ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』~誰が為にのぞみは走る~が8月18日(木)に東京・品川プリンスホテル ステラボールで開幕し、公式レポート到着した。
「鉄ミュ」の愛称で親しまれてきた、ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』。その最新作、ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』~誰が為にのぞみは走る~が、東京・品川プリンスホテル ステラボールにて上演中だ。「鉄ミュ」のスピンオフである今回は、日本を縦断する“高速鉄道”が大集合。本記事では、その公演の模様をレポートする。
鉄道路線を擬人化した鉄道トリビアコメディコミックの舞台化作品として、2015年から続く本シリーズ。これまでに本公演を4作、スピンオフ公演を1作に加え、コンサート公演も行うなど、長く愛され継続してきた。
スピンオフ2作目となる本作では、日本の大動脈として、北から南まで、日本をハイスピードで駆け抜ける「高速鉄道」たちの物語が語られる。在来線の“上官”である高速鉄道たち。文明開化のシンボル的に明治期から発展を遂げてきた日本の鉄道は、戦後(1964年)の東京オリンピック・パラリンピックを期にその「速度」をさらに上げた。
今回の「鉄ミュ」は、そんな黎明期から大黒柱であり続ける東海道新幹線(演:永山たかし)と、彼を“兄さん”と慕う東海道本線(演:鯨井康介)のエピソードに始まり、原作の中から高速鉄道にまつわるエピソードをピックアップ。過去の公演にも組み込まれていた話題も、経験を重ね、着実に力をつけてきた“今”の俳優たちによって解像度を上げて提示された。
東北新幹線(演:石渡真修)、上越新幹線(演:田中涼星)、山形新幹線(演:山本一慶)、北陸新幹線(演:渡辺コウジ)、秋田新幹線役(演:神里優希/映像出演)の東日本勢は、個々の個性をさらに強化。テンポよく、時にゆるく、嫉妬と羨望を抱えながらもほどよい車間を保っている。また、小さくて愛くるしい長野新幹線(演:升谷天/川原昴)に会えるのも、本作の嬉しいポイントだ。
「北海道の星」である北海道本線(演:輝馬)と函館本線(演:橋本汰斗)の濃い関係も健在。発言が後ろ向きなのに前向きという自己矛盾を抱えた北海道新幹線についても、これまでより深掘りされているため、そのパーソナリティの成り立ちがよく分かる。また、輝馬と橋本の心地よいデュエットは必聴である。
西日本勢にも新顔が加わった。前作「~九州遠征異常あり~」で強烈な存在感を示した九州新幹線(演:馬場良馬)に続いて登場したのが、長崎新幹線(演:石田隼)。九州新幹線の長崎ルートとして2022年秋に運行開始予定の新路線だ。上演時の旬な鉄道ネタを取り入れるのも、「鉄ミュ」ならでは。
長崎新幹線のフリーゲージ構想を女性の姿と男性の姿で見事に表現した石田は、高速鉄道としては初登場(前作では有楽町線役として出演)ながらインパクト抜群! 馬場とのコンビネーションで「九州、ここにあり」と言わんばかりの独自性をさらに高めた。
東海道新幹線と九州新幹線が元気であればあるほど、間に立つ山陽新幹線(演:八神蓮)の苦労人ぶりも際立つ。今回は吉沢翼が演じる山陽本線に支えられつつ、東へ西へと右往左往。でも、邪険に扱いながらも、皆、山陽新幹線のことが好きで必要としているのだと分かるエピソードにほろりとさせられる。
さらに「ジュニアックホームズ」や「東海道兄弟2022」、このほか「鉄ミュ」おなじみのネタも満載。日替わりゲストがどのエピソードで関わってくるのかもお楽しみだ。
近代日本の発展と並走するように、鉄道の歴史も広がりを見せてきた。利権問題とか、自治体間の問題とか、自然災害とか、変わり続ける時代の流れの中ではいろんなことがあるけれど、熱いレイルズマンハートを携えて、高速鉄道たちは日本を繋ぐ。きっと今日も、誰かの為に。
公演を観ると、鉄道をよく知る人も、全然知らない人も、見ればきっと、鉄道に乗るのが今まで以上に楽しみになる。高速鉄道に乗って、旅に出たくなる。それが「鉄ミュ」のいいところ。
また、「鉄ミュ」は 8月25日(木)の18:00公演にてシリーズ通算100回目の公演を迎えた。ファンの“愛”を動力に、千秋楽まで駆け抜ける彼らの姿を見届けよう。
公演は8月28日(日)まで東京・品川プリンスホテル ステラボールで行われる。
(C)青春(C)ミュージカル『青春鉄道』製作委員会
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