8月18日(木)~8月28日(日)東京・あうるすぽっとにて、ざんねん系おもタメミュージカル「ざんねんないきもの事典~いきものたちの逆襲~」が上演される。
おもしろくてタメになり、客席を巻き込んで楽しむ「ざんねん系おもタメミュージカル」と銘打った本作は、「小学生が選ぶ!こどもの本総選挙」で3年連続上位となった児童書「ざんねんないきもの事典」の初舞台化作品だ。
2.5ジゲン!!では、公演に向けて稽古中の眞嶋秀斗にインタビューを実施。人気児童書の初舞台化にかける意気込みや、8人という少人数で作り上げていく今作について語ってもらった。
まさかの小学4年生役にびっくり!
――子どもたちに人気の「ざんねんないきもの事典」がミュージカルになるということで、出演が決まった時はどんな気持ちでしたか?
出演が決まった時、最初に「何の生き物をやるのかな」ということを考えました。僕自身、ハチやカブトムシの幼虫など苦手な生き物がいるので、もしそれを演じることになったらちょっと嫌だな…って(笑)。自分が演じるなら、かわいらしい動物や珍しい生き物がいいなと思いました。でも、まさか小学校4年生の「しゅうた」役を演じるとは思わなかったのでびっくりしました。
生き物だけのパラダイス…という雰囲気の舞台かと思ったら、人間ドラマと言いますか、しゅうたに関してはお母さんとの関係も描かれていくので、しっかりしたストーリーのある作品だと感じています。
――現在、お稽古真っ最中と聞いています。稽古場の雰囲気はいかがですか?
テーマパークみたいな楽しい稽古場です。笑いあり、涙もちょっとありつつみたいな、誰もが楽しめる作品なので、稽古場もそんな感じでみんなはしゃいでいます。
――Twitterを拝見していると、とても楽しそうな雰囲気が伝わってきます。キャストには前田隆太朗さんや坪倉康晴さん、田崎礼奈さんといった同世代の方もいらっしゃいますね。
前田さん、坪倉さんのお2人とは初めて共演するんですが、2人のバディ感というか、チームワークがすごいんです。今回の作品では、この2人が動物を表現するシーンがあるので、お笑いコンビみたいな独特な空気感が面白いです。
僕は同じクラスの生徒役として2人と出演しますが、「2人で何かをやっているな…」と見守っている感じですね(笑)。歳が近いので、稽古が終わるとメンズ3人で一緒に帰ったりして「がんばろうぜ!」と励まし合い、プライベートでも交流しています。
また、同じクラスの生徒役で出演する田崎礼奈さんはセミが大好きみたいで、いつも「稽古場にセミを持ってこようかな~」なんて言っています。素手でセミを触るのが得意みたいなんですが、本当に稽古場に持ってこられたら困るな…って(笑)。
出演者8人が休む間もなく演じるハードな舞台
――しゅうたのお母さん役を演じる小川菜摘さんが、本作についてご自身のTwitterで「ボケボケしてらんないのよっ」と連呼されていたことがとても印象的でしたが、どんな舞台になりそうですか?
そうなんですよ! 生き物をたくさん演じられる方は早替えが多かったり、ミュージカルナンバーでは、自分がメインで歌わない時もバックダンサーとして登場したりと、休みがないんです。
歌う曲も多いですし、1曲中に生き物の紹介や豆知識が歌詞になっているので、生き物に関する情報量もあります。みんなで歌う曲は明るいポップスのような雰囲気ですし、流行りのKポップみたいな曲も…またバラードもあるので、そういう場面では、ちょっとホロっとくるかもしれません。皆さんが口ずさめる歌もあったりしますし、ダンスの振りも思わず踊りたくなるようなキャッチーな振り付けが付いているので、一緒に歌って踊りたくなるような舞台になるのでは、と思います。
――会場が一体となって楽しめるような舞台になりそうですね。演出は拙者ムニエルの村上大樹さんが手掛けられますが、今回初めてご一緒して印象はいかがですか?
村上さんは、基本的に役者がやりたいように自由にやらせてくださるので、何のストレスもなく自分が用意してきたものを披露できる環境にあります。例えばウォンバット役の野口かおるさんは、ウォンバットの動きや鳴き声を研究されていて、そういうのも芝居に織り込まれていくので見ていて面白いです。
今回の公演では日替わりパートがあるんですが、共演者の皆さんが毎回違うボールを出してくるので、それに対して都度返していくのが楽しいですね。
演じる生き物の動画を見ながら役作り
――眞嶋さんは「トガリネズミ」を演じる以外は、人間を演じている部分が多いようですが…。
僕が演じる小学4年生の「しゅうた」目線でひと夏の物語が進んでいく感じになるので、人間を演じているシーンが多いです。他の出演者の皆さんは3~4つの生き物を演じられるので、稽古場では「うらやましいな」と感じることがあります(笑)。
――「しゅうた」は「ざんねんな小学4年生」という設定ですが、ご自身の小学生時代と共通するところはあったりしますか?
小川菜摘さんが演じるお母さんとのやり取りを演じていると、小学4年生の頃の自分を思い出してしまいます。僕も塾に通っていて、テストの点数が悪かったりしたら隠していましたから(笑)。最初は「小学生役、どうしよう…」と思っていましたが、しゅうた役を素のまま等身大で演じられています。
――共演者の皆さんが演じている中で、気になる「ざんねんないきもの」はありますか?
加藤啓さんが演じる「ホシバナモグラ」です。鼻に突起がついていて、その突起で触ってエサを探すみたいなんですが、今まで知らなかったので実際に見てみたいと思いますね。
「ざんねんないきもの事典」を読んでいる子どもたちからしたら、「そんなの前から知ってるよ!」って感じかもしれませんが、どのぐらいの人が「ホシバナモグラ」のことを知っているのかとても気になります。
あとは、自分が演じる「トガリネズミ」にももちろん注目しています。実はネズミが得意ではなかったのですが、役作りのために動画を見ていたら愛着がわいてきたんですよ。日本でもトガリネズミを見られるところがあるみたいなので、いつか本物を見てみたいですね。
悪の生き物登場シーンでは、アクションも!
――公演タイトルに「いきものたちの逆襲」とあり、公演ビジュアルも生き物たちが襲ってくるようなイメージになっています。そういう怖いシーンがあるのですか?
実は、残念な生き物の中に「悪」のチームが出てくるんですよ。その場面ではアクションシーンがあって、僕は変身して戦ったりします。
悪のチームといっても、彼らは彼らで、残念な生き物としていろいろな想いを抱えています。例えばオオカミは「1匹オオカミ」なんていわれているけれど、実は…という残念ポイントがあったりして。でもそれは、生き物として進化してきた証でもあり、個性でもあるんだよというメッセージが込められたお話になっているんです。
――作品のアピールポイントを教えてください。
生き物が好きな人は、ペットを飼っていたり日常的に触れたりしていると思いますが、大人になってからあまり生き物に触れていない人にとって、特に刺さる舞台になるのではないかと思います。子ども心がよみがえって、マイナス10歳ぐらい若くなる効果がある舞台になるんじゃないかと。
出演者の皆さんの見どころもたくさんあります。例えば加藤啓さんは変哲先生という、ちょっと変わった先生を演じるんですが、残念な感じがよく出ています。本当にこういう先生がいるんじゃないかと思うほどリアルなんですよ! 生徒との会話や矢島舞美さんが演じるマイミー先生とのシーンは、舞台の雰囲気がガラッと変わるので面白いです。
矢島さんは、キュートな先生の他にホタルを演じられるんですけど、宝塚歌劇団の男役のようなダンディーな雰囲気のホタルなんですよ! そこは見どころだと思います。矢島さんに限らず、この作品では出演者のいろいろな姿を見ることができるのが大きなアピールポイントですね。
――改めてファンの皆さん、舞台を観に来られる皆さんにメッセージをお願いします。
この作品は暑さや嫌なことを全部フッ飛ばしてくれるパワーのある作品だと思っていますので、ぜひテーマパークに来る感覚で劇場に来てほしいです。また8人という少人数で、何10匹という生き物を、休む間もなく協力し合いながら作っている舞台なので、チームワーク感も感じていただければうれしいです。舞台上では、いろいろな生き物を、いろいろな方法で表現しています。それを観るだけでも楽しいと思いますし、もしかしたら夏休みの自由研究の参考になるかも…。ぜひ楽しみにしていてください!
取材・文:咲田真菜
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