二人芝居「追想曲【カノン】」が2月22日(木)東京・シアターサンモールにて開幕し、舞台写真および公式レポートが到着した。
本作は、東映プロデュースによる“本田礼生×赤澤燈”の演劇企画の第二弾。第一作の「オブセッション」では三人芝居に挑戦した本田×赤澤が今度は二人芝居に挑む。
また、本作では本田と赤澤が公演ごとに役を入れ替える“type-HONDA”、“type-AKAZAWA”の二バージョンを上演。
今回は、“type-HONDA”のゲネプロの模様をレポートする。
公式レポート
私たちの世界と地続きになったとき、物語は完成する舞台上に現れる本田。まるで楽隊の一員のような正装をしている。本田が宙に人差し指を構える。何かを押したが、空振りのようだ。本田はもう一度宙に指を泳がせる。けれど、思うような反応は得られない。首を傾げて、手当たり次第にあちこち押す本田。彼は一体何をしようとしているのか。観客の疑問符に応えるように、赤澤がやってくる。赤澤もまた本田と同じように宙に指を伸ばす。
すると、柔らかなピアノの音色が響く。驚いたように本田が赤澤を見る。どうやら本田もピアノを弾こうとしていたようだ。赤澤を真似て、本田が再び宙に指を置く。今度は、ちゃんとピアノの音がする。見えない鍵盤と戯れる本田と赤澤。二人は横に並んで一緒にピアノを弾きはじめる。音が溢れるとともに世界が広がる。笑顔が広がる。眩しい光が降り注ぐ。人と人の心が通い合った。その光景の美しさに、じわりと涙が溢れ出す。
二人芝居「追想曲【カノン】」は、そんな幻想的なオープニングと共に幕を開けた。舞台は、荒廃したディストピア。世界は「外側」と「内側」で隔てられており、人間たちはロボットの監視下に置かれていた。その中で生きる人々の刹那の交わりが、連作短編的に描かれていく。
最初は、潰れかけのレストランで働く店員と客。その後も、シチュエーションが変わるたびに、本田と赤澤は異なる役を演じ、また違った表情を見せていく。
“type-HONDA”では、各シーンを引っ張る役どころに本田が扮する。そこかしこに散りばめられたギャグが、本田の小気味良い台詞回しとキレのいい体から繰り出されることで、観客の笑いを誘う。それを赤澤が的確な受けの演技で応え、二人だけの二重奏が完成する。二人芝居といえど、かしこまったところはない。むしろコミカルでポップだ。けれど、賑やかなシーンが際立てば際立つほど、この作品の持つ悲劇性が浮き彫りとなり、観客の胸を締めつける。
三つのシチュエーションに共通しているのが、音楽だ。絶望と隣り合わせの日常に、寄り添うように音楽が流れていた。人は、心があるから音楽を生み出せる。だけど、心があるから怒りや憎しみで目を曇らせる。音楽の可能性を、エンターテインメントの意義を、本当に信じることができるのは、人間かロボットか。わかり合えない者同士が、その溝を乗り越えるために必要なものは何なのか。ラストシーンに辿り着いたとき、これは決してどこか別の世界の出来事ではない、と気付くだろう。
“type-AKAZAWA”では、“type-HONDA”で本田が演じた役を赤澤が演じる。役者としては正反対という二人だが、同じ役を赤澤はどんな解釈でアプローチするのか。両バージョンを観ることで得られる発見もまた本作の醍醐味と言えそうだ。
公演は、2024年2月22日(木)~3月3日(日)に東京・シアターサンモール、3月8日(金)~10日(日)大阪・扇町ミュージアムキューブ CUBE01にて行われる。
(C)東映
公演概要
■タイトル
二人芝居 「追想曲(カノン)」
■脚本
ほさかよう
■演出
松崎史也
■出演
本田礼生、赤澤燈■会場・日程
2024年2月22日(木)~ 3月3日(日)
東京・シアターサンモール2024年3月8日(金)~ 3月10日(日)
大阪・扇町ミュージアムキューブ CUBE01■特設HP
https://toei-stage.jp/twomen-canon/
■公式X
@Toei_stages
■企画・プロデュース
東映株式会社(C)東映
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