ドラマ『聖徳太子のレストラン』が2022年7月29日(金)からCBCテレビで放送される。
本作は、住宅街の片隅にある、客が来ることのない「聖徳太子のレストラン」が舞台。一人のシェフが10のジャンルをきりもりする配達専用のレストランには、客の代わりに配達員が料理を取りに来る。多くのメニューをさばき悩みを解決する、まさに聖徳太子のごときシェフと、もろもろ抱えた若者たちとの心温まる物語だ。
今回、2.5ジゲン!!では、宅配員の一人・林俊樹を演じる太田将熙にインタビューを実施。本作の見どころや役づくりに加え、主演の佐藤流司とのエピソード、自身の今後の夢などを聞いた。
「妥協しない役者陣やスタッフと一緒に作品を届けていきたい」
――まず、本作に出演が決まった際のお気持ちを教えてください。
お話をいただいた時期にちょうど「映像をメインに仕事をしていきたい」と考えていたので、純粋に嬉しかったです。連続ドラマに出演するのも久しぶりでしたので、わくわくしましたね。
――映像をメインに仕事をしていきたいと考えるようになったのは、何かきっかけがあったのでしょうか。
やはりコロナ禍になってから考えるようになりましたね。東京でしか公演ができないと、観に来られる方が減ってしまったというのも大きかったです。
今まではアウトプットばかりしていたので、一度立ち止まってインプットをしようと思ったんです。その時にいろいろな作品を観て、自分がやりたいのは映画なんだなって気づきました。
舞台に来ることができないファンの人にも映像作品なら気軽に楽しんでいただけると思ったので、映像作品に多く出演したいと考えるようになりましたね。
――舞台と映像作品では、役作りの違いなどはありますか?
舞台は一ヶ月くらい役作りの期間があるので、稽古の中で「こういう人なんだ」と掴むことが出来ます。だから迷いのない状態でお客様の前に立つことが出来ますね。
一方で、映像作品はリハがほとんどなかったり、読み合わせをして次は撮影の現場に入ったり、ということも多いです。自分の中で役をちゃんと作り込んでないと、撮影後半になって序盤に思っていた人物と変わってしまう可能性もある。そこが難しいポイントですね。
――さて、今回の『聖徳太子のレストラン』。脚本を読んだ感想や、作品の見どころを教えてください。
脚本家の米山和仁さんとは、今までに2回ほどご一緒させていただいたことがあります。米山さんの作品は、コメディチックだけど、後半で人間の持つ闇や深い部分を出してくるような物語が多いんです。でも、今回は割とシリアスというよりはコメディタッチな部分が大きいかもしれません。
僕が演じる林俊樹や沢田章夫(演:反橋宗一郎)、倉持慶一郎(演:鷲尾修斗)たち配達員はそれぞれ抱えているものがあるんですけど、それがちょっとずつ出てくるんですよ。
全10話の中でそれぞれの担当回があって、全員に焦点を当ててくれる脚本だなと感じました。誰が見ても、フラットに楽しめる作品になっています。
――演じられる林俊樹は、どんな人物ですか?
一見、何も考えていないように見える人物です。ただ、少しずつ何を考えているかが見えてくるので、そういう変化を楽しんでもらえたらなと思っています。
僕は等身大の年齢を演じることが多いのですが、俊樹は19歳という設定。撮影しているときは、大学生だとは考えていたんですけど、19歳という認識はあまりなかったですね。
俊樹は何をしたらいいか分からないし、勉強もあまり出来なくて、何もないからバイトをしているんです。夢や希望もないし、先のことも考えていない。そんな中で佐藤流司の演じる徳井シェフと出会って刺激を受けて、いろいろと変わっていくんです。
俊樹の担当回でいろいろと感情が爆発するのですが、それまでは何を考えているかわからない、平凡な奴というイメージですね。
――ちなみに太田さんご自身は、どんな19歳を過ごしていましたか。
8年前か……。年取ったな(笑)。それこそこの世界に入りたてで、本当に何も考えていなかったかもしれないです。ただいただいた仕事をやる、という感じで。当時は仕事も全然なかったので、何も考えず、半年に1回くらい舞台をするという日々でした。
急にマネージャーから「将熙、パスポート持ってる?」と電話が来て、更にその2日後に「韓国で映画撮るよ」と言われて、1ヶ月くらい韓国で映画『アイアムアヒーロー』の撮影をしたこともありましたね。
でも、本当に何も考えていなかったです。桃太郎みたいに、ただ流されるままでした(笑)。目の前のことを一生懸命できていたかも、怪しかったかも。この仕事はやりたかったことのはずなのに、何を努力していいかも分からないまま日々を過ごしていました。お芝居も、当時は楽しめていなかったかもしれないですね。
――そうなんですね。今の太田さんは、どんな夢を抱いていますか。
今までは舞台に多く出演させていただいていましたが、今後は映像作品メインにやっていきたいと思っています。
特に映画ですね。規模は関係なく、「いいな」と思った作品に出演して、妥協しない役者陣やスタッフと一緒に作品を届けていきたいと強く思っています。
「佐藤流司は、人間としても役者としても、すごく魅力的」
――本作の主演を務める佐藤流司さんの印象をお聞かせください。
流司は、人間としても役者としても、すごく魅力的だと思います。
初めてお芝居を見たのは本読みの時だったのですが、「面白い役者だな」と感じました。現場に入ると、佐藤流司がどうしてこんなにたくさんのファンの人に愛されているのかが分かりました。僕も大好きです。
僕は同い年の人にこういう感情をあまり抱いたことがなかったんですけど……流司からは刺激をたくさんもらっている気がします。
――佐藤さんと、本当に仲が良いんですね。
流司の話だったら、たくさんできますよ(笑)。
撮影中に泊まっていたホテルでは、一緒に大浴場に入ったりしていましたね。去年一緒だったミュージカル『ジェイミー』の時は、なかなか外には行けなかったので、共演していた小西詠斗も一緒に、流司の家でお芝居の話をしたり。本当に熱く語りましたね。
流司は現場でも一番台詞が多いし、ずっと出っ放しなのに、全然疲れた素振りを見せないんです。セリフに関して「やべー!」とか言ってるのに、すぐに全部出てくる。料理のシーンも一発で決めるんですよね。
それに、撮影の待機時間には「〇〇って知ってる?」といろいろな話を振ってくれる。知識が多くて、人間としてすごく深いなと思います。
――今回の撮影現場では、印象深いエピソードはありますか。
深夜の1時、2時くらいかな。待機中にキャストほぼ全員で流司が持って来たゲームをしたことがあって。盛り上がり過ぎてブラザートムさんに「深夜だよ!」と注意されました(苦笑)。仲良しが集まっていて、部活みたいでしたね。
気軽に観れる作品だけど、“飯テロ”には注意!
――本作は「料理」が一つのテーマになっているかと思いますが、太田さんご自身の料理の腕前はいかがでしょうか。
いや……(笑)。料理が本当にできないんですけど、昨日たまたま作りました。卵とひき肉をぐしゃぐしゃして……実家でよく母親が作ってくれていた、名もなき料理ですね。
胡椒と醤油だけのシンプルな味付けなんですけど、おいしくて。それだけは作ってます。ちなみに得意料理はゆで卵です。
――他にも“家庭の味”はありますか?
そぼろですね。また同じ感じになっちゃうんですけど、卵とそぼろの2色丼みたいなのですね。あとはミョウガと卵のスープとか。卵が好きなだけかな(笑)。
――最後に、意気込みとファンへのメッセージをお願いします!
今回はTverでも配信されるので、多くの方に観ていただきたいです。何も考えていなかった、仲間と慣れあうこともなかった林俊樹が、少しずつ心を開いていく瞬間を表現できたらいいなと思っています。
それに現場も本当に仲良しでしたので、わちゃわちゃ具合も楽しんでもらえたらなと思います。いい意味で何も考えずに気軽に観れる作品ですが、お腹が空いちゃうかもしれないので、そこは注意ですね。“飯テロ”ドラマです(笑)。ぜひ楽しみにしていてください!
取材・文:水川ひかる/撮影:遥南碧/編集:五月女菜穂
広告
広告