Musical『DEVIL』Japan プレビューコンサートが9月18日(土)に東京芸術劇場シアターウエストで開幕。前夜行われたゲネプロのレポートが到着した。
同舞台は2014年に韓国で初演、韓国ミュージカルの重鎮、イ・ジナがゲーテの「ファウスト」を題材にオリジナル作品として創作したロックミュージカル「DEVIL」。この度、プレビューコンサートとして日本に初上陸した。演出は広崎うらん、キャストは中川晃教、小西遼生、村井良大、雅原慶ら。
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広崎は開始前、「変更点も多いので、ケガのないように」とキャスト陣にひと声掛け、制限の多い状況下においても着実にブラッシュアップを重ねてきたことがうかがえる。セットはほぼ黒で、装飾がまるでないシンプルなもの。渡り廊下のようになった部分の両端より、対照的ないでたちのX-WHITE役・中川晃教、X-BLACK役・小西遼生がムードたっぷりに登場する幕開きから、グッと心を掴まれる。
X-WHITEは人間を信じて救いの手を差し伸べる存在であり、一方、X-BLACKは人間を堕落へと導いていく。そのキャラクターに、天賦の才に宿る無垢な魂が人々を魅了する中川、魔力ともいえそうな抗いがたい美を放つ小西と、好対照な個性の2人を配したキャスティングがまず見事だ。
彼らの間で揺れ動く、その名もジョン・ファウスト役に村井良大。職業は金融トレーダーで、エリートビジネスマン然として登場するのだが、このキャスティングにも唸らされる。中川、小西とも共演経験があり、近年ミュージカルで大活躍中の村井の持ち味は細やかな演技力だ。ニュートラルな存在感で作品と観客をつなぐ彼の個性もこの役にぴったり。
もう一人の主要キャラクターとして登場するのが、ファウストと深く愛し合うグレッチェン。劇団四季の主要キャストとして活躍した雅原慶が演じる。ある意味、最も浮き沈みが激しいキャラクターであり、後半で見せる衝撃的な姿は、超実力派の面目躍如といったところ。
ほか、出番こそ多くないが、姿を見せればその場の空気を一変させるダンサーの存在にも注目だ。ゲネプロでは平山素子が演じていたが、佐藤洋介、宮河愛一郎のトリプルキャスト。世界的ダンサーの妙味と存在感が、作品により一層の深みを与えている。
顧客のため、誠実に仕事をしてきた男の人生は、“ブラック・マンデー”により一変。X-WHITE、X-BLACK両者に魅入られたファウスト、そしてグレッチェンの運命とは…? 衝撃的な結末が待っているが、“白”とも“黒”ともつかないその着地は、永遠に答えの出ない「人間とは?」の問いを含んでいる。
ちなみに、コンサートと銘打っているが、X-WHITEとX-BLACKのみハンドマイク使用であるのを除けば、通常のミュージカルを観ている感覚と大きく変わらなかった。韓国産ミュージカルの音楽性やダイナミズム、日本人スタッフ、キャストの細やかな感性が両立した充実の一作だ。
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公演は9月26日(日)まで東京芸術劇場シアターウエストで行われる。
(C)Musical『DEVIL』Japan/田中亜紀
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