舞台『私立探偵 濱マイク -我が人生最悪の時-』が12月15日(木)に東京・サンシャイン劇場で開幕し、オフィシャルレポートが到着した。
横浜・黄金町の映画館の2階に事務所を構える探偵・濱マイク。行きつけの麻雀屋でのケンカをきっかけに知り合った台湾人・楊海平から、2年前に来日した兄・徳健を探してほしいと依頼される。捜索を進めていくうちに徳健の失踪の裏には、帰化したアジア系外国人が組織した黒狗会と台湾マフィアの抗争があることがわかり…。
舞台上には、マイクの事務所がある映画館の「CINEMASCOPE NICHIGEKI」というやや古ぼけたネオンサインが見える。ちなみにこのネオンのデザイン、マイクの事務所があるという設定の、かつて黄金町に実在した「日劇横浜」のネオンを忠実に再現している。そして、物語は古い映写機が回り出す懐かしい音とともに、さながら1本の名画のようにスタートする。
2年前に、本作の朗読劇が行われているが、その朗読劇に続いてマイクを演じるのが佐藤流司。ハードボイルドだが人情家でお茶目、その反面、刑事から“野良犬”と称されるような狂気を心の奥底に秘めた主人公を魅力的に演じており、「困ったことがあったら、いつでもきなよ」という決めゼリフもさまになっている。
約2時間の舞台の中で、十数分に1度は激しいアクションか歌唱&ダンスシーンが入ってくるのだが、佐藤はここでもしっかりと存在感を発揮しており、華麗な身のこなしで素手のケンカからナイフ、銃を使ったファイトまでをこなし、さらにマイクスタンドを握っては自らの身の上や心情をフルコーラスで熱唱し、美声を響かせる。
マイクの周囲の人々、そして今回の事件に関わってくる面々も1人ひとりが個性的。マイクの妹で物語の語り部でもある茜を演じるのは小泉萌香。彼女を大学まで出すというのがマイクの“夢”であり、彼女の存在そのものが、今回の事件に対するマイクのスタンス、ひいては彼の生き方を表している。
マイクとは鑑別所時代に知り合ったという“相棒”星野をダンスロックユニット「DISH//」の矢部昌暉が演じるが(※宮本弘佑とWキャスト)、チャラさ全開で、頼りになるのかならないのか……どこか憎めない星野を好演しており、アクションでもポテンシャルの高さを見せている。
寺西拓人が演じる依頼人・楊海平と、椎名鯛造演じる兄・楊徳健の関係性も切なく、哀しく、終盤に2人が背中を合わせて座り込むシーンは胸に迫る。王道のハードボイルド探偵アクションであり、バディものであり、きょうだい(兄弟/兄妹)の愛と絆の物語であり、歌あり、ダンスあり。目が離せない2時間の活劇となっている。
公演は12月15日(木)~18日(日)に東京・サンシャイン劇場、12月29日(木)、30日(金)に大阪・森ノ宮ピロティホールで上演される。
(C)林海象/舞台『私立探偵 濱マイク』製作委員会
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