大高忍の魔導冒険譚「マギ」が、ミュージカル「マギ」-迷宮組曲-として舞台化される。異国情緒あふれる魔法と冒険の物語に挑む、アラジンを演じる宮島優心(ORβIT)と、アリババを演じる猪野広樹にインタビューを実施。今回、2人にとって初対談。作品への意気込みやお互いの印象などを聞いた。
――このインタビューがお二人の初対談とのことですが、スチール撮影中は宮島さんから「緊張する」という声も聞こえました。今も緊張されていますか?
宮島優心(アラジン役):今でも緊張しています。でも猪野さんが、緊張をほぐしてくれようと気さくに話しかけてくれたので、すごく嬉しいです。
猪野広樹(アリババ役):やめて、そんな大層な人間じゃないから(笑)。
宮島:いやいやいや! 本当に嬉しかったです。
――ぜひ今回の対談で親交を深めてもらえたらと思います。早速ですが、宮島さんは本作が舞台初挑戦となります。意気込みを聞かせてください。
宮島:初めての舞台ということでプレッシャーもすごく大きいんですが、たくさんの先輩方の演技を細かな部分まで、盗んだりとか吸収したりして頑張りたいなと思っています。
――猪野さんはご自身の初舞台を振り返ってみて、印象的な思い出はありますか。
猪野:僕の初舞台は小劇場で、お客さんが80人くらい入る作品だったんですよ。しかも稽古期間は一週間で。セリフをあまり覚えられないまま稽古初日を迎えたら、めちゃくちゃに怒られちゃって…(笑)。今、いくつだっけ?
宮島:21歳です。
猪野:21歳かぁ。当時僕は18歳くらいだったので、怒られた後に泣きながらセリフを覚えたっていうのは覚えていますね。
――猪野さんはその後、たくさんの舞台に立たれています。宮島さんへのアドバイスや伝えたいことはありますか?
猪野:いやいや、僕なんかが言えることなんて全然ないですよ!
宮島:僕はぜひ教えてほしいです!
猪野:でも、原作の有無に関わらず、演じる上で大切にしていることは関係性ですかね。「こういう役」って作るよりも、「こういう関係性だよね」から作っていくようにしていますね。役ではない役者同士の関係性も意外と舞台上で出たりするので、そこの方を大事にしているかなと思います。
――関係性でいうと、本作ではアラジンとアリババの関係性は物語の軸になっているかと思います。この2人の関係性を、現時点でどう捉えていますか。
宮島:切っても切れない関係と言うか、やっぱりこの2人で一つと感じる場面が多くて。1人じゃできないこともあるし、それをアラジンとアリババで乗り越えていくので、僕と猪野さんとでたくさんの困難を乗り越えられるような関係性を作っていけたらいいなと思います。
猪野:アラジンって分からないことがあったら「教えてよ」って言うんですよ。アリババもアラジンからまた別のものを教わるし。教えて、教わって、互いに成長していくっていう少年漫画らしい関係性だと思うんです。そこの関係性が多分、僕たちにも当てはまっていて。
優心くんは僕が今までやってこなかった世界にいる方なので、個人的に僕が教えてほしいものを持っていると思うし。逆に芝居とかの面では、僕も一応10年ぐらいはやってきているので、何か教えられることがあればいいなと思います。お互いにやってきた畑が違う分、尊敬しているし教わりたいし、そういう関係性は(アラジンとアリババに)似ているのかなって思います。
――作品についてお伺いします。まずは原作を読んでみての印象を教えてください。
宮島:温かい気持ちになったり心に響くシーンが多いのもちろんなんですけど、キャラクターそれぞれの正義感がぶつかりあって、そういう部分は今の社会と似ている気がしましたし、自分の生き方や考え方を、キャラクターを通して改めて考えさせられる作品だなと思いました。
猪野:時代設定をめちゃめちゃ楽しみたいなって思いましたね。最初はアラビアンな世界観から始まって中国風の世界観も出てきて、っていう。原作では、間に大高先生のコメントが挟まれるじゃないですか。あれが結構面白いなって思ったんですよ。アラジンとアリババの作画の成り立ちとか背景とか、そういう裏話が面白いと思ったので、そんな大高先生の意図も踏まえた上で(舞台の方にも)ちょっと引っ張ってきたいなって思っていますね。
あとは、あの世界観を舞台上でどう表現するのかなっていうのも、漫画を読みながら考えました。ただ映像を流すだけでは面白くないと思うし、どんなふうにお客さまを世界観に引き込むのかなっていうのもあれこれ想像していましたね。
――ミュージカルということで、音楽での表現も楽しみですね。宮島さんは普段ダンスボーカルグループ・ORβITのメンバーとして活動されていますが、ミュージカルへの意気込みはいかがですか。
宮島:発声やリズムの取り方もいつもとは全然違うので、ミュージカルの歌い方っていうのを勉強して持ち帰りたいなと思いますし、新たな勉強の場が増えて嬉しいなと思っています。
猪野:ミュージカルは難しいなと思っていたジャンルなんですが、年齢的にも「トライしてみよう!」と出演を決意しました。個人的には大挑戦ですね。
――ご自身が演じる役についてはどんな人物だと捉えていますか。
宮島:アラジンは、見た目はかわいいんですが、それだけではなくて内面の芯の強さだったり心の強さが目立つキャラクターだと思うので、そこを忘れずにやっていきたいなと思いますね。
猪野:先日のビジュアル撮影のときに思ったのは、「若い頃の自分を思い出そう」です。
一同:(笑)。
猪野:やっぱり大人になって忘れちゃったものもあるので。
宮島:そうなんですか!?
猪野:大人になるってそういうものなのよ…(笑)。もちろん夢や希望は今も持っていますが、アリババはもっと純粋で純度100%だと思うんです。立場として重いものを抱えているキャラクターですが、それよりも少年漫画らしさを追求したいなと思っています。少年漫画ってどうしても表現が難しくて、これまで割と逃げてきたところがあるんですが、今回は自分ができる少年らしさのぎりぎりを攻めて、アリババを演じたいなと。
――ここまで話してきて、お互いの印象はいかがですか。
宮島:本当に優しくて気さくで面白くて、外見だけじゃなくて内面もアリババのような方なんだなっていうのが、今日初めてちゃんとお話させていただいての印象です。
猪野:…頑張ります!
宮島:(笑)。
猪野:ちゃんと話すのは今日が初めてですが、ビジュアル撮影のときにご挨拶させてもらって。そのときアラジンの姿をしていたんですが、死ぬほどかわいいと思いました。ぴったりでしたね。今回ようやく素の優心くんと話したんですが、本当にいい子なんだろうなって。本当にいい子よ。
宮島:いやいや、僕なんて全然です。
猪野:それこそさっき言った純度100%を体現してくれているし、この純粋さで引っ張ってもらえるんだろうなって思いますね。あれだけのパフォーマンスができて、その上、こんな純粋な人ってそんなに世の中にいないですよ。だから、素の優心くんをアリババの参考にさせてもらうこともあるかなっていうくらい、見ていて気持ちのいい人だなって思いますね。
宮島:会って間もないんですが、こうして会ってすぐ人の本質を見抜けるところも、猪野さんはアリババに近しいところがあるなって思います。
猪野:ということは、自分で純度100%だって言ってることになっちゃうけど…。
宮島:(ハッとした様子で)そういうことになっちゃいますよね!?
一同:(笑)。
宮島:そっちではなくて(笑)。人をちゃんと見て、いろいろと感じ取ってくれるところがアリババっぽいし、すごく素敵な方だなって思います。
――では逆に、猪野さんから見た宮島さんの「アラジンっぽい」ところはどんなところでしょうか。
猪野:アラジンって最強の無垢だと思うんですね。自分の知らないこと知らないって言える、ある種の強さを持っていて、それも彼に通じるというか。お芝居が初めてだから、きっと考えた上で分からないことはちゃんと分からないって言ってくれると思うんです。そういう意味でも、彼以上にアラジンにハマる人はいないんじゃないかと思いますね。(彼がアラジンを演じることで)もう勝ちは見えています!
――稽古に入って世界観が出来上がっていくのが待ち遠しいですね。では、最後に意気込みとファンへのメッセージをお願いします。
猪野:個人的には挑戦となる作品で、自分の人生の中で1つのターニングポイントになるかなっていう予感がしています。キャスト陣を見ても本当に皆さんぴったりなんですよ。結構なハイクオリティなものを制作陣も求めていると思うので、役者としてそれに応えて、お客さまに満足していただけるものにしたいですし、絶対なると思います。「2022年一番面白かったね」と言われるくらいの作品になるよう、本気で挑みたいと思います。
宮島:猪野さんも挑戦と仰っていたんですが、僕にとってもすごい挑戦で。お互いみんなが挑戦ということだったらすごく高め合えると思うので、一丸となって頑張りたいと思います。初の舞台ってことを言い訳にしないように精一杯頑張りたいです。
* * *
和やかな雰囲気の中で行われた2人の貴重な初対談。初々しさを感じさせながらも芯のある受け答えをする宮島と、それを優しい眼差しで見守る猪野の姿が印象的だった。果たしてこの2人は舞台上でどんな化学変化を起こすのか、今年6月に訪れるミュージカル「マギ」-迷宮組曲-の幕開けが待ち遠しい。
取材・文:双海しお/撮影:泉健也
スタイリスト:宮島優心=小林洋治郎(Yolken)/猪野広樹=吉田ナオキ、衣装協力:Blue IN Green PR/Hair and make up=松原美穂(Nestation)
記事初出時、一部内容に誤りがありました。訂正してお詫び申し上げます
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