2022年に始動したメディアミックスプロジェクト「COLOR CROW」。現代のシノビとして国家のために暗躍するクロウたちの活躍を描く本シリーズの最新作となる舞台「COLOR CROW-神緑之翼-」が10月に上演される。
2.5ジゲン!!では本作でメインキャラクターとして描かれる羅生聖護役の日向野祥、そしてその相棒となる蒼田三月役の阿部快征にインタビューを実施。プライベートでも仲の良い2人に、本作への意気込みやバディとしての役作り、役者としての関係性などを聞いた。
――前回は初演上演前にインタビューをさせていただきました。改めて初演を終えていかがでしたか。
阿部快征(蒼田三月役):作品のイメージがお客さまの中にない状態で観にきてもらうので、ちゃんと作品を提示できるのかというのはドキドキしましたね。やっぱりみんなが知らない状態っていうのは、オリジナルの怖いところというか。ゼロからどこまで愛してもらえるのか、オーディションとか試験のような気持ちで挑みましたね。
日向野祥(羅生聖護役):特別な緊張感が初演はやっぱりありました。シリーズものとして続くことは事前に知っていて、そのうえでの1発目だったので。続く以上、盛り上がってほしいですからね。
――そんな初演を踏まえ、今作ではどう役に向き合いたいと考えていますか。
日向野:羅生聖護はみんなをまとめるお兄さんポジションとして、1作目では稽古をしながら役をつかんでいきましたが、今回は映画を経ての舞台2作目なので、そこはもうすでに落としこめているんですよね。そこから新しい部分を深めていくことになると思うのですが、今作は「神緑」なので“緑”がフィーチャーされていて。聖護の弟の話など深い部分が出てくるので、そこで1作目とは違う新しい部分をお見せできると思います。
あの1歩引いて冷静だった羅生聖護が家族のことで感情的になったら、残りの誰が自分のようなまとめ役をやってくれるのかとか。これからの稽古で、僕自身も僕からどういう芝居が出てくるのか、楽しみな部分です。
――阿部さん演じる三月は今作でいよいよCOLOR CROWとして動き出しますね。
阿部:そうですね。僕は前作でバックボーンが描かれていて、今回はお客さまがそれを知ったうえでの物語になるので、今作に関しては三月が成長していく姿を見せる話になるのかなと思っています。どうCOLOR CROWとして生きていくのかっていう部分を見せていきたいですね。
――本作ではついにバディとして活躍します。どんなことが楽しみですか。
日向野:もともと同じ作品に出る機会はすごく多かったけど。
阿部:でもバディっていう関係性は初めてだよね?
日向野:そうだね。
阿部:同じシーンで2人だけでやりとりすることが意外となかったので、稽古場でどう2人で作っていくのか、ドキドキします。
日向野:2人のシーンが多いぶん、一緒に作り上げないといけないと思うんですが、お互いの性格もすでに知っていますからね。こうきたらこう返す、みたいな。もちろん役として板の上に立ちますが、そこでセッションが生まれるので、そういう意味では僕と阿部快征の関係は、聖護と三月の関係を作りやすいかなと思います。
――一緒のシーンを作るとなると、どんなふうになりそうですか。
日向野・阿部:どうなんだろうね。
日向野:どっちがどう動くとかも、もう考えないかもしれないね。
阿部:そうね。とくに言わずとも「こうきたな、じゃあこう返そう」ってなるかな。終わったあとに「今日こうでしたね」って。
日向野:「じゃあ次こうしてみようか」ってやれると思います。そこをお互いに探り合うような感じではもう絶対にないので。スマートにできるんじゃないかな。
阿部:そうですね。もう“心でしゃべっている”みたいな感じなので。
日向野:…ちょっと意味がわからないですね(笑)。
阿部:いい感じのこと言っておこうかなと思って。
日向野:いらない、いらない(笑)。
――気心の知れた仲だというのがすごく伝わってきます。そんなお2人だからこそ知っている、お互いの意外な一面はありますか?
日向野:もうなにが意外なのかわからないくらい一緒にいるからなあ。(熟考してから)見た目に反して意外と真面目。
阿部:あ~そうですね。
日向野:そして厳しい。
阿部:それを言うと祥くんは逆で、雰囲気はかっちり作っていきそうな人ですが、どんなことにも対応できるように、わりとふわっと余白を作ってお芝居をする人だなって。
日向野:あ、たしかにそうかもしれない。ガチガチに固めると動けなくなっちゃうタイプなので。
阿部:共演回数が多すぎて、ほかの人が意外に思うことをしていても、もうそれが当たり前になっているかもしれないです(笑)。
――では、お互いに役者として尊敬できる部分はどこですか。
阿部:動じないところですかね。多少のトラブルは舞台にはつきものですが、なにが起きてもドンと構えているところは尊敬しています。
日向野:この人、周りを本当によく見ている人なんですよ。それが芝居にも出ていて、周りの出方にあわせて変えていけるというか。発信するより“受ける”芝居がうまいのかなって思いますね。そういうところはすごく役者に向いているなって思っています。
――今作はバディの関係性となりますが、今後こういう役で共演してみたいというものはありますか。
阿部:会社系の作品で、僕が社長で日向野が平社員みたいな形で共演してみたいですね。
日向野:(食い気味に)嫌ですね。それ完全に私情が持ち込まれていますからね。嫌です。
阿部:あれ? おかしいな。僕は素直にやってみたいお芝居を言っただけなんですけどね。
一同:(笑)
日向野:僕は兄弟役かも。今回、ちょっと兄弟っぽい雰囲気も出ていますが、聖護には本当の弟がいるのでね。本物の兄弟役って、普段の空気感や仲の良さがいい意味で反映できると思うので、家族の役をやってみたいです。
――普段も兄弟っぽい瞬間はありますか。
阿部:ありますね。僕が実はお兄ちゃんで…。
日向野:いやいやいや(笑)。もうこのまんまです。見た通り、僕がお兄ちゃん的な感じで。もう顔色見ただけでわかるかも。いま機嫌悪いなとか、すねたとか。
阿部:あ~わかりますね。僕も顔色でわかっちゃいますからね。
日向野:だからこそ、逆に関係の薄い設定が難しいかもしれない。
阿部:たしかに! 役者として出さないようにはしますけど、普段の空気感が見え隠れしちゃいそうで難しい気がしますね。
日向野:初対面感を作るのが大変そう。
阿部:そういう作品をやる機会があったら、ちょっと祥くんから離れて、祥くんからも“快征離れ”してもらわないといけないかもしれないですね。
日向野:いやいや子離れみたいに(笑)。いつでも離れるから大丈夫だよ。
阿部:え~泣いちゃうじゃん、やめてやめて(笑)。
――改めて、本作の見どころを教えてください。
阿部:前作ではあまり動かなかった椿さん(演:内田裕也)が、実は今作で動くんですよ。組織のトップがどんな形で任務に参加してくるのか、そこが見どころかなと思います。
日向野:今作は「神緑」なので、やはり聖護のことになってしまうのですが、彼だけ初演で家族のことを口にしていないんですよ。そこが今回、どこまで深掘りされていくのか。どう描かれていくのか。そこをより注目してほしいですね。
――映画公開、そして舞台2作目上演と怒涛の「カラクロ」ラッシュが控えていますね。楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。
阿部:今作が、舞台初演・映画に続く3作目となります。なかには「神緑」で初めて作品に触れる方もいらっしゃると思いますが、そんな方にも「COLOR CROW」シリーズのおもしろさや熱さが絶対伝わるはずなので、ここから観始めるということをあまり気にせずに、前のめりな気持ちを持って劇場に来ていただけたら嬉しいです。
今作をきっかけに初演や映画を観てもらえたらとも思いますし、どんな方が観にきても楽しいと思ってもらえるようにこれから誠心誠意、稽古を頑張っていくので、難しいことは考えず、ただただ楽しみにして足を運んでもらえたらと思います。
日向野:前作に引き続き、全力で演じることには変わりはないのですが、「COLOR CROW」は観た人を頑張ろうという気持ちにさせてくれる作品だと思います。激しくも、思いやりや友情といった温かさが描かれている作品なので、そこをぜひ感じてほしいですし、みなさんの日常に活力を与えられればと思っているので、ぜひ劇場で生で感じていただけたらと思います。
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「いつもこのまんまです」の言葉通り、まさにあうんの呼吸という言葉がぴったりのインタビューとなった。自然体な様子での2人の掛け合いを想像しながら読んでもらえたらと思う。
舞台「COLOR CROW -神緑之翼-」も初演に続き、バディアクションが好きな人にはたまらない熱い作品になるだろう。羅生聖護と蒼田三月という新たなバディがどんな絆を見せてくれるのか。お互いを知り尽くす日向野と阿部の生み出す空気感を楽しみに、幕開けのその日を待ちたい。
取材・文:双海しお/撮影:泉健也
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