S-IST Stage「ひりひりとひとり」が6月10日(金)~19日(日)に東京・よみうり大手町ホールで上演される。
本作は2020年に上演予定だったが、、新型コロナウィルスの影響を受け中止となり、2022年に初演となる。俳優”春男”にまつわる、俳優6人と音楽家1人による7人の物語だ。
キャストには鈴木勝吾、梅津瑞樹、伊藤純奈、百名ヒロキ、周本絵梨香、塚本幸男が名を連ねた。また、作・演出は石丸ちさ子、音楽・演奏は森大輔が務める。
作・演出:石丸さち子 コメント
「ひりひりとひとり」は、稽古と上演期間が2020年の緊急事態宣言発令期間に重なり、上演できなかった作品です。
2022年に改めて初演に立ち向かうと決まった時から、その書き直しの方向性について、ずっと考え続けてきました。世界の、演劇界の、「ひりひり」した感覚が、大いに上書きされてしまったからです。
それが。新しく書き直したものは作者にも演出家にも馴染まず、結局一周二周して、ほぼ元の形に戻ってきました。初演の公式サイトに、わたしはこう書きました。
演劇は、今も昔も、世界を映す鏡です。そして世界は、数え切れないひとりひとりの、書き換え不可能な一瞬を積み重ねています。たったひとりを描くこと、ほんの一瞬を描くことが、世界を描くことになり、永遠を描くことになりうる……という可能性に、いつも表現者は無限の夢を抱き、希求し続けます。
上演はできなかったけれども、「工藤春男」という主人公はすでに生まれていて、その過去や現在を、簡単に変えるなと、彼から訴えられているようでした。
本作で光をあてる、そのひとりの職業は、俳優です。ひりひりとした、その生きる実感を、演劇や音楽の恵みがどれほど支えてきてくれたか。自力では這い出せない痛みの中から救いだしてくれる芸術の力に思いを馳せつつ、ひとりの痛みと喜びを、密やかな祭のように、大騒ぎの輪舞のように描きます。
世界情勢が思いがけないスピードで悪化する中、心穏やかに暮らすのが難しい今。
ご観劇の皆さまに、何をお届けできるでしょうか? その受け取っていただくお届け物の形や匂いや味、手触りや歯ごたえを、稽古で探っていきます。演劇ならではの、たくさんの人生が寄り集まり一緒に探る、というやり方で。
初演できなかった「ひりひりとひとり」の出演者、初演に立ち向かう「ひりひりとひとり」の新しい出演者、すべての思いを、舞台の上に載せて。
「僕は、私は、俺は、あなたは、何処に、誰に、つながっているんだろう?」
鈴木勝吾 コメント
やっと皆さまにこの作品を届けることができます。2020年、新型コロナウィルスの影響で上演が叶わなかった。石丸さち子さんとずっと作品を作りたいね、と語り、そして東映の中村さんに携わってくれないか、と話をしてから随分と経ちました。やっとです。
(石丸)さち子さんは本当に繊細で情熱と愛情のある人間であり、作品をつくることに心血を注ぐ方。彼女の紡ぐ言葉と、作品を作り上げる姿が憧れであり、共に作品を創れることが誉れであり幸せです。
世界と自分との乖離に想いを抱える青年の話。だけどきっと誰もが心の中にあるものだと思う。胸の中にあって言葉にしたくて身体を爆発させたくて心を届けたくて、どうしても伝えたくて…そんな方法は人それぞれあって、でもきっと、思うように行かなくて、僕も同じです。だから芝居と演劇が僕にはあって救われる。そして皆さまに届けることができる。
心を込めて、命を削って、身体をはって必ず届けられるように創りあげたいと思います。
大切に大切に、激しく育て必ず。
僕もとても楽しみです。
劇場でお会いしましょう。
チケットは、4月9日(土)12:00よりオフィシャル先行抽選受付が開始。
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