漫画「少年アシベ」で小学生だったアシベとスガオたちが高校生になったその後を描いた「青少年アシベ」が、舞台化した。
2.5ジゲン!!では芦屋アシベを演じる熊谷魁人、阿南スガオを演じる小坂涼太郎に対談取材を実施。日常を切り取った作品なだけに難しさも感じているというが、インタビュー中の2人は息ピッタリ。撮影も取材も、初共演とは思えない仲の良さが垣間見えた。2人に本作の出演が決まった時の感想やおたがいの印象、舞台に込められたメッセージなどを聞いた。
−−本作への出演が決まった時のお気持ちを教えてください。
熊谷魁人(芦屋アシベ役):僕は以前からアニメを見ていてゴマちゃんとかアシベくんっていう存在は知ってたんですけど、『青少年アシベ』という作品は知らなかったので、そこから原作を読ませていただきました。コメディタッチで描かれている作品で、その舞台化ということで、すごく面白い作品になりそうだなと感じました。
小坂涼太郎(阿南スガオ役):俺は原作をまったく知らなかったんですよ。でも周りの人に、「次は何の作品に出るの?」って聞かれて、『青少年アシベ』だよって言うと、「え、『少年アシベ』じゃないの?」って。だからみんな知ってました、周りの人は。
−−撮影をしている間中、周りの人たちからお二人ともキャラクターと見た目も似ているという話が出るほどでしたが、ご自身ではどう思いますか。
熊谷:最近、稽古場に入ったんですけど、入った瞬間にみんな仕上がってて怖くなっちゃって(笑)。
小坂:全然じゃん。
熊谷:もう本当にみんなまんまじゃんって。特に小坂くんなんて本当に素晴らしいなって思うし。実は前からずっと共演したかったんですよ。それでスガオのお芝居を見させていただく時は、「すごいな、スガオくんがいるわ」みたいな(笑)。スガオくんのちょっと堅いところもしっかり演じてくださってて、素敵だなって思いました。
小坂:マジか。自分ではあまり似てるって思ったことがなかったけど、ヴィジュアルが解禁された時にファンの方から「ぴったりじゃん」っていう声は多かったですね。自分では意識してなかったですけど。
−−アシベとスガオを演じる上でどう演じよう、といったことは考えましたか。
熊谷:アシベくんはもともと小学生の頃からめちゃめちゃ声がでかくて、みんなに分け隔てなく仲良くなれるような男の子なので、そういうところを分かりやすく表現してますね。お芝居を作っていく上で。なるべく大きい声でしゃべったりとか、みんなと仲良くしたりとか、そういうところをしっかりとやっていった方がいいなと思っています。
小坂:自分がもしこの役をやったらっていうタイプの役者と、役に乗り移ってそのキャラとして生きるタイプの役者と、2つのタイプがあると思うんですけど。僕はどっちかって言うと自分がもしこうだったらっていうので作っていくので、今回特別に意識したことはあんまりないかもしれないですね。自分で意識してなくて、周りが見てて「それが役作りだよ! 」っていうのはあるかもしれないですけど。自分を理解してんないですよね、まだ。
−−では演じるキャラクターと普段のご自身とはあまり違いがないんでしょうか。
小坂:いや、例えば友達と会ってる時と今とでは性格って全然違うじゃないですか。今はしないけど、友達の前だと急に発狂したりするんですよ、たまに。しなそうに見えてもするし、でもそれが人間だから。なので、スガオくんだからこれはしないとか、別にそういうのは気にせず、なんでもします。
−−お互いの演技を見ていて、ここは素とは違うなと思うところはありますか。共演してみての印象を教えてください。
小坂:熊谷くんはアシベくんとわりと近いかもしれないですね。気を使うというか、いい意味で周りにちゃんと気を使えるし、褒めてくれるんですよ。さっきみたいにずっと共演したかったって言ってくれたり。マイナスな発言はあんまりしないイメージがあるので、違うところはないですね。
熊谷:ポジティブ能天気野郎だからね(笑)。ちょっと困っちゃうんだよね、何も考えてないから。小坂くんの役とのギャップかあ…。カレー好き?
小坂:カレーは好き。めっちゃ好き。
熊谷:じゃあ一緒かあ。なんだろう、難しいな。
小坂:稽古に入ってからまだ1週間ぐらいしか経ってないからね。
−−稽古場の雰囲気はどうですか。
小坂:キャストは仲良くなってきましたね。
熊谷:皆さん、普通に敬語じゃなく話したりしてますね。僕はたまに敬語が出ちゃうんですけど。
小坂:雰囲気、どうなんだろう?
熊谷:すごくいいなと思うけどね。演じてて、このシーンはちょっとリアリティがないとか、なんかうまくいってないってなった時にみんなでディスカッションが始まるもんね、急に。それができるっていうのはすごくいいなと思うし、特に小坂くんがそういうのを率先して結構やってくださるんですよ。そういうのをいつも見ててすごいなって思いますし、負けてられないなと思いますね。そういう話せる環境ができてるっていうのはすごくいいことなんじゃないかなと、僕は思いますね。
小坂:あと一つ、何かがハマればめちゃくちゃ面白くなると思います。その一つの何かを今、みんなで模索してて。何かがハマれば絶対面白くなると思う。
熊谷:稽古はここからだからね。
小坂:稽古場の仲はいいんで、それがお芝居で出せればいいなとは思います。
−−お二人は今回が初共演ですが、おたがいの第一印象はどうでしたか。
熊谷:実はとある作品のオーディションで1度お会いしたことがあったんですよ。その時に小坂君がお芝居で僕を安心させるようなことを言ってくれたんですよ。その時にめっちゃかっこいいと思って。
小坂:(笑)。
熊谷:オーディションの現場って緊張するじゃないですか。でも、それをすごく自然にやってくれて、その時は僕も緊張してたんですけど、僕自身も安心させてくれたなっていう。
小坂:それを稽古の初日に言われて、全然覚えてなくて(笑)。
熊谷:そりゃ覚えてないよ、俺が一方的に覚えてるもんだからさ。
小坂:だから嬉しかったですけどね。
熊谷:僕の第一印象はそれなんですよ、すごくかっこいいお兄さんみたいな。同い年なんですけど。素晴らしい役者さんだなっていう印象でしたし、それは今も変わってないですね。稽古が始まって一緒にやらせていただいてからも、さらにどんどん株が急上昇。
小坂:マジか! こうやって褒めるのがうまいんですよ、本当に。
熊谷:見習いたいところがたくさんある役者さんですね。
小坂:それこそ俺は、第一印象が怖いとか思われるタイプだから、最初からそうやって心を開いてくれて、良かったなって。あと同い年なので、そこで一気に仲良くなりましたね。久しぶりに同い年に会ったので。
熊谷:そうなんだ! でも僕も言われてみるとそうかも。
小坂:新規の同い年に知り合うのは久しぶりです。熊谷くんの第一印象は、もう本当にこのまんま。だから、「最初〇〇そうだったけど〜」っていう面白い回答ができないんですけど、本当に素の状態で来てくれました。それがお芝居にも出てるから、素敵な子だなって思いました。明るくて、最初からアシベにハマってた感じがしたんで。稽古に合流してからの一発目でそう思ったんで、すごいなって思いましたね。
−−舞台では小学生だったアシベたちが高校生に成長した姿が描かれます。小学生から高校生になった彼らを演じるにあたって、その変化をどう汲みとって演じようと思いましたか。
熊谷:人って成長するにつれて趣味趣向が変わってる子たちもいるし、やっぱりいろいろあるんですよね。アシベとスガオくんはそのままだと僕は思うんですけど。だから、2人に関しては素直に成長したなって思いますね。だから変化に関してはあまり考えてないかも、僕は。そのまんまな2人だと思うし、いい感じに育った子たちだなって。
小坂:そもそもこの作品の良さって、それぞれが成長しても仲良いメンツは変わらない、というのが分かりやすく表現されていると思うんですよね。それぞれが変わってても、みんな仲がいいのが良いのかなと思います。
−−舞台『青少年アシベ』にはアシベとスガオ以外にも様々なキャラクターが登場します。小学生から高校生になっても変わらない彼らの仲の良さを見せつつ、舞台の中でこういうことが伝わればいいなと思っていることはありますか?
熊谷:一番のテーマは友情ですね。シーンごとに伝えたいメッセージを探してみるといろいろあったりするんですよね。ただ単純にエンタメとして楽しむこともできるんですけど、スガオくんの彼女さんの地元のネパールのことだったりとか、性同一性障害の子が出てきたり、現代にマッチしたいろいろな問題もあったりするんで、そういうのをしっかり伝えていけたらいいなと思いますね。そこに深みがある作品だと思うし、もちろん普通にさらっと見れちゃう作品ではあるんですけど、見る人によって感じ方が違う作品なんじゃないかと思いますね。
小坂:原作もそうなんですけど、舞台の背景がめちゃくちゃ日常なんですよね。例えば戦ったりとか、非現実的な出来事は起きないから、見慣れない部分もあると思うんですよ。日常をどれだけ楽しませられるかが僕たち役者にかかってると思うので、飽きさせないことが一番。どれだけ自然な芝居で笑わせられるかですね。だからめちゃくちゃ難しいんですよ。普通にこうして取材されてるところを見に来る、みたいな感じですもん。
熊谷:2.5次元舞台ではあるんだけど、どっちかというとストレートプレイっぽい作品になるんじゃないかな。逆にそっちの方が面白みが増すとも思います。
−−今回2人が演じるのは高校生になったアシベとスガオですが、高校時代のおふたりはどのような学生でしたか。
小坂:不真面目でした(笑)。
熊谷:そうなんだ、僕はド真面目でした! 生徒会長になりたくて。くだらないでしょ、今考えたら。
小坂:いやいや、めちゃくちゃ立派じゃん!
熊谷:改革を掲げて生徒会長選に挑んだんですけど、生徒会長にはなれなくて、副会長もダメで、最終的に図書委員長になりました。…不真面目って小坂くんはどんな学生だったの?
小坂:不真面目って言っても不良ってわけじゃなくて、そう考えると真面目だったかも。中学生の時は、寝てる人を起こしていたぐらい真面目な学生だったし。でも高校ではめっちゃ寝てた(笑)。寝てても点数高かったから。数学だけだけど。数学が好きだったから。そういう不真面目。でも今思えば部活とかももっと一生懸命やっとけばよかったなって。サッカー部で、ちゃんとやってはいたけど芸能のしごとを始めてたからケガを恐れてたし。そういうのでがむしゃらにできない自分がいたから。はたから見たら不真面目だったな。あと、高校生の時ってめちゃくちゃうるさかったです。今もうるさいですけど、当時はもっとうるさかったですね。
−−ゴマちゃんはトラックの荷台から道路に転げ落ちてきたことでアシベと出会い、芦屋家に加わることになりました。お二人にとっての人生の転機を教えてください。
小坂:生まれたこと以外で、ですよね?
熊谷:生まれたこと以外って、面白いな(笑)。
小坂:コロナになって、ゲームにめちゃくちゃハマったことですかね。それまでゲームはまったくやり込まないタイプだったんですよ。なのに、2年前に「Apex Legends」にハマっちゃって。コロナがなかったらやってなかったですね。
熊谷:今、2.5次元俳優で大きい会場借りてみんなの前でゲームやったりしてたしね。すごい時代だよね。
小坂:それでYoutubeでゲーム実況も始めましたし。そっちは俺の名前ではやってないんですよ。俺のことを知ってる人は知ってるんですけど、Youtubeから見始めた人は俺だってことはわからないようにしてます。
熊谷:すごい、見てみよ。ゲーム強い?
小坂:普通ぐらい。
熊谷:俺もこういうご時世になってからやり込む感じだったら、家で筋トレをやり始めたぐらいですかね。転機というわけではないですけど。体作りをしっかりやっていきたいなって思って。やっぱり動けた方が殺陣もキレが良くなるし、と思って始まって、最近はコロナも落ち着いてきたのでジムに通い始めてて、だから継続してできてますね。
−−最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
小坂:今、みんなで一生懸命稽古して、模索しながら舞台を作っていますので、その頑張った結果を見に来てほしいと思います。
熊谷:この作品は、特に高校生の子たちに見ていただきたいなと思いますね。エンディングではみんなで一緒にダンスするシーンもあるので、家族のみなさんでも楽しめるような作品でもあります。作品のテイスト的にも多くの人に見ていただけたらいいなと思っているので、ぜひ劇場まで足を運んでください。いろんな人にマッチする作品だと思うので、たくさんの人に見ていただきたいです!
取材・文:尹秀姫/撮影:MANAMI
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