舞台「トムラウシ」の取材会レポートが到着した。
――今回の舞台「トムラウシ」への出演が決まったときのお気持ちを教えていただけますか?
石黒英雄:今回のオファーをいただく前から主演の作品に挑戦したいという気持ちがあったんです。コロナ前からのいろんな経験を経て、コロナで少し仕事がなくなり、ちょっとくすぶっていた時期もありつつ、今の自分の年齢でどこまでできるのかと。今の自分の考えや価値観を踏まえた上で、挑戦する場所が欲しくて、そういうタイミングのときにオファーをいただいたので、すごくありがたくて、素直に嬉しかったです。その分心が引き締まりましたし、新しい自分を出すためにやろうという気持ちでいっぱいです。
大湖せしる:私はミュージカル系の作品に出演することが多かったので、ストレートプレイに出たいと最近思っていたところにいただいたお話だったので、このタイミングでいただけて、嬉しかったです。
――大湖さんは 2.5次元系の舞台にも多く出演されていますが、ストレートと2.5次元では気持ち的に異なりますか?
大湖:全然違いますね。2.5次元はまずキャラクターがあって、そこに近づけていくというか、その役のその答えがあるんです。それをいかに舞台として成り立たせるか、真似ごとだけでは駄目なので、どう作っていくかの難しさがあります。ストレートプレイの場合は演出家の方の頭の中には、役に対しての答えはある程度あると思うんですが、それも含めて一緒に作っていける楽しさもあると思うので、すごい楽しみですね。今回の『トムラウシ』は新作ですし、どれも正解で、自由だからこそ難しくもありでも、楽しみでもあります。
――この取材会のタイミングではまだ稽古が始まっていませんが、台本を読んだ印象はいかがですか?
石黒:かなり序盤はもう大湖さんが演じる梨花がストーリーを進めていく感じですよね(笑)。
大湖:プレッシャーが…(笑)。頑張ります。
石黒:プレッシャーをかけているわけではなくて(笑)。台本の序盤は大湖さんの役が話を回していくので、主役性があるよね、梨花は。僕は役としては受けというか。
――大湖さんはTwitterで公開したドレス姿と看守、2つの衣装のギャップも印象的でした。
大湖:ビジュアル撮影のときは、台本はいただいていたけれど、まだはっきりとはわかっていなくて。宝塚で男役と女役をさせていただいてきたことを活かせるのはこういう見せ方かなと。ただ、写真の看守の恰好で見せたようなかっこいいところは、そんなにキャラ的にないかもしれないですね。
――キャラクター的にはかわいらしい印象ですよね。
大湖:そうそう。なので、稽古をやりながら作っていく感じですね。
石黒:僕としても、いまのところはやってみないとわからないなっていう気持ちしかないですね。そういう気持ちもありつつ、逆の視点でこちらもやらないといけないのは確かで、大湖さんが物語を回すキャラクターを演じながら、その逆の視点からも楽しめるように、こちらもやっていかないといけないのが芝居というもので。そういう風に僕たちがどれだけ濃くやっていけるか、どれだけキャラクターを立たせられるかも重要。受けの立場だと聞きながらの芝居、例えばセリフのないところの動きをどうするか、そういうことをやっていくのが舞台なので、そこをちゃんと重点的に稽古をしつつ、和太鼓をやりながら、新しい世界観を出せたらなと思っております。
――ストレートプレイのお芝居に、「和太鼓の生演奏をフィーチャー」するというコンセプトを聞いたときには、どう思われましたか?
石黒:僕は純粋におもしろいなと思いました。もともと和太鼓に関しては旅番組で訪れた佐渡島で“鼓童”というプロ集団にお会いして、和太鼓のパフォーマンスや楽しさを教えていただいたので、いつか和太鼓をちゃんとやってみたいなって思っていたんです。今回、和太鼓とストレートプレイと聞いて、「僕ができるんだ」という喜びと、またストレートプレイで主役ができるという2つの喜びがあって。僕としては非常にありがたい組み合わせだなと思いました。
大湖:私も最初お話をいただいたときに、和太鼓、楽器を交えた舞台ということを聞いて、このお話を受けたいと思った部分が大きいですね。宝塚のときに和太鼓をずっと叩いていた作品があったんですが、18年前だったんですよ。だから、最初の方はいまだに苦手なリズムはあるけれど、体が思い出す感じはあって、やっぱ楽しいなって。それを芝居と一緒にやっていくのはすごく楽しみです。
――石黒さんは座長としてはいかがですか?
石黒:芝居だけではなく座長としても、どういう風になれるのかなとは思っていて、無理をしても駄目だから……。無理して座長感を出すのも嫌だし(笑)、まだわからないですけど、なにか失敗することも含めて、経験としてちゃんとやっていけたらなと思っております。過去に2カ月ぐらいのロングランの公演をやっていたことはあるんですが、10日ぐらいの作品での座長が初めてに近いので、座長感は出さない方がいい気がする(笑)。ただ、僕が真ん中に立つ以上、安心して芝居してほしいですね。
大湖:ついていきます(笑)。すでに座長感ありますよね。
石黒:ないです! ないです!(笑)
――最後に舞台を楽しみにされている方へのメッセージをお願いします。
大湖:まだコロナの心配もあるなかで、無事に上演できることを祈るしかなくて、ただ、お客さまも勇気を出して劇場もいらしてくださるから、『トムラウシ』を見て何かを持って帰っていただけるように、カンパニー全員で一丸となって作り上げていきたいです。無事に上演できることを願って、頑張りたいと思います。
石黒:和太鼓とストレートプレイということで、新しい舞台が見られるんじゃないかなと思いますし、キャスト、スタッフ一同新しい組み合わせで、おもしろいものが見られると思います。僕自身、かなり新しい自分を出していこうと思っていますので、それを見にきてください。ぜひ劇場へお待ちしております。
公演は2月4日(土)~12日(日)に東京・自由劇場で行われる。
取材・文:長澤香奈
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