鮮やかな人間ドラマと楽曲で観客を沸かせた『東京カラーソニック!!』the Stage Vol.1を経て、2023年11月からついにファン待望の続編『東京カラーソニック!!』the Stage Vol.2が上演される。
2.5ジゲン!!では、Unit.2の宝田伊織を演じる山﨑晶吾、加地春飛を演じる高本 学にインタビューを実施。稽古前ということで、前作で得た手応えを中心に、役への思いやUnit.2の魅力、他のユニットへの印象などを語ってもらった。
――まずは前作を通して感じた原作「カラソニ」の魅力、「ソニステ」の魅力を教えてください。
高本:やっぱり人間ドラマがすごく詰まった作品なので、「リアルなお芝居で描かれる人間ドラマ」っていう部分が重要なポイントかなと思いますね。各ユニットそれぞれが物語を生んで、だからこそのエネルギーが多くあって。
何よりも僕ら「ソニステ」に出演する舞台俳優も、原作の「カラソニ」で演じてらっしゃる声優さんも、“この作品を愛しているな”っていうのが、前作ですごく感じられたんですよね。もちろんそこには支えてくださっているファンの皆さん、スタッフの皆さんの愛もすごく強くて、それがこの作品のパワーになっているんじゃないかなと思っています。
声優さんたちも前作を観に来てくださって、すごくこの作品が好きなんだなっていうのを感じられましたし、僕らもそれに負けないくらいこの原作が大好きなので、そこがすごく魅力的だなと感じています。
山﨑:この作品のように音楽が題材の作品って色々あると思うんですけど、そのなかでもこの「カラソニ」ならではの魅力って、歌っている側だけじゃなくて、その曲を作る側にもフォーカスを当てているっていうところで。
具体的に「どういう人物がどんなことを経て、どんな思いでこの曲を作り上げたのか」っていう、音楽を作る過程が明確になっているのがすごく魅力だなと思っています。ボーカルだったり、その曲自体だったりが目立つのが普通だと思うんですけど、この作品に関しては0から1を作ってる側にもフォーカスを当てている。
いつもは裏にいる人たちが表に立って、みんなに見てもらって、そこから感情が生まれて…その作ったものが世に出て、そこからまた感情が生まれるっていうのは、すごい魅力なんじゃないかなって思っています。
――役者も作品を作る側のお仕事ですが、0から1を作るという部分で共感できるところはありますか。
山﨑:いや、逆にわからないことばかりですね。僕たちは役をもらって、台本をもらって、もうできあがっているものに乗っかって演じるので。春飛たち作詞作曲チームの「できあがっていないものを作る」っていうのは、普段僕らがしていないことです。
でも、すごくわかるなって思う部分もあって。いろんな作品に出させていただいて、それぞれの現場でのクリエイトチームの気合いっていうのを毎回すごく実感するんですね。四六時中、細かなところまでこだわって追究している姿に、“作る側の本気”みたいなものをすごく感じて、自分もその熱量を受けて本気になれる部分があって。
僕の場合はバディの春飛が、それだけの思いを持って自分自身と向き合って楽曲を作ってくれる、だからこそ伊織ももっと頑張れる。この2人の関係っていうのは、役者としてやっている自分と、一緒に仕事をしてくれる人たちのことを考えると、共感できる部分はあるなって思います。
高本:前作では僕らUnit.2に関しては、曲を作っている部分をあまり描いてなくて、そこらへんを今作で描いていくことになると思うんですが…晶吾くんが言ったように、僕らはできあがってるものに対して身を委ね、役を実体験して、その姿をお客さまに届けるのが仕事だと思っているので、0から1というよりかは、1から100に近いのかなって。
なので今作に向けて、0を1にしている周りのスタッフさんに感謝しつつ、今は、それがどういうことかを体験したいなって思っています。どういう苦しみなんだろうとか、ストーリーで描かれていること以外にも、どうしてこう(曲を)書こうと思ったんだろうみたいな部分を掘り下げて考えていきたいなと考えています。
――初演の際に実施したUnit.1、Unit.3の4名へのインタビューでは、それぞれが演じるキャラと本人が似ているという話が出ました。お2人は自身が演じる役と似ていると感じる部分はありますか。
山﨑:似ていると思いますよ。伊織は勉強ができないっていう設定があるんですけど、僕も勉強苦手なので(笑)。
――カリスマ性の部分はいかがですか?
山﨑:(澄ました表情で)そうですね。カリスマ性も似てるっちゃ似てますね。
高本:(無言でニヤニヤ)
山﨑:…あれ?
高本:そう言うと思ってたよ。
一同:(笑)
山﨑:勉強以外の部分で言うと、似ている部分かはわからないですけど、すごく演じやすかったなっていう記憶はあります。
高本:僕は最近、キャラに似ているってどういうことなのかなとよく考えているんですけど、そのとき思ったのは、推しみたいな感覚に近いんじゃないかなって。
例えば、(小宮山)嵐は「オッス!」みたいなすごく熱い感じじゃないですか。それは素敵だけど、でも確かに僕がやったらちょっと照れくさいというか、違うなって。いろんな個性のキャラがいるなかで、誰が1番好きかなって考えるとやっぱり春飛で、演じたいのも春飛。こう思うっていうことは、自分と似ているんだろうなと思うんですよね。
春飛とすごく似ているなと思うのが、究極の人見知り男子なところだと思うんですよ。何を言うにしても直ではいかなくて、空間に言葉を飛ばすみたいなアプローチが多く、遠回しに伝えるみたいな。その、1回クッションを挟んで探る感じはすごくわかるし、お互い人見知りなんだろうな(笑)。他のキャラを演じる自分も想像してみましたけど、やっぱり適役は春飛だと思っています。
――今作では、どう役に向き合っていきたいと考えていますか。
山﨑:今作に関しては、宝田伊織がどうこうというよりも、その相方の春飛にどれだけ寄り添えるかっていうのが課題になってくるんじゃないかな。自分の役より相手のことを見ていた方がいいんじゃないかと思っています。
高本:Unit.2の未来のことを考えながら演じて、そこにつながるように伏線を張っていたというのが前作で。やっとそれを演じられるなっていう楽しみと、大丈夫だろうかっていう不安との、2つがある感じですね。晶吾くんと一緒に演じることによって生み出されるものを楽しみにしています。
――Unit.1、Unit.3の4名へのインタビューでは、各ユニットを演じるキャストへの印象をお伺いしました。そこでUnit.2のお2人への印象は「再現度は高いけど変な2人」「つかみどころがなく、お芝居に関して狂気感がある」といった言葉が出たのですが…。
高本:僕らから見てもみんな変な人ですよ(笑)。それに、まあそう思われてもいいと思ってます。
山﨑:(笑)
高本:けど、僕らは自分たちが限りなく自由で、かつ1番思いやりがあるユニットだなと思っています。
山﨑:確かに、確かに。
高本:自分が言いたいことも言うし、でもちゃんとお芝居する時は、どのユニットよりも思いやりを持ってやっている気がする…優しさと怖さがにじみ出てるユニットだと思う(笑)。
山﨑:芝居した後は、絶対2人で話し合います。舞台袖に捌けたあとに、「今日はどうだったか」をその都度、話していました。2人ともすごい芝居が好きっていう共通点があるから、だからこそ毎回違うお芝居にもなるし、違う感情が乗ることもあるし。そのことに関して、自然と毎回話し合えるのが、この2人の良さかなって思います。
高本:アンテナの張り方が似ているのかな。
山﨑:確かにそう。
高本:受信するところがすごく似ているから、話し合いもやりやすい。
山﨑:あとは、意外とみんなでいる時より、2人で芝居する時の方が体力を使うというか。前作は本当に短いシーンしかなかったんですけど、それでもずっとアンテナを張って、お互い何してくるかもわかんない。でも(演じている間は)自然体だから、袖に捌けた後にどっと疲れるっていう感じでした。
高本:演じていてすごく面白いんです。ミスがないというか、どのパターンでもいける感じがあって。2人のシーンは短いけど変化が大きくて、楽しかったですね(しみじみと)。
――今作は2人のシーンがグッと増えますね。
山﨑:そうなんですよ。かなりカロリーを使うんじゃないかなと思います。
高本:(笑)
山﨑:何が起きても崩れないし拾いあえる信頼でいったら、多分、Unit.2が1番じゃないかなと思います。ルールがないところで自由にするのって誰でもできると思うんですけど、そのルールの中、役の中で自由に遊べるっていうのが僕らの魅力だと思います。
高本:そうですね。
――なるほど、そこがUnit.2の魅力であり強みなんですね。せっかくなので、ぜひ他の3ユニットの印象も教えてください。
山﨑:Unit.1は今作から嵐を演じる武子直輝さんが僕は初めましてで…なので未知ですね。
高本:僕は2回くらい共演しているんですけど、今作から入ると聞いてすごく面白くなりそうだなって思っています。直輝くんは周りの影響をしっかりパワーに変えられる役者さんだし、そもそもの基礎能力がすごく高い方なので、バディの(霧島 宙役の北川)尚弥に対しても、作品に対してもいい化学反応を起こしてくれるんじゃないかなって楽しみです。
――Unit.3のお2人はいかがですか。
高本:(財前未來役の樋口)裕太は知ってたんですけど、(瀬文永久役の北村)健人くんは前回が初めましてで。Unit.3のストーリーを堅実に演じてらっしゃいましたし、純粋に2人とも優しいですね。
山﨑:北村健人くんがすごく真面目な方で、自分が役に寄っていくようなタイプの役者さんなんだなって。逆に樋口裕太は、役を自分に寄せていくようなタイプの役者なのかなって個人的に思いました。それが、芝居のうえでマッチしていて、すごくいい関係を築いていたんじゃないかなって思いました。
――Unit.4のお2人はいかがでしょうか。
山﨑:(高槻神楽役の小波津)亜廉くんがめっちゃ役に合ってるなと思って。個人的に彼がすごく好きで、なんか亜廉くんを見ていたら元気出るんです。だからずっと現場にいてほしいです。(倉橋海吏役の安井)一真は(難しい役どころを)すごく頑張っていました。
高本:2人ともいい人なので、カンパニーのムードメーカーだなと。2人は人のいいところを見つけるのがすごく上手で、いてくれるだけで楽しくなりますね。稽古でもこの2人がいることで、本当に楽しい空間になったなと思います。
このカンパニーってみんなのポジション取りがすごく良くて、それぞれの個性がいいように空間を楽しくしていたと思うんですが、なかでもこの2人には特にそれを感じていて…感謝したいです。
――ありがとうございます。では最後にファンの皆さんへメッセージをお願いします。
高本:今作から直輝くんと(駿河冬一役の)輝馬さんに入っていただき、パワーアップした作品になると思います。みなさんの応援のおかげでこうしてVol.2をやらせていただけるので、その期待に応えられるステージになるようせいいっぱい稽古に挑んでいきたいと思います。
真剣に原作や役と向き合って、「ソニステっていい舞台だな、一生観ていたいな」と思ってもらえる、そんな作品になるように僕らも頑張っていきたいです。
山﨑:Vol.2では、前回とはまた全然違うUnit.2が見せられると思っています。2人とも“カリスマ的存在”っていう面があるんですけど、Vol.1ではそれをまだお見せすることができていなかったので。
今作で「やっぱり2人はカリスマだったんだ」って感じてもらえるかどうかは僕らの芝居の説得力にかかってくると思うし、そういうプレッシャーも抱えながら、それぞれの苦悩やトラウマを乗り越えていく4ユニットの姿で、観に来てくださった皆さんの背中を押したり、なにかしらの感情を持って帰ってもらえる、意味のある舞台にできたらなと思っています。1度観たお客さんに、もう1回観たいなって思ってもらえるように頑張りたいです。
***
芝居への熱い思いの合間に、大阪出身の2人ならではの軽快なやり取りが挟まり、撮影含めてにぎやかな取材となった。お互いへの揺るぎない信頼感を感じられたことで、この後に待つUnit.2のエピソードがよりいっそう楽しみになったのは言うまでもない。
取材・文:双海しお/撮影:MANAMI
公演情報
タイトル
『東京カラーソニック!!』theStageVol.2
原作
「東京カラーソニック!!」(eternalvoyage)
スタッフ
脚本:伊勢直弘、東妻リョウ
演出:伊勢直弘
音楽:楠瀬拓哉
技術監督:寅川英司
舞台監督:田中翼
美術:乘峯雅寛
照明:田中徹
音響:ヨシモトシンヤ
衣裳:中西永人
ヘアメイク:城本麻紀
歌唱指導:カサノボー晃
振付:相原えみり
演出助手:たはらひろや
宣伝美術:岡垣吏紗
宣伝写真:中村理生
制作進行:杉田智彦
出演
小宮山 嵐役:武子直輝
霧島 宙役:北川尚弥
宝田伊織役:山﨑晶吾
加地春飛役:高本 学
瀬文永久役:北村健人
財前未來役:樋口裕太
倉橋海吏役:安井一真
高槻神楽役:小波津亜廉
田所雪也役:松村龍之介
芦野涼真役:阿部快征
駿河冬一役:輝馬
アンサンブル:桑畑亨成、遠田翔平、藤宮あさひ、吉野斗規
主催
『東京カラーソニック!!』theStage製作委員会
日程・劇場
11月10日(金)~19日(日)
東京・天王洲銀河劇場
公式HP
https://www.marv.jp/special/stage-tcs/
公式Twitter
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