大人のもどかしいピュア恋を描く吉井ハルアキによる人気ボーイズラブ漫画「その恋、自販機で買えますか?」が実写映画化される。
アラサーの会社員・小岩井歩を松田凌、彼が想いを寄せる年下の自販機補充員・山下諒真を田鶴翔吾が演じる。自販機という小さな接点から生まれる恋物語を通して、2人はどんなときめきを感じたのだろうか。
2.5ジゲン!!では2人への対談インタビューを実施。お互いの好きなところや、お気に入りのキュンとしたシーンなどを赤裸々に語ってもらった。
――まずは原作や台本を読んでの印象をお聞かせください。
田鶴翔吾(山下諒真役):この映画のお話をいただいてから原作を知った形だったのですが、結構初めてづくしというか…。
――ボーイズラブ作品に触れるのも?
田鶴:そうですね。だから、すごくいい機会だなと思いましたね。山下という役も、僕自身がどちらかというと伝えすぎてしまうタイプなので、そういう意味では新しい役だなとも思いましたし、2人の恋の形や進め方についても新しいものに出会えた感覚でした。
松田凌(小岩井歩役):「(しみじみと)恋っていいな~」って思いました。むず痒さとか、些細なことで浮かれちゃうとか…恋をするからこそ生じる色々なものがこの作品には詰まっていて。
しかも「どう言葉に表現していいかわかんないな、この気持ち」みたいな瞬間が散りばめられていて、すごく現実的なんですよね。だから共感もしやすいですし。素直に、恋っていいよな、って思える作品でした。
――原作のキュンとするシーンをすごく丁寧に映像化しているという印象でした。原作通り恋のもどかしさや愛おしさが詰まった作品になったかと思うのですが、お気に入りのキュンとするシーンはどこでしょうか。
松田:最後のシーンですね。ベランダでタバコを吸いながら、お互いのことを話す…あのシーンは、なんか好きだなって思います。自分が小岩井を演じたからっていうよりは、僕自身があの2人の後ろ姿を眺めながらお酒飲みたいな、的な。あの2人の構図や雰囲気に対して、すごくキュンとしました。
田鶴:僕が好きなシーンは、初めて歩さんが“自分がゲイであること”を告白した時に、山下くんが初めて歩さんの手に触れる、あの感じがいいなと。歩さんは自分の心を開くのにいっぱいいっぱいな中、そこで山下くんは手に触れて…。お互いの進み方がちょっとちぐはぐになった瞬間が、うまく描かれていてすごく好きです。
そのあと別のシーンで2人の手が触れ合う場面があるんですが、あえて僕は同じように触れているんですけど、本人たちの間ではお互いの距離が縮まっていて。そういうところにキュンキュンしますね。何気ないシーンなんですが、「恋って劇的なものじゃないんだな」っていうのを感じられて、僕は好きなシーンです。
――お2人は今作が初共演となります。撮影をするなかで感じた相手の「いいな」と思った部分を教えてください。
松田:すごくいっぱいあります。その中でも見習わなきゃなって思ったのは、心遣いができる部分ですね。僕は集中力が高まると1つのことに意識が行ってしまって、他の方々に気を回せない瞬間があったりするんです。
だけど彼は、自分なりのお芝居もしっかり考えつつ周りの人のことを第一に思って現場にいてくれるから、それはもう当然一緒に仕事したくなりますよね。
田鶴:嬉しいですね。ありがとうございます!
僕は感謝できる方が大好きなんですよ。結局、感謝って言葉にするだけではたぶん全部は伝わらなくて。その時に思ったことを伝えて、それが日々積み重なってちゃんと届くものだと思うから、凌くんのちゃんと伝えてくれるところが僕は大好きなんですよ。
後から付け足して言うのは簡単ですけど、その瞬間に言えるっていうのは本当に思っていないと出てこないじゃないですか。最初に出会ったときから、凌くんが感謝の気持ちをすごく大切にしながら生きてきたんだなというのを感じられたので、すぐ好きになりました。
――今のお話を聞いた印象だと、現場の雰囲気はすごくよかったのでしょうか?
松田:現場の空気としては、すごく良かったんじゃないかな。もうちょっと空気が張り詰める瞬間があってもよかったけど、全然そんなことなかった。
田鶴:そうですね。芝居に入る前の空気作りとかも、「じゃあちょっと空気作ります」みたいに意識することなく撮影に臨めましたし、そのおかげで、タイトなスケジュールの中でも満足いくものが撮れたのかなと思います。
褒めすぎてちょっと疑われそうなんですけど(笑)。マジで最高でしたね。
――では、作品から感じた素敵な空気感は、そのまま撮影現場のいい雰囲気が反映されていたのかもしれませんね。
松田:そうですね。作品がそうさせてくれたのかもしれないです。
――タイトルにちなみ、“自販機で買いたいもの”を教えてください。
田鶴:えー、なんだろう。僕食べるのが好きなんですよ。でも好きなものばっかりで偏(かたよ)りがちになっちゃうので、その日の僕に適した献立を自販機で買えたらいいですね。
松田:今でもラーメンとか餃子の自販機があるから、そのうち“フードコート自販機”みたいなのも出てくるかもね。
田鶴:それもいいですね。いろんなお店の自販機が並んでたら目移りしちゃいそうです(笑)。
松田:僕は…パンツかな。
田鶴:パンツ!?
松田:地方公演とか撮影とかにわざわざ持っていくのが面倒で、コンビニでパンツとか靴下とかを買うことが多いんですよ。コンビニで買えるからすでに便利ではあるんですけど、自販機で買えたらもっと楽だな…と。コンビニで下着だけ買うんだとアレだなと思って無駄遣いしちゃうし。
――なるほど。自販機の無限の可能性が垣間見えた気がします! では最後に、作品を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。
田鶴:この作品は、チーム一丸となって、原作からくみ取ったものを大切に作ってきました。この作品を通して、改めて日常に溢れているものに目を向ける大事さを感じてもらえたら嬉しいです。
僕もこの作品で山下くんや歩さんと出会って、人それぞれの恋の進め方があるんだなと感じました。今の時代はSNSやネットの情報も多くて、出会いや恋に焦りが生まれちゃう人も多いと思うんですね。でも2人の恋を見守ることで、無理して背伸びをしなくていいんだとか、思った気持ちを大切にすることとか会話を楽しむこととか、たくさん感じてもらえたらと思います。
ほかにも色々なことへのきっかけが与えられる作品になってほしいので、ぜひ秋の公開を楽しみに待っていてください。
松田:この2人だからこその、とても純粋な恋をしていると思うんです。僕たち2人は、その2人を演じさせていただいて、演じたからこそ彼らに様々なものを与えてもらいました。そうやって生まれたこの映画が、皆さまにも何か感じ取っていただける作品になっていたら幸いですし、この2人の恋はまだまだ続いていくと思うので2人のことを応援してあげてください。
そして願わくば、1度観た後にいろんな方に作品を広めていただけたらと思います。
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年齢を重ねる度、恋をするのが億劫になったり想いを口にするのが怖くなったりしてしまうかもしれない。映画「その恋、自販機で買えますか?」はそんな人にこそ効く、優しくて温かな大人のピュアラブストーリーに仕上がっている。
1つ1つの質問に誠実に向き合って言葉を紡ぐ2人の姿は、恋に真摯に向き合う小岩井と山下の姿に重なった。そんな2人だからこそ生み出せる等身大な恋を、本作で味わってみてはどうだろうか。
取材・文・撮影:双海しお
(C)2023『その恋、自販機で買えますか?』製作委員会 (C)吉井ハルアキ/メディアソフト
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