて活気があって、それがすごく印象的。ある日、彼が稽古場にいないときがあって、お通夜みたいにシーンと(笑)。あれ、なんかあったの? みたいな…『辻本いないとこうなるのかーー』みんなを盛り上げて強く引っ張ってくれる、そんな彼が大好きで。今回、演出もしますが、もう活気のある稽古場で、微笑ましかった。若い子が一生懸命頑張る、過去の自分を思い出してもう1回、頑張る、みたいな気持ちになる、今回もそういう雰囲気を作ってみんなで盛り上がっていけたらいいなと思います。
続いて、物語が高校生活を描いているということで、キャストの高校時代のエピソードや作品とリンクするところなどについての質問に。
佐野は笑いながら「僕は記憶が遠すぎて(笑)、30ン年前…記憶がない、ギリギリに登校してまっさきに帰る、というのをモットーに生活していました(笑)。この作品、原作を読ませていただきましたが、こういう高校時代を送ればよかったな、という思いはすごくあります。楽しい高校生活が送れなかった、ここにきて高校生の楽しい学園生活を擬似体験させていただけたら、いいなと。このメンバーだったら楽しい稽古ができると思っています。高校生の思い出は残っていません(笑)」とここで一気に場が和んだ。
内海も「僕もギリギリに登校してまっさきに帰っていた」と帰宅部2人目。周囲から笑いが起こった。「生徒会、擬似体験できたらなと。中学校のときはサッカーやっていて」と言い、なんとセレッソ大阪のジュニアユース! ここで周囲から「おおおお~」と感嘆の声。「どこの誰だか知らないお母さんとかも声かけてくれた」と語る。「中学3年生のときに思いっきり足首をけがしまして、しばらくプツッと。遅れとったっていうこともあって高校は近くの学校に行って、でも先輩とかは知っていて勧誘されるんですが、一切やらなかった、挫折した感じです。ここが作品とリンクするところ…(「めちゃリンクしてるじゃん」と周囲から)そこで熱くなるものもなく、芸能界に。学校には最低限行って」とコメントし、思わぬエピソードが披露された。
尾花は「私も、野球ではないのですが…結構挫折したりとか、あとは性格的にも活発で、文化祭とかの実行委員長をやったりとか、リーダーシップ取るのが好きだったので、こういう性格のところが似てるなというのをすごく感じました」とコメント。
菊池は「入った高校は体育祭とか、スポーツの部活を応援する部活としての応援団があって、体育祭の前は、応援団が主導して、全校生徒を体育館に集めて応援します! って感じでやってました。『1518!イチゴーイチハチ!』で応援するシーン、リーダーシップをとってやるシーンがあるんですけど、それと、勝負魂、私の高校も1年生全員で応援、『チーム○○(学校の名前)生になった』っていう団結感。そういうマインドは勝負魂に通じるものがあります。そういう熱く楽しかったことを持って、今回頑張りたいと思います」と語った。
辻本は「僕は作品とちゃんとリンクしていて、子どもの頃は野球ばかりやっていた」と語る。まさに演じる主人公も野球を頑張った過去を持っている。「中学、高校も野球部に入って、練習しすぎて僕も肩を…野球ができなくなっても諦めきれずに、名門校に入ってもけがが治らず、挫折を味わいました。作品にもありますが、スタンドから応援する、みたいな。同級生が甲子園に出て…本当に悔しい気持ちをリアルに経験しました。烏谷公志朗を演じるに当たって自分自身の実体験、そこを重ねながらこの作品を作って、ちゃんと演じることができたら」と語った。
キャストはこの製作発表会では舞台衣装を着用、半袖、つまり描かれている季節は夏。公演も初日はちょうど夏至(6月21日)。
そこで夏の思い出は? という質問が出た。
佐野が「すごい思い出があります。高校3年生の夏に光GENJIのコンサートに出ました」周囲から「おおお~」ちなみにローラースケートは履いてなかったそう。「今、やれますか?」と他のキャストから質問、佐野は即座に「無理でしょう!」と笑いをとった。
記者からの質問。続投キャストに初演を経て生かせる部分は? との質問。また演出に活かせるところは? と演出家への質問。
佐野は「まず、僕よりもキャストの方々の方が感性が豊か、高校生時代に近い人たちですし。『1518!イチゴーイチハチ!』ってすごい繊細な日々、学生たちのささいな気持ち、劣等感や喜怒哀楽、どうしたらお客さまに伝わるか、キャストたちから出てくる、気持ち、これを出すことが1番いいんじゃないかなと思いまして。構成や枠組みは僕がしっかり作っていきますが、セリフのやり取り、リアクションは中から出てくるものを僕が拾い上げる。(カンパニーの)チームワークみたいなものを舞台にしっかり上げていければ、前回を超えられるんじゃないかなと」と語る。
菊池も「チームワーク、生かせる、辻本さんが中心となってくださったっていうのもありますが、今回もチームワークが大事だなと実感しました。作品も高校生の話、作っていく中で話し合ったりもしましたが、アットホームな感じになってすごく絆が生まれていたので、今回も意識しなくても生まれてくると思います」と語る。
「主人公もそうですが、みんな成長している、前回とキャストは違えど、気持ちはしっかりと、そこは生かしながらつなげていきたい…どう盛り上げていくかは考えているので前回よりいいスタートが切れると思います。稽古でどれだけ打ち解けられるのか、それを短い期間ですが、最初から作っていきたい」と辻本。
また、「ここを観てほしい」ポイントについての質問に.
尾花は「誰でも青春時代があるので、自分自身の青春時代を振り返ったり、思い出したり、そういう時間になったらおもしろいんじゃないかなと思います」とコメント。
最後に辻本より「生でしか伝わらないもの、このメンバーでしかできないことがかならずある。繊細な物語ではありますが、全力で皆さんにお伝えしたいと思います。原作は題材としては“王道”ではないかもしれません。だからこそ感じる細かい感情の揺れ青春時代ならではの繊細な表現があります。そこをみんなで突き詰めて、皆さんの心が動くように、青春を思いださせてくれるような舞台をみんなで作っていきたいと思います。よろしくお願いいたします」と締めて製作発表会は終了した。
なお、出演者の登壇前にプロデューサーの片岡義朗から、この舞台化にいたった経緯の説明があった。
原作の相田先生は、オタク界隈では有名な『GUN SLINGER GIRL』というヒット作を描かれました。私はこれをアニメ化しまして、この作品は今の常識からしますと、エロとグロとバイオレンス、一線を超えたら世間的に際どい漫画を描かれていましたが、そうではない、ごく普通の漫画を描きたいと思われて描いたのではないかと思うのが、『1518!イチゴーイチハチ!』です。
『週刊ビッグコミックスピリッツ』で連載され、全7巻、15歳から18歳までの物語。高校1~3年生までの普通の高校生活を描いた漫画で生徒会活動が出てくる。生徒会活動を始めるにいたった主人公の烏谷公志郎はリトルリーグで活躍していて将来は甲子園間違いない、とまで言われた選手、ところがけがをして何の希望もない、あてもなく、高校に入学し、悩みながらも生徒会に入り、活動していく、つまり諦めていた人生、めざしたものを諦めたとき、虚脱感を覚えていたところに生徒会活動で高校生活を楽しんでいこうというふうに気持ちを切り替えていく話。その過程で生徒会役員とか、クラスメート、同級生の丸山幸とか、全国どの高校にもあるような話。
これを舞台化したいと思った理由は、今の2.5次元舞台、伸びが止まっている、コロナの影響、しかし本当にコロナの影響だけなのか、私の見立てでは『テニスの王子様』『弱虫ペダル』『刀剣乱舞』、とにかく、“勝った、負けた”、舞台上の演出もリズム、激しいサウンド、ムービングライトを用いてピカピカ…普通の物語でいいんじゃないかと。これは、光らないです。ごく普通の演劇、高校生の普通の物語をやっていこうと。そういうものが少しずつ2.5次元舞台に出てこないと、若い人たちが過ごしている現実の生活・社会を反映している舞台をこれから先の2.5次元舞台で育んでいかなければ、いけないんじゃないかと。若干、アンチテーゼ的にこの舞台をやろうと思っています。育てていきたいと思います。
今回の舞台化に際し、脚本も手掛けられた原作の相田裕よりメッセージが寄せられている。
原作:相田裕 コメント
本作は、故障でスポーツの道を諦めた少年が高校で新たな道を模索する青春の物語です。2021年の初舞台化の際に私が感じたのは、高校生の青春ドラマと舞台の相性がこれほど良いのかという驚きでした。演者が舞台上で歌い踊り、笑う姿にはどこにも偽りがなく、そこにあるのは原作の漫画よりもある意味真実味のある「イチゴーイチハチ!」の世界でした。私が連載時に取材で出会った中学生・高校生のエネルギーが本当に良く表現されていて、私が漫画で伝えたかったものはまさしくこれだと感じました。今回新作を制作できることになったのは、ひとえにファンの方々の熱い応援の賜物です。この作品を愛する人々は、まるで自分が劇中の高校に通っているかのような、登場人物の友人や家族になって見守っているような感覚を共有しているかと思います。私も皆さまと一緒に新作の舞台で登場人物たちとの再会を今から心待ちにしております。
公演は6月21日(水)~25日(日)に東京・シアターサンモールで行われる。
(C)相田裕/小学館
(C)青春舞台「1518! イチゴーイチハチ!」製作委員会2023
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