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染谷俊之、平野良、赤澤燈が未曾有の挑戦 ネット配信舞台「マトリョーシカの微笑」レポ

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コロナウイルス感染拡大防止のための「緊急事態宣言」を受け、イベント・音楽ライブ・興行などを延期または中止する状況が続いている。

そのような状況のなか「うちで楽しめるエンターテイメント」として、2020年4月25日にネット配信舞台『マトリョーシカの微笑~刑事はニ度死ぬ』の上演が実現した。

この取り組みは、株式会社BS-TBSと作家集団の株式会社クリエイティブボードが設立したリモート配信劇場「うち劇」の第1弾として企画されたもの。

俳優が別々の場所からパソコンやカメラの前で生で演じ、表情のアップやささやき声、背景を合成するなどオンラインの「うち劇」ならではの演出を構築している。

今後は、「うち劇」プラットフォームを活用し芸能事務所や劇団・劇場との協業も視野に入れているという。

人気俳優3名が前代未聞の生配信に挑戦

出演キャストには、舞台はもちろんのこと、ドラマ・映画などの映像作品でも活躍する染谷俊之、舞台を中心に2.5次元ミュージカルからグランドミュージカル、本格的なストレートプレイまで数々の作品で幅広い役柄をこなす平野良、舞台「MANKAI STAGE『A3!』」、「Messiah メサイア」シリーズなど、話題の舞台に出演する赤澤燈など若手実力派俳優の3人。

▲写真は左から染谷俊之、平野良、赤澤燈

あらすじ
とある取調室。
“容疑者“師岡”は微笑んだ。「正義は我にある」と……。
刑事としての威信にかけ、卑劣な犯罪に立ち向かう2人の男“桐生”と“山之内”。
密室で繰り広げられる三つ巴のバトルが今、始まる!“

3名が別の場所からバーチャル背景を使用して挑む本作。染谷と赤澤はマチネ・ソワレとそれぞれ役を交代し、1・2部ともに劇中に登場する人物は同じにもかかわらず、俳優たちの魅力ある演技により違った顔を見ることができた。

第1部
師岡 役:染谷俊之、桐生 役:平野良、山之内 役:赤澤燈
楽屋トークつき

第2部
山之内 役:染谷俊之、桐生 役:平野良、師岡 役:赤澤燈
楽屋トークつき

「新感覚な視聴スタイル」と、どんでん返しの連続

▲左から師岡 役:赤澤燈、桐生 役:平野良、山之内 役:染谷俊之

刑事の桐生は厄介な性格で、のらりくらりとしているようで相手の言動を見極めているが、すぐに揚げ足を取る。

後輩刑事の山之内は対照的に、真面目で純粋、桐生のことを尊敬している。

事件の容疑者とされる師岡はサイコパスな人物のように見えて、相手の空気に飲まれやすいところもあった。

そして、山之内がこの話の進行役を握ることが鍵となる……。

題目の『マトリョーシカ』の真意とは、外面はよくてもそれを剥いでいくと中身ちっぽけである“人間”のことを指している。

人間とは「不完全で欠陥だらけ」と桐生が言うが、その人間は容疑者の師岡を指すのか自分自身を指すのか、物語がすすむにつれて実態が見えてくる。

話のテンポが良く、桐生のキャラクターが、シリアスのなかにコメディの色を生むのだが、こってりとしたセリフの言い回しが師岡にストレスを与えてゆく。

そして、それぞれの言動とストレスが、ある一定の上限に達したときに繰り広げられるどんでん返しに驚かされることとなった。

終盤まで3人の動向から一切目が離せない。

ぶっつけ本番だからこそ“ショー・マスト・ゴー・オン”の精神が呼び覚まされた

2部の劇中に音声が途切れるというアクシデントが発生したものの、3名はしばらく演技をつづけた。

アフタートークで平野は「途中2人の音声が全く聞こえなくなったんだけど、舞台に立っているのと同じで、“ショー・マスト・ゴー・オン”の精神が湧いてきて(演技を)続けてしまったよね(笑)。今までの芝居とは違った自分の新たな財産になりました」と振り返った。

染谷もまた「確かにスタッフさんから途中、ストップがかかったけれど『やり遂げなきゃ!』という気持ちが出て。舞台に立っているときと同じように周りの空気を読みつつ、演技を続けました。すごく久しぶりにこの感覚を味わい、新鮮な気持ちも感じました。この形は今までの劇場での演劇とは別帰路として発展していくのではないでしょうか」とコメント。

赤澤は「“自粛”という状況のなか、僕たち役者にとってはこういう(「うち劇」という)場所はとても大事な場所だということを再認識しました。この演劇スタイルもきっと、この形も今後どんどん洗練されていくんだと思います」と語り、3名それぞれがはじめての試みである本作の上演に戸惑いつつも、エンターテイメントの新たな可能性を広げる第一歩となったと述べた。

本企画を発案したBS-TBSの丹羽多聞アンドリウプロデューサーは「この世相を反映して、 出演者と観客が一体となれるリモート劇はニーズが高いと思います。劇場という場をバーチャルで提供することで、俳優には活躍の場を、お客様には観劇の場を作り出していきたいですね。また、この機会に配信演劇という新しい表現の場を広げたいと考えています。仕事をなくしている演劇関係者や芸能事務所との協業を目指したい」と未来への展望を語った。

執筆/ナスエリカ

公演概要
■脚本:太田善也 塩塚晃平
■演出:太田善也
■プロデュース: 丹羽多聞アンドリウ
■技術プロデュース:バルス株式会社
■公演スケジュール:4月25日(土)(昼夜2部制)
第1部 15:00〜 / 第2部 19:00〜
各部、各出演者の舞台後のアフタートーク付き
■キャスト:染谷俊之 平野良 赤澤燈
■舞台公式サイト:https://event.spwn.jp/events/200425-matryoshka

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